イスラエルがこれまでに侵略した国々

イスラエルによるガザでの戦争は、ハマスの攻撃を受けて2023年10月に始まって以来、パレスチナ占領地、レバノン、シリア、イエメン、イランの5か国で3万5,000回を超える攻撃を繰り広げてきた。1948年の建国以来、イスラエルは6か国に侵攻し、そのうち3か国は現在も一部または全土を占領している。パレスチナ自治区に加え、7か国で公式に爆撃作戦を展開している。秘密作戦を含めると、イスラエル軍またはイスラエル諜報特務庁モサドが活動している国は15か国に上る。

イスラエルの戦争に巻き込まれた国はどの国か？クリックして見てみよう。

国家は侵略から始まった

イスラエルによるガザ地区への継続的な戦争（写真）は、パレスチナ領への侵攻の中で最もよく記録されているが、これが初めてではないことは確かだ。1948年のイスラエル建国当時、パレスチナはイギリス委任統治領下にあった。

1948年：第一次中東戦争

1948年5月に正式に始まった第一次中東戦争は、アラビア語で「大惨事」を意味するナクバ（Nakba）としても知られている。当時、約100万人のパレスチナ人が国内で避難を余儀なくされ、避難民となった。

イスラエルは分割計画に基づきパレスチナを占領している

イスラエルはイギリス委任統治領下でパレスチナ全土の約80％を占領していたが、これはパレスチナ人の自決権を認めずに行われた、1947年の分割計画でイスラエルに割り当てられた土地よりもはるかに広いものだった。

イスラエルは近隣諸国を侵略した

ナクバはパレスチナ人だけに影響を与えたのではない。イスラエルは国家を樹立するために、エジプト、ヨルダン、シリア、レバノンといった周辺諸国に侵攻した。イラク軍もヨルダン軍と連携し、パレスチナ併合に対抗した。

1956年：第二次中東戦争

1956年、イスラエルはエジプトがイスラエルへの回路を閉鎖した後、再びエジプトに侵攻した。今回は4か月間侵攻が続いた。この期間が一般に第二次中東戦争として知られているが、スエズ危機、あるいはシナイ戦争とも呼ばれている。

イギリスとフランスによる代理介入

イスラエルによるエジプト侵攻は、イギリス軍とフランス軍の支援を受けていた。彼らは、エジプトによるチラン海峡とアカバ湾の封鎖を打破しようとしていたのだ。これはスエズ運河の支配権を握るための代理介入であった。

スエズ運河会社の国有化

当時のエジプト大統領ガマール・アブドゥル＝ナーセル（写真右）は、1858年から1956年までスエズ園がで操業していたフランス企業、スエズ運河会社の国有化を求めた。

ポートサイドはほぼ破壊された

スエズ運河の北端に位置するポートサイドの大部分は、イスラエルとそのヨーロッパ同盟国によって爆撃された。彼らがエジプトから撤退したのは、外圧によるものであった。

1967年のヨルダン川西岸とガザ

1967年まで、ヨルダン川西岸地区とガザ地区に縮小されたパレスチナ自治区は隣国に支配されていた。東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区はヨルダンの統治下、ガザ地区はエジプトの統治下に置かれていた。

写真は、1967年にイスラエルに占領された後、ヨルダン川西岸の都市ナーブルス郊外で降伏を余儀なくされたパレスチナの村人たち。

ナーセルはスエズ運河を通るイスラエルの船舶の航行を阻止しようとする

1967年5月、エジプトのナーセル大統領は再びスエズ運河をイスラエルの船舶に対して閉鎖すると宣言した。1956年の失態に匹敵するイスラエルによる突然の攻撃を回避するため、ナーセル大統領はエジプト軍を両国の国境に派遣した。

