75歳から加入【後期高齢者医療】2025年度の保険料平均は増加へ…《都道府県別》年金収入195万円の人の保険料は?
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75歳から加入【後期高齢者医療】2025年度の保険料平均は増加へ…《都道府県別》年金収入195万円の人の保険料は?
筆者は久しぶりに病院に行きましたが、周りを見てみると、待合に並んでいる方の大半は高齢者でした。
現役世代で働いている人間は高齢者と比べると病院に行く頻度が少ないので、当然のことなのかもしれませんが老後は1か月に治療費がどの程度かかるのか不安になります。
日本では原則として75歳になると後期高齢者医療制度に加入します。また、65歳以上の方で一定の障がいがあると認定を受けた方も後期高齢者医療制度の対象となります。
本記事では、後期高齢者医療制度について解説。年金収入195万円の人の保険料が月額どのくらいかを都道府県別にご紹介していきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
シニアが加入対象の「後期高齢者医療制度」とは?加入対象をおさらい
公的な健康保険にはいくつかの種類があり、加入する制度は働き方や生活状況に応じて異なります。
・協会けんぽ…中小企業で働く従業員
・組合管掌健康保険…大企業で働く従業員
・共済組合…公務員や私立教職員
・船員保険…船員
・国民健康保険…上記にあてはまらない無職や自営業の人など
後期高齢者医療制度は、そうした公的健康保険の一つに位置づけられています。
それまで別の保険に加入していた人でも、原則として75歳に達すると、この制度に自動的に移行し、全員が対象となる仕組みです。
「後期高齢者医療制度」の保険証の新規発行は2024年で終了に
後期高齢者医療制度の対象となった方には、新たに被保険者証(保険証)が郵送で届きます。
保険証見本(東京都の場合)。後半の写真では「後期高齢者医療制度の保険料」を全国で比較
地域によって対応に違いはありますが、これまでは75歳を迎えると、7月末で保険証の有効期限が切れ、8月1日付で新しい保険証が交付される仕組みが一般的でした。
しかし、2024年12月2日よりマイナンバーカードと健康保険証が統合されたため、今後は従来の保険証の新規発行は終了する予定です。
マイナ保険証を利用している人には「資格情報のお知らせ」が、未所持の人には「資格確認書」が郵送されます。
「後期高齢者医療制度」の自己負担割合は1割から3割
後期高齢者医療制度に加入すると、医療費の自己負担割合が変更されることがあります。
この負担割合は、住民税の課税状況などをもとに決定され、1割から3割の範囲で設定されます。
多くの現役世代が3割負担であるのに対し、高齢者は制度への加入により負担が軽くなる場合が一般的です。
また、2022年10月1日からは制度が見直され、新たに「2割負担」の区分が導入されました。
自己負担割合の判定方法
・3割負担:現役並み所得者(同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合)
・2割負担:一定以上所得のある方
・1割負担:一般所得者等(同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも28万円未満の場合など)
世帯構成などによって基準となる所得額は変わるため、具体的な内容については、お住まいの自治体の窓口で確認するのが確実です。
次章では、後期高齢者医療制度における保険料の仕組みについて、詳しく解説していきます。
「後期高齢者医療制度」の保険料負担は今後増えるのか
2024~2026年度における65歳以上の介護保険料(基準額)は、前期の2021~2023年度と比べて3.5%の上昇となり、過去最高水準に達しています。
社会保険料の負担が年々重くなる中、後期高齢者医療制度の保険料は今後どのように推移するのでしょうか。
「後期高齢者医療制度の保険料」はどうやって決まる?
後期高齢者医療制度の保険料は、「均等割」と「所得割」を合算して算出されます。
「均等割」はすべての加入者が一律に負担する金額で、「所得割」は前年の所得に応じて決まり、これらの金額や率は都道府県によって異なります。
たとえば東京都では、均等割額が4万7300円、所得割率が9.67%(上限80万円)と設定されています。
ただし、軽減や緩和措置が適用されるケースもあるため、単純な計算では把握しきれない点もあります。
多くの自治体では、保険料の試算ができるシミュレーションサイトを提供しているため、利用してみるとよいでしょう。
次章では参考として、国民健康保険から後期高齢者医療制度へ移行した場合の保険料の試算例を見ていきます。
【比較】「後期高齢者医療」と「国民健康保険」の保険料はどのくらい違う?
