国民健康保険料が2024年度から上限引き上げ!対象となる年収層は??詳細を徹底解説!

2024年度から保険料の負担増?フリーランスや自営業者が注意すべき収入ラインとは

国民健康保険料の上限が引き上げになってから早1年に, 国民健康保険料の上限額はいくらになった?, 上限額に達する年収の目安をチェック, 「国民健康保険料」の上限額は数年増加の傾向が続いている, そもそも「国民健康保険の加入者」はどのような人?, 「国民健康保険料」の保険料目安はいくら?, 公的制度の動向に注目

国民健康保険料が2024年度から上限引き上げ!対象となる年収層は??詳細を徹底解説!

皆様は毎月のお給料明細を見ていらっしゃいますでしょうか?所得税・住民税などの税金の他に、社会保障制度の保険料がお給料から差し引かれております。

海外と比較しても日本の社会保障制度は充実しており、私たちの生活に欠かせないものです。

例えば病気にかかったりケガをしてしまったときに、自己負担三割で治療を受けることができます。

社会保障制度がなかったら、病院を受診したときに今の三倍以上のお金がかかることを想像すると…いかがでしょうか?

病院を受診するのをためらったり、受けたい治療を受けられなくなってしまうかもしれません。

現在日本は少子高齢化の影響もあり、生涯にかかる医療費は年々増加傾向にあります。

それに合わせて社会保障の保険料負担も上昇傾向にあり、たとえば2024年度の国民健康保険料の上限は2万円引き上げとなりました。

物価高により毎月の支出も増える中、お給料からこれ以上引かれるのは困る…と、今回の引き上げについて気になっている方も多くいらっしゃるかと思います。

今回の改定で保険料が上がったのは、国民健康保険の加入している一部の自営業の方や、フリーランスの方です。

具体的にどんな方が対象なのか、どの程度収入に影響があるのか、この後確認していきます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

国民健康保険料の上限が引き上げになってから早1年に

今からおよそ1年前である2024年度から、国民健康保険料の上限が2万円引き上げられたことをご存知でしょうか。

ただし、誤解のないよう補足すると、すべての加入者の保険料が一律で2万円増えたわけではありません。

国民健康保険料は所得に応じて決定されますが、一定の所得に達すると「上限」が適用され、それ以上は増えない仕組みになっています。

そのため、今回の上限引き上げの影響を受けるのは、上限額に達していた世帯のみです。

この「限度額(合計額)」の超過世帯は全体の1.4%台とされており、主にこの層を対象に上限の引き上げが検討されました。

厚生労働省の資料では、「中間所得層の被保険者の負担に配慮」「引上げによって中間所得層の負担増加を抑える」と繰り返し説明されており、全体的なバランスを考慮した改定となっています。

国民健康保険料の上限額はいくらになった?

2023年度の国民健康保険料の上限は104万円で、その内訳は基礎賦課分65万円、後期高齢者支援金等賦課分22万円、介護納付金賦課分17万円でした。

2024年度には、後期高齢者支援金等賦課分が24万円に引き上げられたことで、上限額は合計106万円となりました。

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出所:厚生労働省保険局「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」

上限額に達する年収の目安をチェック

国民健康保険料の上限引き上げが影響するのは、所得が一定の基準を超えた方です。

厚生労働省は、具体的な年収の目安について以下のように試算を示しています。

・2023年度:給与収入 約1140万円/年金収入 約1140万円(給与所得 約960万円/年金所得 約960万円)

・2024年度:給与収入 約1160万円/年金収入 約1160万円(給与所得 約980万円/年金所得 約980万円)

上記は、扶養家族のいない単身世帯を前提にした試算ですが、年収1000万円前後の方は、上限額の引き上げの影響を受ける可能性があります。

1000万円前後の年収は、税負担が増えるだけでなく、児童手当の対象外となるなど、さまざまな負担が重くなるラインです。

「国民健康保険料」の上限額は数年増加の傾向が続いている

国民健康保険料が増加するとなると、多くの方が気になるところではないでしょうか。

実際、国民健康保険料の上限額はここ数年、ほぼ毎年引き上げられています。

例えば、2000年の上限額は60万円でしたが、その後は毎年1万円から4万円程度の増額が続いています。

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出所:厚生労働省保険局「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」

2022年から国民健康保険料の上限は100万円を超え、2024年には106万円に達しました。

とはいえ、引き上げにはルールがあり、無闇に負担が増えているわけではありません。

実際、賦課限度額を超える世帯の割合が1.5%に近づくよう、段階的に引き上げられています。

他の被用者保険では、最高等級の標準報酬月額に該当する人が0.5%~1.5%の割合になるように設定されています。

では、国民健康保険に加入しなければならないのは、どのような人たちでしょうか。

そもそも「国民健康保険の加入者」はどのような人?

日本の「国民皆保険制度」では、病院での診察を受ける際に自己負担額は原則3割となっており、医療費が軽減されています。

健康保険への加入は、働き方や年齢によって異なります。

以下にその分類を整理しました。

・協会けんぽ…中小企業で働く従業員

・組合管掌健康保険…大企業で働く従業員

・共済組合…公務員や私立教職員

・船員保険…船員

・後期高齢者医療制度…75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上)のすべての人

・国民健康保険…上記以外の自営業やフリーランスの方など

国民健康保険は、公的な健康保険の一つで、主に自営業の方や会社に勤めていない人が加入する制度です。

基本的な保障内容は共通していますが、協会けんぽなど他の健康保険には存在して、国民健康保険にはないものもあります。

例えば、「出産手当金」や「傷病手当金」などがその代表例です。

国民健康保険は、会社の健康保険に加入しない人が対象であるため、特に高齢者の加入が多い傾向にあります。

高齢者の医療費は年々増加しており、それに伴い保険料も上昇しています。

「国民健康保険料」の保険料目安はいくら?

国民健康保険の保険料は、所得や居住地域によって異なります。

とはいえ、「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分(40歳以上65歳未満のみ)」の3つの部分から成り立っている点は共通しています。

上記3つの項目については、それぞれ次のように算出されます。

・所得割:所得に応じて一定の割合がかけられた金額

・均等割:すべての人が均等に負担する金額

・平等割:世帯ごとに均等に負担する金額

・資産割:世帯員の固定資産税額に応じて負担する金額

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出所:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

これらの4つの項目は、すべての自治体で採用されているわけではなく、また各自治体ごとに料率も異なるため、住む場所によって保険料が変わることになります。

例えば、参考として新宿区の場合、年収400万円・単身世帯では年間の保険料が28万3547円となります。

通常、保険料は10回に分けて納付するため、1回あたりの負担額は約2万8000円となります。

公的制度の動向に注目

今回は、社会保障制度の中でも「公的医療保険」の内容や保険料についてお話ししました。

このまま高齢化が進むと、年収の高い世帯だけでなくほかの世帯でも、支払う保険料や生涯で必要な医療費も増える可能性があります。

単に保険料を下げようと考えるのではなく、まずはどんな保障が受けられて、いくらくらい受け取れるかを知っておくことが大切です。

これは、民間の保険にも同じことが言えるのではないでしょうか。

国の保険料が上がったからと言って、民間の保険を減らしてしまうと、結局足りない…ということになりかねません。

今回のように国の制度が改正されるタイミングで、今一度ご自身の保険や将来資金について見直してみるのはいかがでしょうか?

参考資料

・厚生労働省保険局「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」

・厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」

・新宿区「保険料の計算例について」