愛猫を病気で失い深い喪失感に…絶望から救ってくれたのは不意に現れたやんちゃな子猫たち

一緒にくつろぐ(左から)美晴ちゃん、篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

元保護猫の篤(あつし)くん(8歳・男の子)と美晴(みはる)ちゃん(5歳・女の子)は、Xユーザー・Atsushiさん(@Astusi_Miharu)と暮らしています。命を見送った経験を乗り越え、新たに迎えたふたり。その出会いは、導かれるように訪れました。

悲しみに光を灯した小さな子猫

お迎え当初、生後2カ月ほどだった篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)1

2017年、初代の猫を亡くした飼い主さんに新たな出会いが訪れました。

「もともと2匹の猫と暮らしていたのですが、そのうちの1匹がFIP(猫伝染性腹膜炎)で亡くなってしまいました。3回忌も済み、残った子がひとりぼっちで寂しそうでーーどうしたものかと悩んでるとき、知人から『保護した猫が5匹の子猫を生んで里親を探してる』と声をかけられたんです。そうして出会ったのが生後2カ月の篤でした」

気がかりだったのは先住猫との相性。「子猫なら先住猫も優しく受け入れてくれるだろう」という飼い主さんの思いは、見事に打ち砕かれました。

「篤が近寄ろうとすると、先住猫はシャーッと威嚇。『相性が合わないのかも…』と思いました。ところが篤は、威嚇されてもきょとんとした様子で、どこ吹く風。へこたれなかったんです。2週間のトライアル期間が終わりを迎えるころには、先住猫から同じベッドに寝る“お許し”をもらえるまでに。これなら大丈夫だろうと思い、篤を正式に譲り受けました」

子猫時代、バンザイポーズでくつろぐ篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

篤くんは、甘えん坊で抱っこが大好き。家での暮らしにもすっかり慣れ、穏やかな時間を過ごしていましたが、成長とともに思わぬ問題が見つかったといいます。

「子猫時代から歯磨きはしてましたが、1歳あたりから噛み合わせが少しずつ悪くなり、オーバーショットだと診断されました。歯磨きしてても口が乾いてしまうため歯周病になって、抜歯しなくてはならなくなったんです」

ただ、治療にあたって、飼い主さんはかつての経験から迷いがあったといいます。

「初代の猫が抜歯後にFIP発症したため、抜歯することに抵抗があり、すごく悩みました。考えた末に、5歳のとき抜歯。今は健康そのものでホッとしています」

自転車を追いかけてきた子猫

保護時、生後推定1カ月だった美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

篤くんを迎えた3年後。5月の連休中、飼い主さんにある“ハプニング”が起こりました。

「自転車で買い物に出かけたとき、子猫がニャーニャーと鳴きながら追いかけて来たんです。母猫が迎えに来るかもしれないと1時間ほど待ちましたが現れる気配はありませんでした」

その子猫こそ、のちの美晴ちゃんでした。

次第に日が暮れ、車の往来がある道路上だったため、飼い主さんは「これ以上、待つのは危険」と判断します。

「ひとまず、美晴を保護して家へ連れて帰りました。そして保護した周辺の家を回って、飼い主がいないことを確認。病院に連れていき、我が家で迎え入れることにしたんです」

保護時、生後推定1カ月ほどの美晴ちゃん。キトンブルーの瞳が愛らしい(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

当時、美晴ちゃんは生後1カ月。まだ授乳が必要な時期でした。ミルク飲みの子猫を育てるのは一筋縄ではいかなかったといいます。

「病院で必要な物を購入しました。それからは2、3時間おきにミルクを与える生活に。大変でしたね。小さな美晴は、子猫らしく好奇心旺盛で5cmほどの隙間に入り込むので目が離せませんでした。部屋中の隙間を塞ぐなど苦労もありましたがーー今では笑い話になってます」

美晴ちゃんを保護したのは、コロナ禍の真っただ中。飼い主さんの仕事は在宅勤務が多く、子猫のお世話にはちょうど良いタイミングでした。

ところが日常が戻り始め、通勤するようになると、美晴ちゃんにある変化が現れたといいます。

「ウールサッキングするようになってしまったんです。そのため、誤飲などのトラブルが起こらないように布製品は片付けたり、美晴の不安を軽減できるように工夫したり…気を付けています。幸い、すくすくと成長してくれて、とてもおしゃべりな子に育ちました」

願うのは、「ただ健やかな毎日を…」

本当の兄妹のように仲良し。(手前)篤くん、(奥)美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

篤くんは現在8歳、美晴ちゃんは5歳になりました。飼い主さんのもとで兄妹となったふたりは、のびのびと暮らしています。

一方、飼い主さんにとっても、ふたりの存在は大きな励みとなり、日々の暮らしに笑顔をもらたしています。

篤くんの毛づくろいをする美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

飼い主さんが今、ふたりに願うこととはーー

「初代の猫はFIP、2代目の猫はリンパ腫、それぞれ闘病の末に虹の橋を渡りました。篤と美晴には、健康でいてほしい。元気で日々を過ごしてくれるだけで嬉しいです」

子猫時代、布団ですやすや眠る篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

子猫時代、飼い主さんに撫でられる篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

子猫時代、へそ天になってくつろぐ篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

子猫時代、ゴロンと寝そべる篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

立派に成長した篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

離乳期を迎えた美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

保護後、少しずつ家での暮らしに慣れていった美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

小さな美晴ちゃんをじっと見つめる篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

猫ベッドで一緒にくつろぐ(左から)篤くん、美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

猫団子になった(左から)美晴ちゃん、篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

素敵なレディへと成長した美晴ちゃん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

ひょっこり顔をのぞかせる(左から)美晴ちゃん、篤くん(画像提供:Atsusi_Miharuさん)

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)