【後期高齢者医療制度】都道府県別「保険料の目安」はいくら?年金収入195万円の人のケース|加入者が受けられる”12種の給付”も解説

後期高齢者医療制度の”財源”ってどんな構成になってるの?約4割が現役世代からの支援金

75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 後期高齢者医療制度の自己負担割合は「1割・2割・3割」, 後期高齢者医療の「保険料」はどうやって決まる?, 後期高齢者医療制度の財源はどんな構成になっている?, 「後期高齢者医療制度の加入者」が受けられる給付とは?, 受けられる給付①療養の給付, 受けられる給付②療養費, 受けられる給付③入院時食事療養費, 受けられる給付④入院時生活療養費, 受けられる給付⑤移送費, 受けられる給付⑥高額療養費, 受けられる給付⑦高額介護合算療養費, 受けられる給付⑧保険外併用療養費, 受けられる給付⑨訪問看護療養費, 受けられる給付⑩特別療養費, 受けられる給付⑪葬祭費, 受けられる給付⑫自治体独自の事例, 【2025年度】後期高齢者医療制度の「保険料率」はいくら?, できるだけ早い段階から、老後資金の準備を始めよう

【後期高齢者医療制度】都道府県別「保険料の目安」はいくら?年金収入195万円の人のケース|加入者が受けられる”12種の給付”も解説

2025年6月10日に内閣府が公表した「令和7年版 高齢社会白書」によると、65歳以上の人口はすでに総人口の29.3%に達しており、今後も医療や介護にかかる費用の増加が予測されています。

政府はこうした状況に対応するため、健康保険制度を持続可能にするための施策を進めています。

暑さのピークも過ぎる8月後半は、夏の疲れが出やすく体調を崩しやすい時期でもあります。いざというときに安心して医療を受けられるよう、後期高齢者医療制度ではどんな給付を受けられるのかを知っておくことは大切です。

本記事では、後期高齢者医療制度に加入することで受けられる給付について、わかりやすく解説します。

記事の後半では、「年金収入195万円」の人を参考に、都道府県ごとの保険料も見ていきましょう。

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75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」とは?

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人、または65歳以上で一定の障害がある人が対象となる公的医療保険制度です。

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後期高齢者医療制度とは

現役世代が加入する国民健康保険や健康保険とは独立して運営されており、原則として75歳に達すると自動的に加入する仕組みになっています。

後期高齢者医療制度の自己負担割合は「1割・2割・3割」

後期高齢者医療制度では、医療費の自己負担割合は所得水準に応じて「1割・2割・3割」のいずれかに区分されます。

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自己負担割合の判定基準

・3割負担(現役並み所得者):同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合

・2割負担(一定以上所得のある方):以下の①②の両方に該当する方

①同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が28万円以上145万円未満の方がいる

②同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が、

・被保険者が1人…200万円以上

・被保険者が2人以上…合計320万円以上

・1割負担(一般所得者等):同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも28万円未満の場合、または上記(1)に該当するが(2)には該当しない場合。住民税非課税世帯の方

後期高齢者医療の「保険料」はどうやって決まる?

後期高齢者医療制度の保険料は、以下の項目を合算して算出されます。

・均等割額:被保険者が均等に負担する保険料

・所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料

なお、適用される率や金額は都道府県ごとに設定されているため、同じ所得であっても居住地によって保険料の額は異なります。

後期高齢者医療制度の財源はどんな構成になっている?

後期高齢者医療制度の財源については、以下のような構成になっています。

・現役世代からの支援金(国保や被用者保険者からの負担):約4割

・公費(国・都・区市町村の負担):約5割

・被保険者からの保険料:約1割

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出所:東京都後期高齢者医療広域連合「制度の概要」

なお、公費については国・都・区市町村が4対1対1の割合で負担しています。

「後期高齢者医療制度の加入者」が受けられる給付とは?

後期高齢者医療制度の保険料は、年金から天引きされるケースも多く、その負担を重く感じているシニアも少なくありません。

では、この制度では具体的にどのような給付が受けられるのでしょうか。

ここでは、東京都後期高齢者医療広域連合の例を参考に、その給付の種類を確認していきます。

受けられる給付①療養の給付

まず基本となるのは、病気やけがで医療機関を受診した際に、保険証などを提示することで受けられる「療養の給付」です。

この制度によって、窓口で支払う医療費の自己負担は1割~3割に抑えられます。

受けられる給付②療養費

保険証などを提示せずに受診した場合は、医療費を一時的に全額自己負担する必要があります。

その際、市区町村の窓口で申請を行うと、広域連合で認められた分について、自己負担額を除いた金額が「療養費」として払い戻されます。

この仕組みが「療養費」と呼ばれるものです。

受けられる給付③入院時食事療養費

被保険者が入院すると、医療費とは別に食事代の負担が生じます。

このうち、定められた標準負担額を除いた分については広域連合が負担し、支給されるものを「入院時食事療養費」といいます。

受けられる給付④入院時生活療養費

被保険者が療養病床へ入院した場合、食費や居住費のうち標準負担額を除いた分を広域連合が負担します。

この給付を「入院時生活療養費」といいます。

なお、療養病床とは、長期にわたり療養や介護を必要とする人のために設けられた病床を指します。

受けられる給付⑤移送費

けがや病気などで移動が難しく、医師の指示に基づき一時的・緊急的な必要性から移送された場合には、「移送費」が支給されることがあります。

ただし、広域連合が緊急性ややむを得ない事情を認めた場合に限られます。

なお、救急車の利用は無料であるため、この対象には含まれません。

受けられる給付⑥高額療養費

1カ月(1日から末日まで)の自己負担額が定められた限度額を超えた場合、その超過分は「高額療養費」として支給されます。

受けられる給付⑦高額介護合算療養費

世帯で1年間(8月1日~翌年7月31日)に支払った後期高齢者医療制度の自己負担額と、介護保険の利用者負担額を合算した金額が、世帯の算定基準額を超えた場合、その超過分が「高額介護合算療養費」として支給されます。