UNEFが撤退開始、イスラエルが攻撃

1956年の危機以来、国連緊急軍（UNEF）が国境沿いに駐留していた。ナーセル大統領はUNEF部隊が撤退を開始すると、イスラエルはエジプトへの空爆を開始した。

エジプトの航空資産が破壊される

イスラエルの奇襲攻撃は瞬く間にエジプトの航空戦力をほぼすべて破壊した。同時に、イスラエルはエジプトのシナイ半島とガザ地区への地上侵攻を開始した。

1967年：第三次中東戦争

1967年の戦争は六日間戦争、あるいは第三次アラブ・イスラエル戦争とも呼ばれ、わずか6日間で終結したものの、甚大な被害をもたらした。ヨルダンとシリアはイスラエルの侵攻を阻止するために協力した。

アラブ軍の壊滅

イスラエルはヨルダン川西岸地区において、ヨルダン軍を撃退するため約4万人の兵士を派遣した。この戦争に参加したアラブ諸島は、各国国内でクーデター未遂事件に対処したため、軍事力を弱体化させていた。そして、自国の内政問題によって、その対応は弱体化した。

ソ連の兵器

北アフリカと南西アジアの国々、すなわちイラク、サウジアラビア、リビア、アルジェリア、モロッコ、クウェートは戦場でアラブ諸国を支援した。これらの国々の多くは、旧式のソ連製兵器を使用していた。甚大な損失が発生した。

イスラエルが地域の支配的な軍事力となる

ソ連の兵器は、イスラエルが使用していたアメリカとイギリスの先進的な兵器に太刀打ちできなかった。イスラエルはより高度な兵器を入手できたことで、この地域における軍事力の優位性を確固たるものにした。

死者と避難

この6日間で、エジプト、ヨルダン、シリア全域でUNEF平和維持部隊15名と1万5,000人が殺害された。なんと、エジプト人1万人がたった1日で殺害されたことになる。イスラエルは776人を失った。地域全体で数十万人が避難を余儀なくされた。写真は、ガザ地区でイスラエル軍に降伏するエジプト兵である。

イスラエルの統治

30万人以上のパレスチナ人がヨルダン川西岸地区（写真）から強制的に避難させられ、10万人のシリア人がゴラン高原から逃れた。イスラエルはゴラン高原、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、シナイ半島を占領した。100万人のパレスチナ人がイスラエルの支配下に置かれた。スエズ運河は1967年から1975年まで完全に閉鎖された。

1973年：第四次中東戦争

ヨム・キプール戦争またはラマダン戦争としても知られる第四次中東戦争は、1973年10月に戦われた。戦闘のほとんどは、イスラエル占領下のシリア領ゴラン高原とエジプトのシナイ半島で行われた。

シリアはゴラン高原の奪還を目指した

シリアは1967年の戦争でイスラエルに奪われたシリア領土の奪還を目指し、エジプトはシナイ半島の返還交渉に向けて十分な弾みをつけようとした。戦争は、ユダヤ教の祝日であるヨム・キプールに始まった。

アメリカ合衆国とソ連は代理戦争を戦う

同時に、アメリカ合衆国とソ連は代理戦争を繰り広げており、アメリカ合衆国はイスラエルに、ソ連はアラブ諸国に武器を供給していた。イスラエルはエジプトの一部を侵攻し、シリアの首都上空を空爆した。写真は1973年の進行を報じたシリアの新聞である。

1978年：キャンプ・デービッド合意

ヨム・キプール戦争は、1978年のキャンプ・デービッド合意に繋がった。これは、当時のエジプト大統領アンワル・アッ＝サーダート（写真中央）と当時のイスラエル首相メンヘム・ベギン（写真右）の間で署名された合意であり、ジミー・カーター米大統領の主導で成立した。

国連が非難する協定

キャンプ・デービッド合意は、両国の指導者にノーベル平和賞をもたらした。この合意は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区の管理に関する合意が含まれていた。パレスチナ人は自決権に関する議論や交渉に一切関与していなかったため、国連は合意を非難した。

1978年：イスラエルによるレバノン侵攻

1978年、イスラエルは南レバノンに侵攻した。数十万人のパレスチナ人が追放され、レバノンで難民として暮らしていた。これらの住民の多くは、1948年と1967年の戦争で直接避難を強いられた人々、あるいはその子孫だった。

