ワークマン「着る1500円医療機器」の正直な感想

着るだけで疲労が取れる?製品の仕組みと特徴, 就寝時に着用してみた, トレーニング後のリカバリーウェアとして, 総評:費用対効果抜群の「着る医療機器」

ワークマンが発売したリカバリーウェア。破格の価格設定と確かな機能性を両立したこの製品が、大きな注目を集めている(撮影:筆者)

近年、スポーツコンプレッション・リカバリーウェア市場が拡大を続けている。Fortune Business Insightsなどの調査によると、この分野は今後も年平均6〜8%の成長が見込まれており、運動習慣のある人々だけでなく、ビジネスパーソンや在宅ワーカーの間にもその需要は広がっている。

【写真を見る】一般医療機器として認定されたワークマンのリカバリーウェアとは?

「着るだけで疲労が軽減される」「血行を促進し睡眠の質を高める」といった機能性を打ち出した製品が、アンダーアーマーやBAKUNE(TENTIALによるリカバリーウェアブランド)、ベネクス(医療・介護分野でも活用される老舗ブランド)やブレインスリープ(睡眠科学に基づいた設計が特徴)などの有名ブランドから次々と登場している。

しかしその多くは、1着あたり8000円〜1万5000円程度と高額で、機能性に惹かれつつも気軽には手を出しづらいのが現状だ。

そんな中、作業服ブランドとして知られるワークマンが、一般医療機器として登録されたリカバリーウェア「メディヒール® リカバリー長袖クルーネック」を、わずか1500円で発売。破格の価格設定と確かな機能性を両立したこの製品が、大きな注目を集めている。

本記事では、実際にこの製品を日常生活に取り入れ、その使用感や効果を検証した。

着るだけで疲労が取れる?製品の仕組みと特徴

「メディヒール® リカバリー長袖クルーネック」の最大の特徴は、身体から発せられる遠赤外線を高純度セラミックスが輻射することによって血行を促進し、疲労を緩和する点にある。この技術は医療機器として届け出がなされており、第三者機関による臨床試験でその効果が確認されているという。

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パッケージに効能の説明がある(撮影:筆者)

加えて、デザイン面にも工夫が凝らされている。両脇から腰部分にかけては通気性の高いメッシュ素材が採用されており、熱のこもりやすい部分の蒸れを防止。さらに、縫い目を外側に配置することで肌との摩擦を減らし、敏感肌の人でも快適に着用できるよう配慮されている。

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表側はこんな感じ(撮影:筆者)

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裏側はこんな感じ(撮影:筆者)

就寝時に着用してみた

最初に試したのは「就寝時」だ。筆者はもともと寝つきが悪く、特に夏場はエアコンを使っていても深く眠れない日が続くタイプである。このウェアを着て眠った初日、外気温が高い中でも、体感的に“暑苦しい”というより“ほんのり温かい”と感じる程度の心地よい暖かさがあった。これは、遠赤外線の輻射による血行促進の効果なのか、身体の芯からじんわりと温められているような印象を受けた。

この遠赤外線は、自律神経のうち副交感神経を優位にすることで、身体をリラックス状態へと導くとされている。入眠前に身体が温まることは、入眠までの時間を短縮し、より深い睡眠へとつなげるカギでもある。

着用を継続することで、いくつかの変化があった。入眠までの時間が短縮され、特に布団に入ってからスマホを見ながらうとうとするまでの時間が早くなったことを実感。さらに、夏の蒸し暑さで目が覚めることが減り、朝まで心地よい眠りが続くようになった。起床時のだるさや、身体の重さも軽減されたように感じられる。

筆者はスマートウォッチを使って睡眠の質をトラッキングしているが、ウェア着用中の1週間では「深い睡眠」の割合が平均5〜7%程度上昇していた。もちろんこれは個人差がある結果ではあるが、体感だけでなくデータにも一定の変化が見られたのは興味深い。

劇的な改善とは言わないまでも、確実に“何かが違う”と感じられるレベルの変化があった。特に慢性的な疲労やストレスで眠りが浅いと感じている人、寝る直前までスマホを見る生活習慣のある人にとっては、身体をリセットする一つの有効なアプローチになり得る。

なお、こうしたウェアは即効性を期待するよりも、継続的に使い続けることでじわじわと効果を実感していくタイプの商品である。だからこそ、価格的に続けやすいという点も、この製品の大きな魅力だ。

トレーニング後のリカバリーウェアとして

「メディヒール® リカバリー長袖クルーネック」は、その名の通り運動後の回復を意識して設計されたウェアだ。

ランニングや筋トレ後、筋肉に乳酸が蓄積しやすいタイミングで着用すると、血行促進による老廃物の排出をサポートし、翌日の筋肉疲労や張り感を軽減してくれる。実際に試してみると、じんわりとした温かさが筋肉を包み込み、適度なフィット感が揺れを抑えてトレーニング後の身体を安定させる感覚があった。

メッシュ素材のおかげで汗をかいても蒸れにくく、屋内ジムや自宅トレーニング後のクールダウン時にも快適。高価なスポーツブランド製品には及ばない部分もあるが、1500円という価格を考えれば十分すぎる性能だ。

さらに、洗濯を重ねても型崩れや機能低下は見られず、日常着としても優秀な一着と言える。

真夏の高温多湿な環境では、このウェア特有の“遠赤外線による温感”が快適性を損ねる場面があった。特に冷房の効いていない屋外や通気性の悪い室内では、温かさがむしろ暑さとして感じられ、不快感につながる場合がある。そのため、夏場の使用は冷房や送風との併用が現実的な運用方法となるだろう。

半年間、断続的に着用した結果、血行促進による疲労軽減効果を数値で明確化することは難しいものの、睡眠の質向上や肩こりの軽減といった間接的な変化は十分に実感できた。加えて、医療機器としての登録による安心感と、この価格帯では他に類を見ないコストパフォーマンスの高さも評価できる。

総評:費用対効果抜群の「着る医療機器」

ワークマンの「メディヒール® リカバリー長袖クルーネック」は、リカバリーウェアの入門モデルとしても、継続的な健康習慣の一部としても有力な選択肢だ。

一般医療機器としての信頼性、着用者が実感できる快適性、そして1500円台という手に届きやすい価格設定。これらが三位一体となり、単なるトレンド商品ではなく“日常に溶け込む機能服”として存在感を放っている。

疲労感を抱えるすべてのビジネスパーソンや、日常的にコンディショニングを意識するアスリートにとって、この「着る医療機器」は、静かに日々を支える新たな選択肢となるはずだ。

前編はコチラ⇒「袖を通した瞬間…」ワークマン≪疲労回復パジャマ≫が快眠市場の常識を変える?