エスパーダは新世代ランボルギーニともいえる4シーター ハイソカーだった【スーパーカークロニクル・完全版/003】

伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、ランボルギーニ エスパーダだ。

ランボルギーニ エスパーダ(LAMBORGHINI ESPADA:1968〜1978)

フル4シーターであることに加えラゲッジスペースが大きいことで、相対的にロングノーズに見えないサイドビュー。

エスパーダは1968年のジュネーブ モーターショーで発表された。「エスパーダ」という車名は、スペイン語で「剣」を意味する。デザインはミウラやカウンタック同様、鬼才と呼ばれたマルチェロ・ガンディーニが手がけたものだ。

全長は4.7mオーバー、全幅も1.8mオーバーと、当時のモデルとしてはかなり大柄なサイズだったのも特徴となっている。2ドアのファストバック クーペというスタイルながら、ランボルギーニ史上最長(当時)という2650mmのホイールベースを生かし、リアにセパレートされた2人分の座席を備える完全な4シーターを実現していた。さらにリアシートの後ろには、スーパーカーとは思えないほどのラゲッジスペースも有していた。しかもエアコンやパワーウインドーを標準装備する本革張りのキャビンはラグジュアリー感の強い最上級の仕上がりで、このクルマを求めるであろう世界のセレブを失望させない質感の高さを備えていた。

パワーユニットはミウラやカウンタックのものと基本的に同じ4LのV12 DOHCだが、リアミッドシップではなくフロントに搭載し、駆動方式はコンベンショナルなFRとなる。足まわりは、1960年代後半にランボルギーニが生産していた2+2のGTクーペ「イスレロ」のものを改良して採用した。当時のスーパーカーが鋼管スペースフレームを採用するのを常としたのに対し、近代的なセミモノコックとしたことでボディ剛性は上がり、ランボルギーニの新たなるフラッグシップにふさわしい、重厚な乗り心地をもたらしていた。

5速MTを介して最高速度は250km/hにも達するというエスパーダのハイパフォーマンスぶりは、まさにスーパーカー メーカーたるランボルギーニの面目躍如といったところだろう。後期型では、パワーステアリング&3速ATも採用されて扱いやすさを増した。

1978年にランボルギーニ社が倒産するまでに、エスパーダは1200台以上が生産された。スーパーカーとしては、ラグジュアリーで利便性も高く、かなりのロングセラーモデルであったともいえるだろう。

ラグジュアリー感が強いコクピットだが、スピードメーターは300km/h、タコメーターは10000rpmスケールだった。

●全長×全幅×全高:4738×1860×1185mm

●ホイールベース:2650mm

●車両重量:1480kg

●エンジン種類:60度V12 DOHC

●総排気量:3929cc

●最高出力:320ps/7500rpm

●最大トルク:37.0kgm/4500rpm

●燃料・タンク容量:有鉛ハイオク・95L

●トランスミッション:5速MT

●駆動方式:FR

●タイヤサイズ:205/70VR15

『スーパーカークロニクル・完全版』は、好評発売中! - 株式会社モーターマガジン社