南レバノンのPLO

パレスチナ解放機構（PLO）はレバノンからの大規模な抵抗勢力を組織し、イスラエル軍施設への攻撃を計画した。1978年3月、パレスチナ武力勢力はイスラエルでバスをハイジャックし、乗客38人を殺害、76人を負傷させた。この作戦は、2023年10月のハマスによる攻撃まで、イスラエル史上最悪の攻撃とされていた。

死者と避難

これに対し、イスラエルは南レバノンに侵攻した。レバノン人とパレスチナ人約2,000人が死亡し、レバノンでは最大25万人が避難を余儀なくされた。国連はイスラエルに対し、レバノンからの即時撤退を要請し、直後に国連レバノン暫定軍（UNIFIL）が設立された。

1982年：ガリラヤの平和作戦

1982年、イスラエル軍とPLOによる度重なる攻撃の後、イスラエルは再びレバノンに侵攻した。イスラエル軍はレバノン南部全域を制圧し、レバノンの首都ベイルートを包囲した。

停戦合意

多国籍平和維持部隊によって停戦が交渉された。条件には、PLOの追放と、イスラエルと同盟関係にあるキルリスト教徒のバシール・ジェマイエル大統領（写真）をレバノンの国家元首に据えることが含まれていた。ジェマイエル大統領は就任直後に暗殺された。

サブラー・シャティーラ事件

キリスト教民兵は、イスラエルのレバノン作戦における成功に不可欠な役割を果たした。彼らは数々の虐殺に関与し、主にシーア派イスラム教徒コミュニティを標的としていた。イスラエル軍の支援と監視の下、キリスト教民兵は1982年9月にサブラーとシャティーラにあったパレスチナ難民キャンプでの虐殺を実行した。わずか2日間で、民兵はベイルートの難民キャンプに居住する約4,000人の難民を殺害した。

2006年：レバノン侵攻

イスラエルは2006年に再びレバノンに侵攻した。レバノン軍は、イスラエルの刑務所に収監されているレバノン国民の釈放と引き換えに、イスラエル兵数名を捕虜にした。イスラエルはレバノンへの地上侵攻と空爆を開始し、民間インフラと軍事拠点の両方を標的とした。国連の仲介により40日以内に停戦合意が成立した。

ヨルダン川西岸侵攻

パレスチナ自治区において、イスラエルはヨルダン川西岸地区とガザ地区への侵攻を繰り返してきた。1967年以降、第一次インティファーダ（1987-1993年）と第二次インティファーダ（2000-2005年）を含む、度重なる軍事作戦が行われてきた。控えめな推計でも、第一次および第二次インティファーダで殺害されたパレスチナ人は約5,500人、イスラエル人はわずか1,000人強とされている。

写真は、第二次インティファーダの最中、ヨルダン川西岸の都市ラマラで、パレスチナ人の子供がイスラエル軍の戦車に向かってゴムパチンコで石を飛ばしている様子。

ガザへの大規模侵攻

ガザへの大規模な侵攻は2008年、2012年、2014年（写真）、2021年、そして2023年に行われた。控えめな推計でも、2008年以降のイスラエルによるガザ侵攻だけで少なくとも10万人のパレスチナ人が殺害されたとされている。これらの作戦で殺害されたイスラエル人は800人未満で、その大半は兵士だった。

秘密工作とモサドの作戦

イスラエルは、前述の国々に加え、チュニジアとスーダンでも直接空爆を実施した。さらにフランス、イタリア、キプロス、ギリシャ、マルタ、アラブ首長国連邦、イランでも秘密作戦を展開していることが知られている。

写真は、モサドの元高官であるミシュカ・ベン＝ダビド。

出典：(El País) (Middle East Monitor) (CNN) (Naval History and Heritage Command) (Al Jazeera) (Mondoweiss) (Britannica) (Office of Historian) (Council on Foreign Relations) (The New York Times) (Universiteit Utrecht) (EBSCO)