それは停車じゃなくて駐車です! うっかり違反を招く「駐車違反の勘違い」あるある

それは停車じゃなくて駐車です! うっかり違反を招く「駐車違反の勘違い」あるある

 特に都心部をクルマで移動すると、「駐車場の金額が恐ろしく高い」「そもそも駐車場がない」「満車」など駐車場所に苦労することが多い。そして「ほんの数分だから、駐車にあたらないよね」と思って停車したら……。

文/山口卓也、写真/写真AC

【画像ギャラリー】駐車違反の常識と非常識とは?(7枚)

そもそも「駐車」と「停車」の違いはわかっていますか?

それは停車じゃなくて駐車です! うっかり違反を招く「駐車違反の勘違い」あるある

夜の繁華街でよく見られる、公道でのタクシーの客待ち。これもれっきとした駐車違反

 「駐車」とは、車両の停止が継続して行われる状態を指し、例えば、以下のような停止の場合には駐車とみなされるので要注意!

・タクシーなどが客待ちをするための停止

・貨物車などが荷物が来るのを待つための停止

・駅前などでよく見かける、出迎え待ちをするための停止

︎「客待ち、荷待ち、人待ち」はすべて駐車。時間は関係ナシ!

 「え? 5分以内なら駐車にあたらないんじゃないの!?」と思われるかもしれないが、「客待ち、荷待ち、人待ち」のための停止に時間の長短はまったく関係なく、たとえ1分でも駐車とみなされるのだ。

 これ、「時間によるよね」と、間違えて認識しているドライバーは多いと思うが、学科試験のひっかけ問題としてもよく出題されるので覚えておきたい。

 さらに、

・5分を超える荷物の積み下ろしのための停止

・お店などに入って、すぐに発進できない状態での停止

・車両故障などによる停止

 も駐車とみなされる。

︎駐車にあたらない停止を「停車」という

 「停車」にあたるとみなされるのは意外と厳しく、次の3つ。

1.人の乗り降りのための停止

 例えば、人がすでに待っている状態のところにクルマが来て停車し、そのまま乗り込んで発車……は停止。人がなかなか来なくて、クルマが停止して待っている状態ならたとえ1分でも駐車である。

 逆に、大型観光バスなどから多くの乗客が乗降するために10分停止した場合は、停車とみなされる。

2.荷物の積み下ろしのための5分以内の停止

 荷物の積み下ろし5分以内は停車。5分を超えると駐車。

 ところで、クルマを止めて荷物を持って少し離れた荷受人のところまで行き、インターホンを鳴らしても出ない、あげくに不在票を書いて……などの作業が必要な仕事に従事している人はかなり時間を気にしていることだろう。

 この場合は残念ながら、荷物を持ってクルマから離れ、「いつでもクルマを動かせる状態」でなくなれば5分以内でも「放置駐車」とみなされてしまう可能性が高い。

3.ドライバーがすぐに戻ることができる場所での短時間の停止

 これ、例えば「目の前の店でコーヒーを購入してすぐ戻るだけだから」などは駐車とみなされる可能性大。なぜなら、商品を選んでレジ列に並び、そして支払いをし……では「すぐに移動させられる状態」とは言えないため。

駐停車禁止の場所は語呂合わせで覚えよう

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横断歩道からは最低でも5mは離れて停車しなくてはならない。もちろん、駐車など論外

 駐車と停車の違いがわかったところで、駐停車禁止について。

 駐車と停車が禁止されているのは、駐停車禁止の標識や標示がある場所以外に次の9カ所。

1.坂道の頂上付近、勾配の急な上り下りの坂

2.軌道敷内

3.トンネル

4.交差点とその端から5m以内

5.道路の曲がり角から5m以内

6.横断歩道・自転車横断帯とその端から前後5m以内

7.踏切とその端から前後10m以内

8.安全地帯の左側とその前後10m以内

9.バス・路面電車の停留所の標示板(柱)から10m以内(運行時間中に限る)

︎覚えづらいので、語呂合わせで覚えたい!

 非常に覚えづらいので、語呂合わせで覚える方法が有名。それが「校長危篤 5才のコマオ 10年不安定」だ。

=コウチョウキトク 5才ノコマオ 10年フアンテイ

コウ=勾配の急な坂

チョウ=頂上付近

キ=軌道敷内

トク=トンネル

5才ノ=5m以内

コ=交差点

マ=曲がり角

オ=道断歩道や自転車横断帯

10年=10m以内

フ=踏切

アン=安全地帯

テイ=停留所

それでも「うっかり駐車違反」はなくならない

それは停車じゃなくて駐車です! うっかり違反を招く「駐車違反の勘違い」あるある

クルマが故障し動かせなくても、駐車違反になる可能性は十分にある。道路交通法で故障による停止も「駐車」に含まれるためだ。駐車禁止区域であれば取り締まられる

 ちなみに、停車違反で警察に捕まることは稀だ。なぜなら、ドライバーはクルマの近くにいることが多く、巡回中のパトカーなどから「〇〇の運転手さん、クルマを移動させてください」と移動を促されることがほとんどだからだ。

 だが、駐車はドライバーがクルマのそばにいないことが多く、多くは駐車監視員や通報によって静かに取り締まりが行われることが多い。そして近年、駐車違反に関してはドライバーの意識の高まりもあって、検挙数は減少傾向という。

 なのにいまだに駐車違反で捕まってしまうドライバーがいる。その多くは「うっかり駐車違反」である。

︎うっかり駐車違反の例

 例えば、「愛車が故障して駐車禁止区域に停車。どうしても動かすことができないので、”故障中”と書いた貼り紙をダッシュボードの上に置き、近くのクルマ屋へ修理依頼をしに行った」は、駐車違反。

 やむを得ない原因ではあるが違反になるのだ。もしこのような状況に陥ったらまずはクルマを安全な場所に停止させた上でJAFへ連絡! そして「面倒だな……」と思っても、クルマの付近で待機するしかない。

 例えば、「駐車禁止区域ではない友人宅前の道路脇に駐車。だが、いつもの軽自動車ではなく大型乗用車を駐車したら、”無余地駐車”違反として取り締まりを受けた」も駐車違反。

 「無余地駐車」とは、クルマの右側の道路に3.5m以上の余地がない状態で駐車すること。狭い住宅街では、軽自動車ならギリOKだが、大型車だと違反となりうる場所も多い。

 「うっかりなのに、いちいち細かいよな〜!」と思うかもしれないが、そもそも駐車や停車が禁止されている理由は、そこにクルマが停まっていると危険だから。

 例えば「緊急車両が通れない」「事故が起こる可能性大」など、交通の円滑な流れを確保&事故防止のためであることは認識しておきたい。

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