実は日本で意外なほど売れていたアメリカ車かもしれない……根強い人気を誇った“ポニーカー”を振り返る

マスタングの初代後期型。日本では”マッハ1”と呼ばれた「Mach1」。当時の日本にはない大排気量エンジンと性能は憧れの存在だったらしい

 トランプ大統領は「アメリカ車を買え」と言うが、何を買えと? と聞きたくなるほど選択肢は少ない。過去を遡り、人気モデルを思い起こしてみると、マスタングやカマロなどの“ポニーカー”が日本人にとってなじみのあるモデルではないかと思うのだ。それらがあれば状況は違っていたのか? と言われれば正直なんともだが、あれば少しは違っていたのかも。懐かしのポニーカーを振り返ってみたい。

文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:シボレー、フォード、ステランティス

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そもそもポニーカーってどんなクルマ?

マスタングの初代後期型。日本では”マッハ1”と呼ばれた「Mach1」。当時の日本にはない大排気量エンジンと性能は憧れの存在だったらしい

 今やほとんど聞かなくなった呼称となっている”ポニーカー”。これはもともと、マスタングやカマロ、チャレンジャーなどスポーティな2ドアで軽快な走りが楽しめるモデルを指したもの。

 サイズや価格が比較的お手頃で、軽快さやスポーティさがポニー(小型の馬)を連想させたことからそう呼ばれるようになったものなのだろう。以降、エンジン、ボディサイズともに大型化され、その後”マッスルカー”なんて呼ばれることも多くなっていくが、そちらの呼称の方がしっくりくるような気がする。

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日本でなじみのマスタング&カマロは代表的な存在

2024年1月で生産終了したカマロ。このイヤーモデルを最後にカマロの歴史は再び休止。これで終わりではないらしいが、次世代モデルは果たして……!?

 代表的な“ポニーカー”である「マスタング」や「カマロ」は、いずれも古くから日本で知られていた数少ないアメリカ車だ。

 初代モデルから輸入されており、マスタングは6代目(先代)まで、カマロは2024年に生産終了するまでの全モデルが日本に上陸している。1960~70年代は米ドルが今よりも大幅に高かったこともあり、初代や2代目あたりは超高級車。当時の日本にはない大排気量エンジンとそれによる圧倒的な性能から、憧れの存在だったようだ。

 そこから時は流れ、1980年代~90年代になると、日本円も高くなり、相対的にアメリカ車は手の届きやすい存在に。ガイシャに乗りたい層も増え、比較的値ごろ感のあったこれらのモデルの人気も上昇。街中で目にする機会もそこそこあった。

 さらに1990年代になると、円高ドル安の影響により、200万円台で新車が買えるような時代もあって、シルビアなどよりも安く買える? みたいなケースもあったのだ。

エンジンモデル終焉前の打ち上げ花火? 高性能化にひた走る現在

マスタングGTD。815psのエンジン、カーボン製のボディを与えられた限定モデル。ニュル6分52秒という圧倒的速さ。これが今年発売された市販モデルということに驚かされる

 1990年代くらいから、アメリカのスポーツモデルはそれまで以上にリアルな速さを追及し始めた。ポニーたちも例外ではなく、一時、モデルライフが途切れ、復活したカマロを始め、マスタングもチャレンジャーも競うように高性能モデルをラインナップ。刻々と迫るエンジンモデルの終了を前に、最後の打ち上げ花火よろしく高性能モデルが続々登場した。

 魅力的な超高性能モデルに物欲は刺激されるものの、為替の影響もあり、再び手が届きにくい存在に戻ってしまった。

 そんなスペシャルモデルでもスーパーカーなどに比べれば安く、また、実用性もそれらよりはずっとある。それでいて速さでは匹敵するレベルにあるのだから、これは買いだ!! と思えてくるが、カマロやチャレンジャーはすでに生産終了。

 残るエンジンモデルはマスタングのみ。それすら正規輸入はされていない有様で、残念ながら日本でこれらのモデルはとにかく手に入れづらい。これらが普通に買えたなら、日本を走るアメリカ車もあと少しだけ増えたかもしれない!?  実際、カマロの2Lモデルなどは若い世代からも人気があったというし。

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