【新NISA】いまが大注目…日本株市場「過去最高値」なのに配当まで「3%超え」に? 「9月末」権利付き高配当銘柄5選【日本株】
TOPIX採用3月期決算企業の26年3月期第1四半期(4-6月)決算は、前年同期比7.6%減と減益ではあったが、事前の市場予想を10%上回る好内容となった。企業の積極的な株主還元姿勢を背景に、高配当利回り銘柄への注目も高まっている。特に、9月は3月期決算企業の中間配当(実施企業に限る)の権利確定月でもある。配当重視の投資家にとって魅力的な時期が到来しているといえよう。
日本株市場が過去最高値を更新している中でも、予想配当利回りが3%を超える高配当利回り銘柄は数多く存在する。特に26年3月期第1四半期(4-6月)決算において、期初計画に対して高い進捗率(第1四半期単独では25%以上が基準)を示した高配当利回り銘柄には、業績と配当の両面から魅力が高まろう。例年、高配当利回り銘柄は、9月末の権利付き最終売買日に向けて市場全体(TOPIX)を上回る傾向がある。堅調な業績と魅力的な配当利回りを背景に、9月末の配当取りに向けて投資妙味が高まっていきそうだ。
日本ゼオン(4205)
■株価(8月23日時点終値)1697円 配当利回り(予)4.24%
自動車部品向け特殊ゴムを扱うエラストマー事業と、透明樹脂「ゼオネックス」やリチウムイオン電池向けバインダーなどを手掛ける高機能材料事業が二本柱だ。2026年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益は前年同期比で2.1%減少したものの、通期の経常利益は従来予想の280億円から300億円へ引き上げ、減益見通し幅を9.2%へ縮小する見通しとなった。
同社の強みは、売上高の増加分が利益に直結する割合を示す限界利益率の高い独自製品を多数保有していることだ。特に、高機能材料事業の「ゼオネックス」は高透明性や低不純物性といった特性を活かし、半導体や医療用途などで中長期的な成長が続く期待がある。
強固な財務体質を背景とする株主還元にも積極姿勢を示している。過去の業績低迷期にも増配を継続した実績を持つほか、2024年10月には配当方針をDOE(株主資本配当率)4%以上へと引き上げた。また、中期経営計画第3フェーズ(2025-2028年度)の中では、26年度までに総額400億円の自社株買いを予算化している。

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本田技研工業(7267)
■株価(8月23日時点終値)1679円 配当利回り(予)4.17%
四輪車事業は、トランプ関税の影響、電動車開発などの研究開発費が負担となるが、近年は二輪車事業と金融事業が業績支える構図となっている。2025年3月期における二輪車部門の営業利益は6,634億円、営業利益率は18.3%と高収益性を発揮した。新興国で圧倒的なシェアを誇り、グローバルで世界トップの地位を確立している。また、金融事業はローンやリースなどの販売金融サービスを通じて安定した収益を上げている。
豊富なキャッシュを活用した積極的な株主還元も強みだ。DOE(株主資本配当率)3.0%を目安に配当方針を変更しており、安定的な配当が見込まれる。今期の配当総額は3,000億円台半ば、自社株買いは4,000億円弱となる見通しであり、引き続き高水準な株主還元に期待が持てるだろう。
会社側はPBR(株価純資産倍率)が0.5倍前後と低迷している現状を課題と認識しており、電気自動車(EV)への投資においては、積極性と効率性を両立させる方針を掲げている。近年はGMやソニーなど異業種との協業にも積極的にシフトしており、今後のシナジー効果を期待したいところだ。
中部電力(9502)
■株価(8月23日時点終値)2080.5円 配当利回り(予)3.36%
原燃料価格の変動が料金単価に遅れて反映されることで生じる「期ずれ差益」の減少により、2026年3月期第1四半期の連結経常利益は前年同期比で減益となった。ただし、通期計画2,300億円に対する進捗率は45.6%となった。地域電力会社の費用は、下期偏重となる傾向であることを差し引いても順調な滑り出しといえる。

PBR(株価純資産倍率)は0.5倍程度で推移しているが、電力会社の中でも財務健全性は高く、株価の割安感は大きい。株主還元方針は「安定配当を基本としつつ配当性向30%以上を目指す」としており、高配当利回り銘柄としての安心感も相対的に大きいだろう。
さらなる株主還元も期待できそうだ。同社は最適な資本構成の追求を経営方針に掲げており、自己資本比率の適正範囲を「30%半ばから後半」に設定している。現在の自己資本比率は39%を超えており、通期ではさらに上昇すると見込まれる。27年3月期から始まる新たな中期経営計画では、自社株買いなどでさらに踏み込んだ株主還元が必要になると思われる。
東京海上ホールディングス(8766)
■株価(8月23日時点終値)6567円 配当利回り(予)3.20%
2026年3月期の1株当たり配当予想は210円で、14期連続の増配を見込んでいる。第1四半期(4-6月)の連結経常利益は、前年同期比で2.1倍の5,652億円と急拡大した。通期計画1兆2,700億円に対する進捗率は44.5%と高水準だ。さらに合計2,200億円の自社株買いを行う方針を発表しており、株主還元に対する積極的な姿勢を示している。

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傘下の東京海上日動火災保険では、10月1日に自動車保険料を平均8.5%引き上げる予定だ。2008年以降では最大の改定率となる。また、日本銀行が金利を引き上げる観測が強まってきたことも、銀行や保険など金利上昇の恩恵を受ける銘柄群にとっては支援材料となる。市場全体の調整局面でも底堅い株価推移が期待できそうだ。
同社は損害保険会社として世界トップクラスのEPS(1株当たり利益)成長とDPS(1株当たり配当)成長を目指している。また、2029年度末までの「政策株式ゼロ」を目標に掲げている。会社予想を上回るペースで政策保有株式の売却が進んでおり、こちらも業績の上振れ要因となる期待感につながろう。
オリエンタル白石(1786)
■株価(8月23日時点終値)419円 配当利回り(予)3.46%
ケーソン工事(地中に大きな箱状の構造物を沈設する工法)を得意とする総合建設会社。公共工事の発注が予定よりも遅れていることが主因となり、業績は踊り場を迎えていたが、前2025年3月期第4四半期(1-3月)の受注高は前期比で46%増加するなど、底入れの兆しを見せている。
2026年3月期の受注高は前期比で4%増の680億円と、2024年3月期と同水準まで回復する見込みだ。特に、近年増加傾向にある防衛予算に関連して、防衛施設の更新計画などが進んでおり、シェルターなどの地下施設の建設でケーソン工法を活用することが計画されている。また、上下水道関連での予算拡大も見込まれており、ポンプ場の改築や幹線管路の更新工事などが発注されれば、同社にとって追い風となるだろう。
第1四半期(4-6月)の経常利益は前年同期比で4.5%減少したが、通期計画43億円に対する進捗率は47.6%に達し、過去5年間の平均進捗率23.2%を大きく上回った。物価や労務費の上昇により、新規案件の発注が遅れている状況はあるものの、過去に受注した案件の継続工事も控えているため、高水準の受注高を維持する公算は大きい。
配当や株主優待を得るには、権利確定日の2営業日前にあたる権利付き最終売買日までに株式を購入する必要がある。2025年の場合、9月末を配当の基準日とする銘柄の権利付き最終売買日は9月26日(金)だ。高配当利回り銘柄は新NISA(少額投資非課税制度)でも人気が高く、一時的な株価の調整局面を迎えても、積極的に安値を狙う投資家によって株価が支えられる期待は大きそうだ。
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