ここでは、単身世帯で年金収入が168万円のみの場合を想定しています(厚生年金の月額平均約14万円を基に算出)。
この条件で東京都における後期高齢者医療制度の年間保険料を試算すると、2万700円という結果になりました。
一方、東京都北区で同じ条件で国民健康保険料を計算すると、年間3万6980円となります。
このケースでは、後期高齢者医療制度のほうが負担は軽くなることがわかります。
ただし、加入前の保険が社会保険だった場合は、保険料がさらに低い場合もあります。
また、被扶養者だった方はこれまで保険料がかからなかったため、後期高齢者医療制度への加入によって新たに保険料の支払いが発生する点に注意が必要です。
このように、軽減措置があっても、制度移行によって保険料が増えることもあるため、「地域によって保険料が異なること」や「近年の負担増加傾向」にも目を向けておく必要があります。
【2025年度】後期高齢者医療制度の「保険料率と全国平均」は?
2025年度における、後期高齢者医療制度における被保険者一人当たりの平均保険料額は、全国平均で以下のとおりでした。
・被保険者均等割額の年額:5万389円
・被保険者均等割額の月額:4199円
・所得割率:10.21%
・平均保険料額の年額:8万6306円
・平均保険料額の月額:7192円
次章では厚生労働省が公表している資料を参考に、2025年度における年金収入195万円の人の保険料を都道府県別に比較してみます。
【都道府県別】2025年度の「後期高齢者医療制度の保険料」を比較
最後に、厚生労働省の「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」を参考に、年金収入195万円の人をモデルとして、全国の保険料を比較していきましょう。
年金収入195万円の人の2025年度の保険料例
・全国:5673円
・北海道:6325円
・青森県:5415円
・岩手県:4808円
・宮城県:5216円
・秋田県:5042円
・山形県:5283円
・福島県:5056円
・茨城県:5358円
・栃木県:4991円
・群馬県:5567円
・埼玉県:5067円
・千葉県:5008円
・東京都:5355円
・神奈川県:5440円
・新潟県:4850円
・富山県:5033円
・石川県:5573円
・福井県:5458円
・山梨県:6003円
・長野県:5156円
・岐阜県:5400円
・静岡県:5275円
・愛知県:6117円
・三重県:5475円
・滋賀県:5371円
・京都府:6180円
・大阪府:6495円
・兵庫県:6134円
・奈良県:5833円
・和歌山県:6125円
・鳥取県:5892円
・島根県:5618円
・岡山県:5758円
・広島県:5438円
・山口県:6408円
・徳島県:6033円
・香川県:5892円
・愛媛県:5719円
・高知県:6100円
・福岡県:6641円
・佐賀県:6250円
・長崎県:5792円
・熊本県:6259円
・大分県:6509円
・宮崎県:5675円
・鹿児島県:6592円
・沖縄県:6410円
月額保険料が最も高いのは福岡県で6641円、最も低いのは岩手県の4808円となっており、両者の差はおよそ1800円にのぼります。
後期高齢者医療制度の保険料は原則として年金から自動的に差し引かれるため、受け取る年金の手取り額に直接関わってくる点を把握しておくことが大切です。
まとめにかえて
本日は後期高齢者医療制度について解説してまいりましたがいかがでしたでしょうか。
年金収入のすべてが食費や娯楽費用に使えるわけではなく、そこから保険料や税金が差し引かれます。
今後日本は更に少子高齢化が進み、年金の財源が小さくなっていかもしれないので、年金以外にも収入の補助となる資産を持ち、老後に備えることがより重要になるかもしれませんね。
参考資料
・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・東京都後期高齢者医療広域連合「保険証」
・足立区「令和6年8月1日からお使いいただく後期高齢者医療被保険者証をお送りします」
・東京都後期高齢者医療広域連合「保険料」
・東京都北区「保険料の試算と計算方法(国民健康保険)」