年金だけじゃない!「75歳以上・後期高齢者」が知っておくべき「給付金・支援制度」4選
医療費や介護費用を抑える制度から、自治体独自のユニークな助成まで4つ厳選して紹介!
年金だけじゃない!「75歳以上・後期高齢者」が知っておくべき「給付金・支援制度」4選
75歳以上の人は後期高齢者に該当します。病気や健康状態の不安などで通院・入院する機会も増えるため、年金や備えの資産があっても「家計が苦しい」と感じる人もいるでしょう。
後期高齢者には、さまざまな給付金や支援制度が用意されています。
こうした制度は、できる限り有効活用したいものです。この記事では、後期高齢者が受けられる給付や支援について、4つに絞って解説します。
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後期高齢者医療保険で医療費は原則1割負担に
75歳以上の人がほかの人と異なる点として「加入する医療保険が変わる」点が挙げられるでしょう。75歳以上の人は全員「後期高齢者医療保険」に加入します。
後期高齢者医療保険の被保険者は、医療費の負担割合が原則1割になります。そのため、窓口での支払金額がほかの年代と比べて少なくなるのです。
ただし、所得が現役並みの人は3割負担です。また、特定の条件に該当する人の医療費負担が2割になります。(詳細以下画像)
後期高齢者医療制度「医療費負担割合」フローチャート
2022年10月からは負担増加額を3000円までに抑える配慮措置が行われていますが、これは2025年9月末で終了する見込みです。そのため、所得が一定額以上ある人は医療費負担が増える可能性があります。
次章では、介護の給付・支援を見ていきましょう。
高額介護合算療養費制度で通院・入院も安心
後期高齢者となると介護サービスを活用する機会も増える可能性があります。介護サービスに関する給付や支援はさまざまなものがありますが、この記事では高額介護合算療養費制度について紹介します。
高額介護合算療養費制度は、医療費と介護費の自己負担額を合算して所定の限度額を超えた場合、超えた分が全額払い戻される制度です。
毎年8月1日から翌年の7月31日までの1年間のうちにかかった費用を合算します。合算の際は、高額療養費や高額介護サービス費の払い戻しを受けられる分を自己負担額から除きます。
自己負担限度額は、年収に応じて変わります。詳細は以下のとおりです。
高額介護合算療養費制度「自己負担限度額」
70歳〜74歳・75歳以上
・年収約1160万円~:212万円
・年収約770~約1160万円:141万円
・年収約370~約770万円 :67万円
・~年収約370万円 :56万円
・住民税非課税世帯等:34万円
・住民税非課税世帯(年金収入80万円以下等) :19万円
70歳未満
・年収約1160万円~:212万円
・年収約770~約1160万円:141万円
・年収約370~約770万円 :67万円
・~年収約370万円 :60万円
・住民税非課税世帯等:34万円
超えた分はすべて払い戻されるため、充実した医療・介護を受けやすくなります。
ただし、払い戻しを受けるには、後期高齢者医療広域連合から送られてくる「支給申請書」を記入して、広域連合に提出する必要があります。申請書は対象となる人に送られてくるため、忘れずに記入して返送しましょう。
次章では、年金に関する給付を紹介します。
年金生活者支援給付金は75歳以上も引き続き対象
年金を受給する低所得世帯には、年金生活者支援給付金が支給されます。給付金は以下の3つの年金それぞれに対して用意されています。
・老齢年金:65歳から受け取れる年金
・障害年金:障害認定時に受け取る年金
・遺族年金:親族が亡くなった際に受け取る年金
給付金の詳細は、以下のとおりです。
年金生活者支援給付金
〈老齢年金生活者支援給付金〉
・65歳以上の老齢年金の受給者
・世帯全員が住民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計が下記の金額以下
・昭和31年4月2日以後生まれ:78万9300円以下
・昭和31年4月1日以前生まれ:78万7700円以下
〈障害年金生活者支援給付金〉
・障害基礎年金の受給者
・前年の所得が472万1000円以下
〈遺族年金生活者支援給付金〉
・遺族基礎年金の受給者
・前年の所得が472万1000円以下
※所得要件については、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まない。
とくに受け取る可能性が高いのは「老齢年金生活者支援給付金」です。65歳以上から受け取れるため、後期高齢者になっても要件に合致すれば引き続き受給できます。
支給金額は約5500円〜1万円ほどです。障害年金・遺族年金の給付金は定額、老齢年金の給付金は保険料の納付期間と免除期間によって支給額が変わります。(詳細以下画像)
年金生活者支援給付金の給付額
給付金を受け取るには、申請が必要です。後期高齢者はすでに年金を受給しているため、はがきが申請書類として送られてきます。
書類は日本年金機構が対象者に送ってくれるため、受け取ったら必要事項を記入してポストに投函しましょう。
次章では、自治体独自の後期高齢者支援を紹介します。
自治体が独自で行うユニークな給付や支援を紹介
後期高齢者などシニア世代を対象に、各自治体が給付や支援を実施している場合があります。いくつか例を紹介します。
・相模原市:介護予防促進事業(高齢者補聴器購入費助成)
・医療機器認定を取得した補聴器本体の購入費用として、最大2万円を助成。
・東京都江東区:高齢者紙おむつ支給及びおむつ購入費助成
・要介護3以上の認定を受けている人など要件を満たす人に、支給限度(75点)内のおむつ支給または月7500円を助成。
・宇都宮市:敬老祝金
・80歳・90歳・100歳に年齢に応じた祝金1万円〜10万円を支給。
補聴器の助成やおむつ、祝金の支給など、ユニークな施策が実施されています。
各種給付・支援を受ける際、一般的には申請が必要です。要件などを確認したうえで、忘れずに手続きを済ませて給付や支援を受けましょう。
まとめ
後期高齢者が利用できる給付・支援制度は複数存在します。医療や介護、年金とさまざまな分野で給付や支援を受けられるため、日々の支出負担を減らすために有効活用するとよいです。
各種給付・支援は、いずれも申請が必要なケースが多いです。親族に手伝ってもらうなどしながら手続きを進め、確実に給付や支援を受けられるようにしましょう。
参考資料
・厚生労働省「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しについて(お知らせ)」
・内閣府「高額介護合算療養費制度 概要」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について
・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
・日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「遺族年金生活者支援給付金の概要」
・相模原市「介護予防促進事業(高齢者補聴器購入費助成)」
・江東区「高齢者紙おむつ支給及びおむつ購入費助成」
・宇都宮市「敬老祝金」