トヨタで全固体電池開発を担当する海田啓司センター長、バイオ燃料開発にも取り組む
なぜトヨタがバイオ燃料に取り組んでいるのか
カーボンニュートラルエネルギーのバリエーションについて
トヨタ自動車は8月28日、福島県大熊町で同社が開発を進める植物由来のバイオ燃料についての説明会を実施した。この説明会には同社 カーボンニュートラル開発センター センター長 海田啓司氏、同 CNエネルギー開発部長 久野央志氏が登壇、なぜトヨタがバイオ燃料に取り組んでいるのかの説明がなされた。
海田センター長はトヨタで新型バッテリシステムや全固体電池の量産化に取り組むなど、電池の先行開発を率いる人物として知られている。海田氏によるとトヨタとしてバイオ燃料開発に取り組む背景には、バッテリEVや水素、e-Fuelなどさまざまな形で脱炭素を進めていく「マルチパスウェイ」戦略があり、その中でカーボンニュートラル燃料である植物由来のものに着目したとのこと。
トヨタ自動車株式会社 カーボンニュートラル開発センター センター長 海田啓司氏
福島で進めるきっかけとなったのは、4年前に渉外の執行役員であった長田准氏とともに当時の豊田章男社長に「電池もやらないといけないけれども、燃料というところもある程度、どういうふうに使えるかということをやっていかないといけない」と相談。「食料とバッティングしないバイオ燃料などを福島でぜひ進めさせていただきたい」と話をしたところから始まったという。
福島を選んだのは、東日本大震災の復興という観点ももちろんあるとのことだが、除染対策のために土の表面がはがされ、そこに別の土地から土をもってきたことから土地の力が落ちているという問題もあったため。土地の地力を上げるために、荒れた土地でも育ちやすい強い植物を植え、まずは土地の力を回復したいという思いもあるという。
そういった強い植物の茎や葉っぱ、つまり人などの食料にならない部分を使って効率よく燃料を作れないかと、取り組んでいるとのこと。
とくに植物由来のバイオ燃料であれば、カーボンニュートラルであるのはもちろん、途中の過程で発生するCO2をCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)などの技術で閉じ込めることでカーボンマイナスにもできる可能性があるとも語る。
バッテリEVの普及について
カーボンニュートラルエネルギー
エネルギーの安定化について
カーボンニュートラル燃料について
また、液体系の燃料であれば現在のバッテリに比べて質量エネルギー密度が20倍以上あり、飛行機や船ではカーボンニュートラルの方向性としてもSAF(Sustainable Aviation Fuel)であり、効率のよさはあるとのこと。
クルマ用としてはバッテリEVという方向性となっていたが、お客さまとしてはHEVもあり、PHEVもありという志向になっていると語る。
もちろんトヨタとしては、10分の充電で1000km走行というバッテリ開発に取り組んでいることは発表しており、その開発を率いる海田センター長が4年前から液体燃料の開発にも取り組んでいたのは、改めて驚いた部分だった。
トヨタのチャレンジ
トヨタとしては国産バイオ燃料の活用も視野に入れての脱炭素を推進し、非可食のバイオ原料をエタノールに変換できる世界最高レベルの酵母菌開発、乾燥・痩せた土地でも育つ植物(ソルガム)の増産にチャレンジしているという。
世界最高レベルの酵母菌については、説明会と同日に豊田中央研究所から「TOYOTA XyloAce(トヨタ ザイロエース)」が発表され、非可食部の主成分であるセルロース/ヘミセルロースからのエタノールへの理論的な変換効率において世界トップレベルとなる95%以上にまで高めることに成功した。
ソルガムについては、この大熊町においてさまざまな種類のソルガムを育てており、どういったものが効率よく燃料になるかを確認。そのソルガムをバイオエタノールへ最終的に変換する設備として、次世代グリーンCO2燃料技術研究組合が生産研究設備を大熊町内で稼働させている。
カーボンニュートラル燃料の実証研究について
大熊町内にある次世代グリーンCO2燃料技術研究組合のバイオエタノール生産施設
海田センター長によると、トヨタとしてはそのものを事業化するというよりさまざまな企業と協業して開発を行なっている段階とし、とくに燃料面では燃料事業者もあることから、技術開発の部分を強調していた。