「健康に良いと思ってた…」雑穀米を食べないほうがいい人の特徴を管理栄養士が解説

①食物アレルギーがある人

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「健康に良さそうだから」と、雑穀米を積極的に食事に取り入れている人も多いでしょう。ところが、食物アレルギーのある人が雑穀米を食べると、アレルギー症状が現れる可能性があります。
雑穀とは本来、キビ、アワ、ヒエなど、米と同じイネ科の作物を指す言葉です。しかし最近では、キヌア、アマランサス、そばなど、より幅広い穀物が「雑穀」として扱われています。なかでも注意が必要なのが、大麦やライ麦、ハト麦、オート麦などの穀物です。
食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれるたんぱく質に対して、体の免疫機能が過剰に反応して起こります。アレルギーを引き起こす可能性がある食べ物にはさまざまな種類がありますが、そのひとつが小麦です。
実は、大麦やライ麦、ハト麦、オート麦などに含まれるたんぱく質は、小麦のたんぱく質とよく似ています。そのため、小麦アレルギーのある人がこれらの穀物を含む雑穀米を食べると、アレルギー症状が現れることがあります。
小麦アレルギーは、小さな子どもによく見られる食物アレルギーです。しかし大人の場合も、小麦や大麦、ライ麦などを食べてから運動をすると、ごくまれに重いアレルギー症状を起こすことがあります。
このような、特定の食物を摂取した後に運動することで現れるアレルギー反応は、食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれます。
なお、雑穀米にはそばや大豆が含まれることもあるため、そばアレルギーや大豆アレルギーをもつ人も注意が必要です。
②小さな子ども

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小さな子どもに雑穀米を食べさせるときは、食べ物を噛む力や消化する力に配慮する必要があります。
雑穀米は食物繊維が豊富で、噛みごたえがあります。ところが、小さな子どもは食べ物を噛みつぶす力や、消化する力が十分に発達していません。そのため、雑穀米をうまく噛めないまま飲み込んでしまい、きちんと消化しきれずに胃や腸に負担がかかるおそれがあります。
子どもの歯が生えそろうのは、一般的に2歳半〜3歳ごろとされています。雑穀米を食べさせる場合は歯が生えそろい、しっかりと噛む力があることを確認してからにしましょう。
また、消化器官に負担をかけないように、炊飯前に雑穀米を十分に水に浸し、やわらかく炊き上げることも大切です。
さらに、小さな子どもに雑穀米を食べさせるときは、食物アレルギーにも注意が必要です。
先ほども述べたように、小麦アレルギーは小さな子どもでよく見られます。したがって、小麦アレルギーがある子どもが、大麦やライ麦などが含まれる雑穀米を食べると、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。
加えて、大人と同様に、そばアレルギーや大豆アレルギーがある子どもも、そばや大豆を含む雑穀米は避けるようにしましょう。
雑穀米は栄養バランスを整える選択肢のひとつ

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含まれる穀物の種類によって栄養価は異なるため一概には言えませんが、雑穀米には食物繊維やビタミン、ミネラルが多く含まれる傾向があります。日常的に食べる主食に雑穀米を取り入れると、不足しがちな栄養素が補われ、栄養バランスを整えやすくなるでしょう。
雑穀米は精白米に混ぜて炊飯し、食べることが一般的ですが、最近ではコンビニでも雑穀米を使用したおにぎりなどが販売されています。雑穀米を食べても健康に問題がない人は積極的に取り入れて、不足しがちな栄養素をおいしく補いましょう。
【参考文献】
日本雑穀協会「雑穀の定義」
食品安全委員会 ファクトシート「アレルゲンを含む食品(小麦)」
日本歯科医師会 テーマパーク8020「歯とお口の発生と育ち方」
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。