アナリストの業績予想、引き上げ数が過去最多に-日本株の上昇再開へ
(ブルームバーグ): 日本企業の業績見通しが本格的に改善し始め、最高値を更新した8月以降足踏みする日本株の上昇再開を後押ししそうだ。
ブルームバーグの集計によると、東証株価指数(TOPIX)構成銘柄でアナリストが今期1株当たり利益(EPS)予想を上方修正した件数は8月に1688件と、データをさかのぼれる2005年以降で最多となった。新型コロナウイルス禍で回復局面にあった21年2月(1654件)をしのぐ。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、市場予想の上振れは「外需の米関税影響の縮小と内需の堅調さが背景にある」と指摘。今後も「上方修正を一定程度、期待できる」とみる。

アナリスト予想の上方修正件数は過去最多に
上方修正が増えたことで、アナリスト予想の方向感を示すリビジョンインデックス(RI)は1年ぶりの高水準になった。全体に占める上方修正の比率から下方修正の比率を差し引いて求める同指数も、企業業績の先行きに対する楽観的な見方が優勢になっていることを示す。
業種別では電機や自動車、機械など輸出関連で高く、建設や情報・通信なども強含む。8月は東京証券取引所の33業種のうち、7割にあたる23業種でRIはプラスだった。

ほとんどの業種で業績見通しが改善 | 8月の業種別リビジョン・インデックス
政局の先行き不透明感などリスクは残る。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは、第1四半期は関税発動前の駆け込み需要などがあったとし、「一部の投資家はまだ先行きについて警戒している」と語る。
それでも足元で日本企業の業績見通し改善は際立つ。ブルームバーグのデータによると、TOPIXの12カ月先EPS予想の改善度は7月以降、米S&P500種株価指数や中国の上海総合指数を上回る。日本株は輸出企業の比率が高く年前半は悲観的な見方が多かった分、修正余地も大きい。

TOPIXのEPS予想の改善が足元で加速
市場では、来期は値上げなどを背景に2桁増益が可能との見方が多数派になりつつある。岡三の松本氏は「業績見通しが上向きつつあることは、日本株を支える要素の一つだ」と述べた。
--取材協力:佐野日出之.
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