【後期高齢者医療制度】滞納率が高い都道府県ランキング。保険料収納率は99.51%と上昇へ
元公務員が解説。支払が苦しい人は相談を
【後期高齢者医療制度】滞納率が高い都道府県ランキング。保険料収納率は99.51%と上昇へ
日本の医療保険制度のひとつである後期高齢者医療制度には、原則として75歳以上のすべての方が加入します。
後期高齢者医療制度は現役世代の拠出金や公費など、社会全体で支える仕組みとなっています。財源に注目すると、公費、現役世代からの支援金、そして被保険者である高齢者自身が納める保険料で賄われているのです。
出所:東京都後期高齢者医療広域連合「制度の概要」
制度を安定的に運営するには、拠出金や公費以外にも、加入者の保険料を安定的に徴収することも重要です。
2025年8月25日に厚生労働省より公表された資料によると、全国平均の保険料収納率は99.51%となりました。
高い水準に達している背景として、制度への理解が浸透したことや、年金からの天引きにより収納されていることなどが考えられます。
一方で、中には保険料を滞納しているケースも存在します。厚生労働省の資料からは、都道府県ごとに滞納率の差があることもわかりました。
くわしく見ていきましょう。
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【後期高齢者医療制度の保険料】収納率の全国平均はついに99.51%!
後期高齢者医療制度の保険料は、原則として年金からの特別徴収(天引き)にて徴収されるため、比較的高い収納率を維持しやすいとされています。
厚生労働省が今日2025年8月25日に公表した「令和5年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について」によると、2023年度における全国平均の収納率は99.51%となりました。
2008年に制度が開始したあと、各都道府県の広域連合による周知や市区町村による納付相談・分納指導などが徹底されたことも影響すると考えられます。
非常に高い収納率と言えますが、一方で0.49%が滞納となっており、こちらに課題が残ることもわかっています。
制度の運営には公費や現役世代からの拠出金も投入されているため、こうした負担を軽減するためにも未納・滞納はできるだけ減らしていきたい状況なのです。
滞納についてくわしく見ていきましょう
【後期高齢者医療保険料】滞納率が高い都道府県ランキング
後期高齢者医療保険料は全国平均で高い収納率を誇る一方で、都道府県別の状況を見ると、保険料の徴収状況には差あることも浮き彫りとなりました。
滞納率が高い都道府県のランキングは以下の通りです。
滞納率が高い1位~3位の都道府県(順位:都道府県名)
出所:厚生労働省「令和5年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について」
・1位:沖縄県
・2位:大阪府
・3位:東京都
例えば都市部の場合、人口移動が多いために転出時に手続きを失念してしまうことなどが考えられます。そのほか、普通徴収が多い地域では、特別徴収に比べて滞納率が高まる傾向にあります。
徴収業務は各自治体にて行っているため、相談体制の強化や分納対応などが行われると予想されます。
もし経済的に保険料の納付が困難である場合は、そのまま放置するのではなく、必ず自治体窓口に相談するようにしましょう。
【後期高齢者医療制度】保険料は高い?安い?
後期高齢者医療の保険料は、現役世代に比べると安くなることもあります。しかし、年金収入が少ない人であっても支払いは一生涯続くため、負担に感じる人は少なくないでしょう。
参考までに、保険料の全国平均や都道府県ごとの目安額を見ていきます。
後期高齢者医療の保険料(2025年の平均)
・被保険者均等割額の年額:5万389円
・被保険者均等割額の月額:4199円
・所得割率:10.21%
・平均保険料額の年額:8万6306円
・平均保険料額の月額:7192円
上記はあくまでも平均で、都道府県や所得によって異なります。わかりやすいよう、年金収入195万円の人の例で都道府県ごとの保険料を比較してみましょう。
後期高齢者医療の保険料一覧
・全国:5673円
・北海道:6325円
・青森県:5415円
・岩手県:4808円
・宮城県:5216円
・秋田県:5042円
・山形県:5283円
・福島県:5056円
・茨城県:5358円
・栃木県:4991円
・群馬県:5567円
・埼玉県:5067円
・千葉県:5008円
・東京都:5355円
・神奈川県:5440円
・新潟県:4850円
・富山県:5033円
・石川県:5573円
・福井県:5458円
・山梨県:6003円
・長野県:5156円
・岐阜県:5400円
・静岡県:5275円
・愛知県:6117円
・三重県:5475円
・滋賀県:5371円
・京都府:6180円
・大阪府:6495円
・兵庫県:6134円
・奈良県:5833円
・和歌山県:6125円
・鳥取県:5892円
・島根県:5618円
・岡山県:5758円
・広島県:5438円
・山口県:6408円
・徳島県:6033円
・香川県:5892円
・愛媛県:5719円
・高知県:6100円
・福岡県:6641円
・佐賀県:6250円
・長崎県:5792円
・熊本県:6259円
・大分県:6509円
・宮崎県:5675円
・鹿児島県:6592円
・沖縄県:6410円
同じ収入であっても、都道府県によって異なることがわかります。実際には、家族構成や世帯主が誰なのかによっても異なります。
まとめにかえて
後期高齢者医療制度の保険料収納率は、全国平均で99.51%という高い水準にまで達しています。
一方で滞納している人もいること、そして滞納率は都道府県によって異なることもわかりました。単なる「納付忘れ」ではなく、生活が苦しい中でどうしても納められないということもあるでしょう。
原則として75歳以上の後期高齢者が加入するという性質上、年金収入の減少・長期療養による医療費の増加・家族の介護費用の増加・物価高騰による生活費の圧迫などの要因が考えられます。
制度を運営するためには財源の確保も重要ですが、一方で生活困窮者への配慮も求められます。差し押さえなどの強硬な手段は、よほどの悪質な滞納者にしか踏み切れないのが現状なのです。
各自治体では、納付相談や分割納付の提案、減免制度の案内なども行っています。支払いが苦しいという方は、そのまま放置せずに必ず相談するようにしましょう。
参考資料
・厚生労働省「令和5年度後期高齢者医療制度(後期高齢者医療広域連合)の財政状況について」
・東京都後期高齢者医療広域連合「制度の概要」
・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
・東京都後期高齢者医療広域連合「制度の概要」