朝の1杯でスイッチオン!痩せている人がやっている「朝のコーヒー習慣」について管理栄養士が解説

コーヒーの「カフェイン」と「ポリフェノール」がカギ

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コーヒーには、体にうれしい働きをする成分が豊富に含まれています。なかでも注目したいのが、カフェインとポリフェノールです。

カフェイン

カフェインはコーヒー豆に含まれる天然成分で、神経を興奮させる作用があることで知られています。そのため、朝の眠気覚ましとしてコーヒーを飲んでいる人も多いでしょう。

カフェインには交感神経を刺激し、体を活動モードに切り替える作用があります。この作用によって心拍数や体温が上昇することで、基礎代謝が高まるとされています。

基礎代謝とは、生命活動を維持するために、運動をしていなくても消費されるエネルギーのこと。したがって、基礎代謝が高まると、エネルギーの消費量が増加すると考えられます。

ポリフェノール

ポリフェノールとは、植物に広く含まれる苦味や渋み、色素などの成分の総称です。コーヒーに含まれるポリフェノールの主成分「クロロゲン酸」には、脂肪の燃焼を促し、体脂肪を減らす働きがあることが示唆されています。

さらに、食後血糖値の急上昇を防ぐことも、クロロゲン酸に期待できる作用のひとつです。

血糖値を下げる働きをもつホルモン「インスリン」には、余分な糖質を脂肪に変えて体に蓄積する性質があります。したがって、肥満を防ぐためには、インスリンの分泌を必要以上に増やさないことが大切です。

クロロゲン酸によって食後血糖値の上昇が緩やかになると、インスリンの分泌が適正量に保たれ、脂肪の蓄積を防げると考えられています。

ホットコーヒーで体温を上げて代謝アップ

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朝に温かいコーヒーを飲むと体温が上がり、痩せやすくなることが期待できます。

体温は、常に一定をキープしているわけではありません。1日のなかでも変動があり、日中に上昇した体温は夜間に低下し、起床時にもっとも低くなります。体温が低いと基礎代謝も下がってしまうため、エネルギーの消費量を増やして痩せやすい体を目指すには、体温を上げることが大切です。

そこで役に立つのが温かい飲み物です。ホットコーヒーなどの温かい飲み物を摂ると、体の内側から温まり、体温が上がりやすくなります。

せっかく朝にコーヒーを飲むのであれば、ホットを選んで体温を上げ、痩せやすい体に近づきましょう。

朝のコーヒー習慣で押さえておきたいポイント

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朝にコーヒーを飲むときは、次のポイントを意識しましょう。

・食事と一緒に、または食後に飲む

・砂糖は加えない

・飲みすぎに注意する

コーヒーに含まれるカフェインには、胃酸の分泌を促す作用があります。目覚めたばかりの空腹状態でコーヒーを飲むと、分泌された胃酸により胃を痛めてしまうかもしれません。そのため、コーヒーは朝食と一緒に、あるいは朝食のあとで飲むとよいでしょう。

また、コーヒーに砂糖を加えると、血糖値が上昇しやすくなります。摂取カロリーも増えてしまうため、ダイエットを意識するなら、コーヒーはブラックで飲むことをおすすめします。

さらに、カフェインの取りすぎにも注意が必要です。カフェインには神経を興奮させる作用があり、過剰に摂取するとめまいや震え、不眠などの症状が現れるおそれがあります。

カフェインに対する反応には個人差がありますが、朝のコーヒーは1〜2杯を目安にするとよいでしょう。

コーヒーは代謝を促進し、脂肪の燃焼を助ける可能性があります。痩せやすい体をつくるために、朝のコーヒーを習慣にしてはいかがでしょうか。

【参考文献】

福島洋一. カフェイン コーヒーと茶の機能性と新たな展望. 化学と生物. Vol.59, No.4, 2021.

立石絵美など. ラットにおける食後の血糖値に及ぼすコーヒー豆の熱水抽出物の影響. 栄養学雑誌. Vol.62, No.6, 2004.

中村督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部. 2022.

藤井拓人. 苦味による巧妙な胃酸分泌調節メカニズム. ファルマシア. Vol.54, No.4, 2018.

農林水産省「カフェインの過剰摂取について」

いしもとめぐみ

管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。