隣家から常に漂うカレーの香り 上手とは言えない太鼓の音 「異国風な暮らし」の隣人からの「じわじわストレス」に体が悲鳴
個性的だけど…礼儀正しい人だったんです
ヨガ風の民族衣装に身を包み、毎日スパイスから調合したカレーを作り、太鼓のような打楽器を叩く——そんな“インド人になりたいのかもしれない”隣人が越してきた日から、Aさん(関西在住、50代、主婦)一家の暮らしは以前の平穏さを失いました。直接的な被害はないけれど、じわじわ効いてくる匂いや音というストレスに、どう向き合えばいいのでしょうか。
第一印象は「礼儀正しいんだけどなんかちょっと変な人」
Aさんが家族で住む戸建ては、30年ほど前に宅地造成された住宅街にあります。駅からはバスで10分程度と徒歩ではやや距離がありますが、周辺には中規模の病院や高校が点在しており、バスの本数も少ない時間帯でも1時間に5本程度と便利な場所です。古い戸建ても残る一方で、最近は世代交代が進み、新たに建て直される家も増えています。
そんなAさんの隣家は、この1年ほど空き家になっていました。子どもが就職して家を出たあと、夫婦で10年ほど暮らしていた家でしたが、介護付きマンションに引っ越したとのことでした。
そんな隣家が賃貸に出されたようで、空き家に新しい住人がやってきました。「お隣に越してきました。Bです。よろしくお願いします」と礼儀正しそうな男性が挨拶にきたのですが……。
第一印象は「ヨガの達人」。若く見えるような老けているような、不思議な雰囲気です。痩せていて髪は短く刈り上げているけれど髭は長め。そして東南アジアの民族衣装のような服を着ています。
一瞬驚いたものの、「在宅勤務のエンジニアで、ひとり暮らしです。仕事部屋と資料部屋を分けたくて戸建てを選びました。ゴミの出し方などで不明な点があれば、教えてください」ときちんとした挨拶をされ、Aさんは「少し個性的だけど、良い人に入ってもらえてよかった」と思いました。
「毎日カレーです」それはいいんだけど…
数日後の昼時、Aさんは嗅ぎなれない匂いに気がつきました。漢方薬のような、カレーのような、スパイスやお香のような香りです。
臭いというほどではないけれど、洗濯物に移ったら嫌だなと感じる匂いでした。どうも隣家のキッチンの換気扇から漂ってくるようです。
その日は特に気にしなかったのですが、それから毎日のように食事時になると強い香りが漂ってくることに気がつきました。
匂いが気になるAさんは洗濯物を早めに取り込むようになり、隣家との間の窓を開けないよう気をつけるようになりました。とはいえ内心では「なぜ自分がそこまで気を遣わなければならないのか」と不満に感じるようになっていきました。
ある日ゴミ捨てのタイミングでばったりBさんに会ったAさんは思い切って尋ねてみることにしました。
「あの、結構自炊されます?すごくスパイシーな香りがするなあと思って……」
「わかります!?僕、本格的なインド料理にハマっていて。スパイスの調合からしてるんですよ。友人には『毎日カレーかよ』って言われてます」とBさんは笑顔で答えました。
匂いの正体がわかったとはいえ、「カレーを毎日作らないでほしい」とまでは言い出せず…。香りが漂い始める時間になると窓を閉める日々が続いています。
変な打楽器の音が毎日響き、イライラ
さらにしばらくすると、日中に太鼓のような音が聞こえるようになりました。そこまで大きな音ではありませんが、テレビを消して隣家に面したリビングの掃き出し窓近くのソファに座っていると、かすかに「ポコン ポコポコ」という音が聞こえます。
お世辞にも上手とは言えない演奏と、聞き慣れないリズムに、Aさんは苛立ちを覚えました。
「匂いも音も、お互い様の範囲といえば確かにそうかもしれません。でも、自分が好きでもない匂いや音に毎日付き合わなければならないのは、正直かなり辛いです。本当に、毎日が修行みたいで…。いっそ、夜中に大きな音を出すとか、ペットを多頭飼いして悪臭がする、といった明確にクレームを入れられるようなケースの方がまだマシかも…とすら思ってしまいます」
確かに、「クレームを言うべきか迷うレベルのこと」が日常的に続く方が、ストレスになるのかもしれません。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)