スズキのカッコ良さは“直線”にあり? 世界中のファンを魅了する スズキ“らしい”「バイクのデザイン」を紐解く
クルマの世界のように バイクでも意匠統一が進む
自動車メーカーでは、欧州車やプレミアムブランドを中心に、各車に共通したフロントグリルを用いるなど意匠を統一するのが昨今の流行です。
スズキ「HAYABUSA」。初代は1998年に登場、現行型は3代目となる
【画像】ひと目で“スズキ”とわかるデザイン! スズキのバイク・ラインナップを画像で見る(21枚)
その傾向は二輪にも及んでおり、昨今は特に広がりつつあります。
顕著に表れているメーカーがカワサキです。
カワサキは、ストリートファイターの「Zシリーズ」と「ニンジャシリーズ」にそれぞれ共通の意匠を持たせることで、ブランドイメージを固めています。
それに追従するように、他の3メーカーも統一された意匠を模索し、採用をはじめています。
その中で、2010年代後半から一段とメーカーの個性の表現に成功しているメーカーがあります。
それがスズキです。
スズキの象徴となりうる特徴的なバイクといえば、1980年代〜1990年代に販売されていた「GSX1100S カタナ」です。
これは伝説のバイクとして語り継がれ、今なおファンが多いバイクです。
1980年ドイツ・ケルンショーで世界初公開されたスズキ「GSX1100S カタナ」
そしてこの古のカタナが、現在のスズキらしいデザインのモチーフになっていると考えることができます。
現在のスズキが作り上げた“らしい”デザインとは、“直線”と“鋭角”といえます。
直線と鋭角を随所に取り入れるデザイン
2019年、スズキは2代目の「カタナ」を発売しました。
その頃のスズキは曲線を多用したデザインのバイクが多くみられました。
しかし新型カタナは古のカタナの直線的なデザインを落とし込みました。
それは当時のラインアップの中でデザイン的にも際立つ存在でした。
現代のスズキらしいデザインの模索は、このカタナが計気tなったのは間違いありません。
2020年に発売した「V-ストローム1050」は、従来のモデルから大幅にデザインを変え、直線と鋭角が際立つモデルとなりました。
さらに2021年、スズキのフラッグシップモデル「ハヤブサ」が3代目に進化となりましたが、曲線を多用した初代・2代目のデザインコンセプトを引き継ぎつつ、直線と鋭角を随所に取り入れました。
その後「GSX-S1000」「GSX-S1000GT」「V-ストローム800」「GSX-8S」「GSX-S1000GX」「Vストローム250SX」「DR-Z4」と多くの新型車が登場しました。
原付を除くそれらすべてのモデルが、直線と鋭角を取り入れたデザインを採用しているのです。
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直線と曲線が際立つデザインを採用したことで、遠目からでもスズキのモデルだと認識することができます。
“美”というワードを連想するのは曲線ですが、直線も美となり得ます。芸術的なものが曲線美であれば、機能的なものが直線美ととらえられるでしょうか。
何より直線には“潔さ”や“決意”を感じ取ることができます。
スズキのデザインは直線と鋭角に極まれり、といって過言ではないでしょう。