高齢期の不調には「筋トレ」と「野菜スープ」で対抗!81歳の現役医師が、70代からはじめた健康習慣を紹介
説得力は十分!81歳の現役医師が実践する健康法

高齢期の不調には「筋トレ」と「野菜スープ」で対抗!81歳の現役医師が、70代からはじめた健康習慣を紹介
近年、「健康寿命」の重要性があちらこちらでささやかれるようになり、健康寿命を延ばすための健康法もいろいろと紹介されていますが、やや情報過多でどれを実践していいかわからなくなっている人も多いのではないでしょうか。
おそらく、実際に効果を上げている実践者がいるかどうかが判断の分かれ目になるかと思いますが、そういう観点でお勧めできるのが、80歳を越えても現役で活躍されている医師・天野惠子さんの著書『81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵』です。本書には、天野さんが健康寿命を延ばすために行っている健康法はもちろん、健全な精神および身体を保つための考え方や更年期障害の乗り越え方など、女性の健康に関する多彩な情報が記載されています。
ちなみに、天野さん自身は80歳になる手前で「女性外来オンラインチャンネル」というYouTubeチャンネルを始めるなど、後期高齢者になってなお精力的に活動されていますが、50代は重い更年期障害に苦しみ、70代半ばで軽い糖尿病が見つかるなど、必ずしも健康に恵まれていたわけではないようで、70代で起きた変化についてはこのように記しています。
「70代に入ると、それまでとは異なり、肉体的にもさまざまな変化を実感するようになります。筋肉量や骨量がへり、生活習慣病はもちろん、がんや認知症などのリスクも高まります。ただ、体のどこにトラブルが起こるかは、個人差がひじょうに大きく、定期的に検査してデータを調べるしかないのが現状です」
医師であるだけに、とても冷静な視点で自身の高齢期を捉えていますが、そんな天野さんが実践している健康法とはどのようなものか。今回はほんの一部をご紹介したいと思います。

天野惠子(あまの けいこ)さん 1942年生まれ。静風荘病院顧問。日本性差医学・医療学会理事。NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。内科医。東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学教授をへて2002年千葉県立東金病院副理事長兼千葉県衛生研究所所長。09年より静風荘病院で女性外来を開始、現在も臨床に携わる。
70代の壁は、血管のプラークと体重激減。イスで変化を実感

私の場合、50歳の閉経後、急激にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が上がり、72歳のときに動脈硬化の度合いを調べる頸動脈エコー検査で、軽度のプラークが見つかりました。動脈硬化は、血管壁にコレステロールなどがたまってコブを作り、血流が悪くなった状態をいいます。
プラークは、首の太い動脈にコレステロールや中性脂肪などの脂質が蓄積していることを示し、プラークがある程度以上蓄積すると、動脈硬化となり、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすおそれがあるのです。
そのほかは問題なく、大過なく過ごしていました。そして後期高齢者と呼ばれる75歳の誕生日、国立がん研究センター中央病院検診センターで検診を受けたところ、何も問題なく、安心していたのも束の間、その後生活は何も変わらないのに、体重がガクンとへりはじめ、3か月ほどで6キロもやせてしまったのです。
原因は筋肉の減少でした。女性の筋肉量は50歳ごろまでは横ばいで推移、それ以降は減少していくのがふつうですが、私の場合、75歳で一気にへってしまったのでしょう。温泉などで高齢の女性のお尻を目にすることがあるかもしれませんが、女性は年齢とともにお尻の筋肉が削げるように落ちていきます。もともとお尻が大きい体型の私でしたが、そのころは木製の硬い座面のイスに座るとお尻が痛くて痛くて……。お尻の筋肉が半分にへり、いつの間にか驚くほど小さくなっていたのです。
年をとるとお尻の筋肉から削げるようにへっていくことをまざまざと実感させられました。このまま何も対策を講じなければ、「サルコペニア」といって、さらに筋肉量がへり、筋力や身体機能が低下した状態になってしまいます。サルコペニアは、腰やひざの痛み、背中の歪みの原因にもなるため、早急な対策が必要です。
この記事は2024年7月12日に配信した人気記事を再編して掲載しています。
構成/さくま健太