MLB 大谷翔平45号でやじ将軍とハイタッチ 松井撃ちベンチ帰還前の寄り道で粋な仕返し ド軍M31点灯

九回に本塁打を放ったドジャース・大谷翔平(右)は、ヤジを飛ばしていたパ軍ファンとハイタッチした(撮影・佐藤徳昭)

【サンディエゴ(米カリフォルニア州)24日(日本時間25日)=竹濱江利子通信員】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手(31)が、パドレスとの今季最終戦に「1番・DH」で出場し、九回に松井裕樹投手(29)から右翼席へリーグトップに並ぶ45号ソロを放つなど4打数1安打1打点、2得点。本塁打でホームインした後、試合中にやじを飛ばしていたパドレスファンとハイタッチを交わす異例の行動で話題をさらった。チームは8―2で快勝し、同率首位に浮上。4年連続のナ・リーグ西地区優勝へ、マジック「31」が点灯した。

パ軍との今季最終戦に勝ちM31が点灯したドジャース・ロバーツ監督(撮影・竹濱江利子通信員)

敵地ペトコ・パークで異例の光景が広がった。九回、右翼席へナ・リーグトップに並ぶ45号ソロを放ち、ダイヤモンドを一周した大谷が寄り道した。ロバーツ監督やチームメートと喜ぶ前に、三塁ベンチ横にいたパドレスファンの元へ向かった。いつもなら、恒例となっているヒマワリの種のシャワーをすぐに浴びるが、この日は違った。

大谷翔平は松井撃ちでリーグトップタイの45号(撮影・佐藤徳昭)

パ軍のスーパースター、タティスのユニホームを着用した大柄の男性にハイタッチを求め、肩をぽんとたたいた。大谷の珍しい行動に、ドジャースベンチは大盛り上がり。ロバーツ監督によると、大谷はそのパ軍ファンから試合中ずっとやじを飛ばされていたという。

「ああいうふうに振る舞うのは珍しいね。ずっとやじられていたから、ハイタッチをしたのはいい光景だった。ショウヘイの人間味というか、個性を見られてよかった」

ロバーツ監督は目の前で繰り広げられたやり取りにご満悦だった。指揮官によると、パ軍ファンの男性は試合を通じて「いかに大谷がこのシリーズでひどかったか」というやじを執拗(しつよう)にぶつけていたという。パドレスとの直接対決で2試合連続無安打だった大谷は、やじっていたファンの目の前で駄目押しとなる一発を放った。握手を求められたファンは『参りました』と言わんばかりに頭を下げた。

この日、2本塁打を放ったフリーマンも大谷の一発が痛快だったようだ。3番を打つ左打者は打撃好調で首位打者に立っており、「(パ軍のファンは)俺には全然言ってこなかったんだけど、ショウヘイにはずっとやじを飛ばしていたよ」と振り返り、「(大谷は打てないというやじの内容とは)違うということを見せてくれてうれしかったよ」と笑った。

7―2の九回。松井が投じた高めの直球を完璧に捉えた。松井からのメジャー初本塁打となる一発は出場4試合ぶりで、トップのシュワバー(フィリーズ)に再び並んだ。2年連続3度目の45号に到達し、大台の50本塁打を射程に捉える。2年連続で50本塁打を放ったのはベーブ・ルースらメジャー史上で5人しかいない。

「打線全体でいい打席が目立った。きょうの試合は今後チームがやっていこうとする攻撃を示してくれた。粘り強く戦い、気を緩めることもなかった」と指揮官。大谷は3点リードの七回に、三塁手が深く守る布陣を見て、セーフティーバントを試みる場面もあった。

レギュラーシーズンでは今季最終戦となったパドレス戦を勝利で終え、9勝4敗と大きく勝ち越し。負ければパドレスにマジックが点灯する一戦だったが、ドジャースに地区優勝マジック「31」が点灯した。「直接対決はきっちりやり切った。ただ、気持ちはすでに次へ向かっている」とロバーツ監督。シーズンは残り31試合。優勝争いがヒートアップする中、敵地のファンに〝お返し〟した大谷がラストスパートをかける。