※なお、この給付は後期高齢者医療制度と介護保険の両方の制度から、それぞれ払い戻しが行われます。

受けられる給付⑧保険外併用療養費

保険の対象外となる療養を受けた場合、本来であれば保険が適用される部分も含めて全額自己負担となります。

しかし、医療技術の進歩や多様化する患者のニーズに対応するため、一定の条件を満たす場合には、通常の診療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料など)については保険が適用されます。

この仕組みを「保険外併用療養費」といいます。

受けられる給付⑨訪問看護療養費

主治医の指示により訪問看護ステーションを利用した際には、自己負担分を除いた利用料が「訪問看護療養費」として支給されます。

受けられる給付⑩特別療養費

被保険者資格証明書を交付されている人が保健医療機関で医療費を全額支払った場合、申請手続きを行うことで、自己負担分を除いた金額が「特別療養費」として支給されます。

ただし、その際に未納の保険料がある場合は、その分が差し引かれることがあります。

受けられる給付⑪葬祭費

被保険者が亡くなった際には、その葬儀を行った喪主に対して「葬祭費」が支給されます。

また、自治体によっては独自に助成を行っている場合もあります。

受けられる給付⑫自治体独自の事例

給付とは別に、保健事業の一環として保養施設の利用助成や人間ドックなどの補助を実施している自治体もあります。

たとえば、埼玉県ふじみ野市では、後期高齢者医療制度の被保険者で、保険料の納期到来分を完納している人を対象に、保養施設の宿泊利用補助を行っています。

助成額は1泊あたり3000円で、利用は1年度につき1人1回に限られています。

【2025年度】後期高齢者医療制度の「保険料率」はいくら?

給付制度があるとはいえ、多くの人にとって関心が高いのはやはり保険料の負担です。

厚生労働省は2025年度の後期高齢者医療制度における保険料を以下のとおり公表しています。

・被保険者均等割額の年額:5万389円

・被保険者均等割額の月額:4199円

・所得割率:10.21%

・平均保険料額の年額:8万6306円

・平均保険料額の月額:7192円

ここでは、具体的なイメージを持ちやすいように、「年金収入195万円」のケースを前提に、都道府県ごとの保険料を確認していきましょう。

75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 後期高齢者医療制度の自己負担割合は「1割・2割・3割」, 後期高齢者医療の「保険料」はどうやって決まる?, 後期高齢者医療制度の財源はどんな構成になっている?, 「後期高齢者医療制度の加入者」が受けられる給付とは?, 受けられる給付①療養の給付, 受けられる給付②療養費, 受けられる給付③入院時食事療養費, 受けられる給付④入院時生活療養費, 受けられる給付⑤移送費, 受けられる給付⑥高額療養費, 受けられる給付⑦高額介護合算療養費, 受けられる給付⑧保険外併用療養費, 受けられる給付⑨訪問看護療養費, 受けられる給付⑩特別療養費, 受けられる給付⑪葬祭費, 受けられる給付⑫自治体独自の事例, 【2025年度】後期高齢者医療制度の「保険料率」はいくら?, できるだけ早い段階から、老後資金の準備を始めよう

【2025年度】年金収入195万円の人の保険料例

・全国:5673円

・北海道:6325円

・青森県:5415円

・岩手県:4808円

・宮城県:5216円

・秋田県:5042円

・山形県:5283円

・福島県:5056円

・茨城県:5358円

・栃木県:4991円

・群馬県:5567円

・埼玉県:5067円

・千葉県:5008円

・東京都:5355円

・神奈川県:5440円

・新潟県:4850円

・富山県:5033円

・石川県:5573円

・福井県:5458円

・山梨県:6003円

・長野県:5156円

・岐阜県:5400円

・静岡県:5275円

・愛知県:6117円

・三重県:5475円

・滋賀県:5371円

・京都府:6180円

・大阪府:6495円

・兵庫県:6134円

・奈良県:5833円

・和歌山県:6125円

・鳥取県:5892円

・島根県:5618円

・岡山県:5758円

・広島県:5438円

・山口県:6408円

・徳島県:6033円

・香川県:5892円

・愛媛県:5719円

・高知県:6100円

・福岡県:6641円

・佐賀県:6250円

・長崎県:5792円

・熊本県:6259円

・大分県:6509円

・宮崎県:5675円

・鹿児島県:6592円

・沖縄県:6410円

なお、基礎年金受給者(年金収入82万円)を想定した場合、保険料の全国平均は月額1260円となっています。

できるだけ早い段階から、老後資金の準備を始めよう

本記事では後期高齢者医療制度の加入者が受けられる給付や、保険料の具体例を見てきました。

「後期高齢者医療制度」があれば老後は安心できると感じた方も、そうでない方もいらっしゃるかもしれません。しかし共通していえるのは、ある程度の貯蓄があれば将来のお金に対する不安は軽減できるということです。

そのためにも、できるだけ早い段階から老後資金の準備を始めておくことが大切です。

後期高齢者医療制度を理解したうえで、自分自身の資産形成と組み合わせて備えることが、安心して豊かに暮らすための第一歩となるでしょう。

参考資料

・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」

・厚生労働省「給付と負担について(参考資料)」

・東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」

・埼玉県ふじみ野市「保養施設の宿泊利用補助(後期高齢者医療制度)」

・政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」

・東京都後期高齢者医療広域連合「給付の内容」

・内閣府「令和7年版 高齢社会白書」