『国宝』好きなシーン投票 1位は「楽屋でのやり取り」、2位は「狂気の舞い」、3位は「娘・綾乃との会話」
シネマカフェでは現在公開中の映画『国宝』の読者アンケートを実施。8月19日から8月24日までのアンケート期間中に1587人からの回答が集まり、読者が選ぶ“好きなシーン”ランキングが決定した。
興行収入110億円を突破し、邦画実写映画歴代2位まで上りつめた本作は、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄の50年に渡る壮大な一代記を描く。
8月28日には、本作が第98回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選出されたことが発表された。
※以下からは、ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
第1位 楽屋での喜久雄と俊介のやり取り

第1位は、花井半二郎の代役として舞台に立つことになった喜久雄が楽屋で震えが止まらなくなり、そこへ俊介がやってくるというシーン。
今回行ったアンケートでは、「俊介が喜久雄に化粧をしてあげるシーンは名シーンだと思います。血と化粧の赤と、血筋と芸。2人の複雑な思いと境遇が相まっている、言葉にはしづらいけど見て感じとれる、心が動かされるシーンでした」、「俊介が悲しみ悔しさやるせない気持ちをぐっと堪えた笑顔が痛々しく突き刺さってきた。目に涙を浮かべながら喜久雄を励ます姿は観ている側も辛くなった」。
「しゃくりあげるような泣き方も、俊介に言われた『大丈夫』をオウム返しにつぶやくのも、幼いこどものようで切なかった」、「心が震えました。涙が出ました。血と技。この場面で俊介が喜久雄を支えるところが、苦しかった。本当はここにいるのは自分だったのに。しかし、喜久雄に技があるのは分かりすぎるほどわかる。優し過ぎて辛かったです」。
「俊介が震えて化粧が出来ない喜久雄にお化粧をしてあげるシーンは喜久雄の『怒らんで聞いてくれるか?』からの『血がないねん』が俊坊、この先も一緒にいてくれるか?に聞こえるしそれに答える俊介の『芸があるやないか』は『血なんてあっても仕方ないのにそんなもの欲しがるな』に聞こえます。その先結局血を持つ俊介が復帰するのも含め、血と芸というこの作品を象徴してる場面だなと思います」と、印象的な台詞のやりとりと、歌舞伎界における“血と芸”に関するコメントが多く寄せられた。
第2位 喜久雄、屋上での狂気の舞い
続く第2位は、歌舞伎界を追放され、どん底に落ちた喜久雄が屋上で舞うシーン。化粧は崩れ、衣装も着崩れした状態で舞う、“狂気の舞”を披露した。
「夜景の綺麗さが舞台にも思えて、キラキラする中で狂ったように舞う姿が印象的。夜でもなく、夜の始まりの時間帯が、良かった」、「どん底に落ちた喜久雄だが、それでも踊りを辞める事が出来ない悪魔に心を捧げた喜久雄の悲哀や絶望感がヒシヒシと伝わるシーンで、今だに忘れられません」。
「喜久雄の、芸(歌舞伎)の為なら魂を捧げる覚悟が心に響いたから。それなのに。坂道を転げ落ちる様に表舞台から消えて、ドサ回りの日々で、自分は何の為に生きているのかと追い詰められた瞬間。舞いは狂気に観えたし、哀しみにも観えた」「予告を観た時から喜久雄の屋上の舞に魅入られてしまった どん底に落ちてもなお歌舞伎が体に染みついて離れられない喜久雄が儚く悲しくそして美しい」。
「このシーンを見た時、ふとジョーカーを思い出しました。美しさ、儚さ、そして内面の力強さ…歌舞伎を知らない私ですが…どのシーンよりも彼の生き様、心の奥深くの声、叫びを静かに静かに感じました」と、このシーンは、喜久雄の悲しみや絶望感が感じられるも、それが“美しさ”に昇華したように見える場面となったようだ。
第3位 人間国宝に認定された喜久雄と娘・綾乃の会話
第3位は、人間国宝に認定された喜久雄が取材を受ける終盤のシーン。取材後、撮影に移った喜久雄は、成長しカメラマンになった娘・綾乃と会話を始める…。
読者からは、「人間国宝になった父に『何人の人を犠牲にしたと思ってる?』と、寂しかった胸のうちを恨みはすれども、舞台を観ると素晴らしい姿に心から賞賛。その言葉が一番心にしみました」、「綾乃の『日本一の歌舞伎役者になりましたね、お父ちゃん』の言葉で救われた気がしました」。
「母と自分をないがしろにした喜久雄を恨んでいるのに、それでも素晴らしいと言わせる喜久雄の芸。その時綾乃は『何不自由なく』的な事を言ったけれど、全然何不自由なくでは無かった喜久雄の半生の悲しさ厳しさが胸に沁みました」など、一言では言い表せない父と娘の関係性や、そこから生まれる複雑な感情に言及するコメントが多く見られた。
4位以降はこちら。
第4位:少年・喜久雄と俊介の稽古の日々

第5位:喜久雄と悪魔の取り引き

第6位:白虎と半ニ郎の襲名披露
第7位:逃げ出した俊介と春江の会話

第8位:喜久雄と俊介の喧嘩

その他

・病室でお初の稽古をしている時、半二郎にダメ出しされた喜久雄が自分の頬を殴った場面
・2人揃っての最後の舞台で喜久雄が俊介を支えて花道を歩くところ
・万菊さん病床で喜久雄に向けた目線と手招き
・「あなた、歌舞伎が憎くてしょうがないんでしょ?」
『国宝』は全国東宝系にて公開中。