静岡県浜松市の最北部にある『スーパーまきうち』。「山でまぐろ」が人気を呼ぶスーパーは、いまでは珍しい対面式販売!

よろずやを経てスーパーとなった『スーパーまきうち』は、春開催の「山でまぐろ祭り」での本格的なマグロの解体ショーを目当てに、県外からも多くの人がやってくる。店先はこぢんまりとしているが、中に入ると驚くほどの活気ぶり。鮮魚、総菜、精肉は、いまでは珍しくなった対面式販売だ!

今回のゴー!ゴー!

『スーパーまきうち』(静岡県浜松市)

今回のゴー!ゴー!, 『スーパーまきうち』(静岡県浜松市), 『まきうち』名物!手づくりの味, 人気の定番。地元の日常食, イベントに注目!

静岡県浜松市の最北部にある『スーパーまきうち』。「山でまぐろ」が人気を呼ぶスーパーは、いまでは珍しい対面式販売!

「春開催の『山でまぐろ祭り』は2025年で4年目」と『スーパーまきうち』の牧内真美社長。「山でまぐろ祭り」とは、夫の牧内基(もと)店長が魅了する、本格的なマグロの解体ショーなどで、大勢の人がマグロ目当てに訪れる人気イベント。

地元客だけでなく、県外からも人を呼ぶ「マグロ解体ショー」は評判となり、いまや近隣のイベントに呼ばれるほどです。

浜松市最北部の天竜区水窪町(みさくぼちょう)。決してアクセスがいいとはいえない場所でも「山でまぐろ祭り」は大盛況。そして、ほぼ毎週土曜には何かしらのフェアを開催。今回の訪問時は「まぐろ VS かつおフェア」でした。

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店の奥に並ぶ、対面式の鮮魚、総菜、精肉コーナー。のんびりと品定めしてお待ちを。

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全方向に意識を配り、さまざまな要望に対応する社長・真美さんの技がすごい!

深い緑の山が迫る風景のなか、むかしの街道筋に立つこぢんまりとした店先では、近隣住民が「元気だった?」と立ち話中。一見、のどかな雰囲気ですが、店内は驚くほどの活気です。

奥の一面は、左から鮮魚、総菜、精肉と、いまは珍しい対面式販売ではありませんか! お客さんの要望にこたえながら、すでに先に聞いた注文品を薄紙に包むと、新しくやってきたお客さんに「いらっしゃい!」とすかさず声がけする、マルチタスクが見事。

かつてはダム工事関係者で栄えた水窪で、スマートボール店だった歴史もある『まきうち』。よろずやを経てスーパーとなった店を、先代から引き継いだ牧内夫妻です。

そんな二人が山でまぐろ祭りのPRで訪れた県境の愛知県東栄町で出会ったのが、一級建築士の澤井一慶さん。休耕田で栽培した米でつくったおにぎりを、リノベーションした古民家カフェで提供することで、町に新風を起こしていました。真美さんは、すぐに澤井さんを水窪へ招致。2025年5月には、『まきうち』の向かいに古民家をフルリノベしたカフェ&宿泊施設「SayU(せいゆー)」がオープン。

「水窪に来た人たちが泊まったり、カルチャーを体験したりするような空間にできたら」と、同じ並びにもう一軒、『まきうち』所有の古民家も改装が進んでいます。

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揚げたてを待つほど、手づくり総菜が好評。

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この日はマグロメンチカツが一番人気。

『まきうち』名物!手づくりの味

定番のまきうち手づくり総菜のほか、ほぼ毎週土曜のフェアで特別に提供されるメニューに注目です。この日は「まぐろ VS かつおフェア」。「新鮮で安い」と常連客太鼓判の味。

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「まきうちの若どり旨辛チキン」(左)と「まきうちの親鶏うま辛チキン」。辛いものが好きな水窪の人たちにうけるのではと考案したら、町内にあった焼肉店の味つけに似ていると好評を得る。フライパンで焼いてどうぞ。冷蔵と冷凍がある。

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「まきうちの漬けまぐろ巻き」(左)と「まきうちのかつお丼」。

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「このあたりでは、刺身といえばマグロ!」と並ぶ、焼津で水揚げされたミナミマグロの刺身。

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新聞紙に包む、むかしながらのスタイルが『まきうち』流。

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「まきうちの袋煮」100gは名物総菜の一つ。揚げに味が染みているのに中の卵の黄身がやわらかな、絶妙なる仕上がりをついに見つけた苦労の一品。

人気の定番。地元の日常食

地元浜松市のほか、愛知や長野と接する町のため、扱う食品も各県から集結。山と清流の町・水窪のむかしながらのメーカー品は愛され続けています。

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地元で「じゃがた」と呼ばれる、小粒じゃがいもと「自家製じゃが芋の煮ころ」。

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やさしい味わいの地元菓子店のぽん菓子は『杏庵(きょうあん)ぽんや』製。

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地元農家に伝わる、伝統製法の「米山蒟蒻(こんにゃく)店」の水窪名産のこんにゃく。板こんにゃくと糸こんにゃくがある。

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地元の人は一斗缶から取り出して購入する。

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静岡の名産「金山寺」みそ(丸岩松本商店)。右は真美さんが探し求めた、子どもに安心して食べさせられる「ドラゴンママの手づくりみそ」。市内の龍山町で青山志ず美さんが醸造している。

イベントに注目!

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「山でまぐろ祭り」のユニークなポスターは真美社長がプロデューサー、基店長が演者となって制作。土曜のフェア情報や、リノベ中のまきうちの施設(写真上)の展開などはInstagramをチェックしよう! @super_makiuchi

スーパーまきうち 住所:静岡県浜松市天竜区水窪町奥領家2994-4/営業時間:9:00~19:30/定休日:日/アクセス:JR飯田線水窪駅から徒歩8分

取材・文・撮影=菅原佳己

『旅の手帖』2025年8月号より

菅原佳己

スーパーマーケット研究家

執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。