【年金生活者支援給付金】受給できるのはどんな人?《高齢者世帯の生活意識》「ゆとりがある」と回答したのはわずか4.2%
- 【厚生年金と国民年金】みんな年金をどれくらいもらっている?
- 国民年金の平均年金月額
- 厚生年金の平均年金月額
- 【年金生活者支援給付金】受給できるのはどんな人?
- 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
- 「障害年金生活者支援給付金」支給要件
- 「遺族年金生活者支援給付金」支給要件
- 2025年度の年金生活者支援給付金は2.7%増額!給付基準額はいくら?
- 【年金生活者支援給付金】2025年度は2.7%増額
- 【2025年度】の給付基準額(月額)
- 年金生活者支援給付金の平均給付月額(2024年3月)
- 「申請しないともらえない」年金生活者支援給付金の申請方法とは?
- 新たに老齢年金を請求する人の申請方法
- すでに年金を受給中の人の申請方法
- 給付金が受け取れない3つのケース
- 《高齢者世帯の生活意識》「ゆとりがある」と回答したのはわずか4.2%
- 高齢者世帯の生活意識
- 「年金生活者支援給付金」の支給対象になっていないか確認しましょう
2025年度の年金生活者支援給付金は2.7%増額!「申請しないともらえない」申請方法も解説
【年金生活者支援給付金】受給できるのはどんな人?《高齢者世帯の生活意識》「ゆとりがある」と回答したのはわずか4.2%
物価高が続くなか「エアコンの電気代」や「夏休みならではの出費」に家計が圧迫されやすくなっています。
総務省が2025年7月25日に公表した「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)7月分(中旬速報値)」によると、消費者物価指数の総合指数は《前年の7月と比べ2.9%上昇》しています。
老後は収入が少なくなる傾向にあるので、年金や貯蓄などで生活できるのか、よく確認しておくことが大切です。
もし年金やその他の収入が少ない場合「年金生活者支援給付金」を受給できるかもしれません。
この記事では「年金生活者支援給付金」を受給できるのはどんな人なのか、わかりやすく解説します。
「年金生活者支援給付金」は2019年からはじまった制度で、支給要件を満たしている限り継続して受給できるのが特徴です。
しかし、たとえ支給対象なっていたとしても「申請しないともらえない」給付金となっています。
年金生活者支援給付金の申請方法についても解説しますので、ぜひご覧ください。
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【厚生年金と国民年金】みんな年金をどれくらいもらっている?
【厚生年金と国民年金】みんな年金をどれくらいもらっている?
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は以下の通りとなっています。
国民年金の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金の平均年金月額
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金の金額を含む
一口に「年金」と言っても、受給額は現役時代の加入期間や報酬によって大きく異なり、月額1万円未満の人から30万円以上の人までさまざまです。
年金とその他の所得を合わせても収入が一定基準に満たない方は、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。
この給付金は、老齢・障害・遺族いずれかの基礎年金を受け取っている方のうち、定められた要件を満たす場合に、2カ月に一度、本来の年金に上乗せして支給されるものです。
【年金生活者支援給付金】受給できるのはどんな人?
年金生活者支援給付金は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があります。
それぞれの支給要件を見ていきます。
【年金生活者支援給付金】受給できるのはどんな人?
「老齢年金生活者支援給付金」支給要件
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者
・同一世帯の全員が市町村民税非課税
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
「障害年金生活者支援給付金」支給要件
・障害基礎年金の受給者
・前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
「遺族年金生活者支援給付金」支給要件
・遺族基礎年金の受給者
・前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額
「老齢・障害・遺族」3種類の年金生活者支援給付金は、それぞれに定められた上記の要件をすべて満たした人が支給の対象となります。
2025年度の年金生活者支援給付金は2.7%増額!給付基準額はいくら?
年金生活者支援給付金の給付金額は、物価変動を踏まえて毎年度見直しがおこなわれます。
【年金生活者支援給付金】2025年度は2.7%増額
2025年度の基準額は前年度から+2.7%の引上げとなっており、6月支給分(4月分・5月分の給付金)から増額率が適用されています。
【2024年→2025年】年金生活者支援給付金の支給金額
【2025年度】の給付基準額(月額)
・老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
・障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
・遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円
なお老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額に基づき「保険料納付済期間」などに応じて算出されます。そのため実際に受け取る給付金額には個人差があります。
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における平均給付月額(※)は以下の通りです。
※厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、2024年3月において認定されている平均給付金額を抜粋
年金生活者支援給付金の平均給付月額(2024年3月)
・老齢年金生活者支援給付金:4014円
・障害年金生活者支援給付金:5555円
・遺族年金生活者支援給付金:5057円
なお、上記はいずれも「月額」の金額であり、実際には2カ月分をまとめて年金に上乗せされます。
「申請しないともらえない」年金生活者支援給付金の申請方法とは?
年金生活者支援給付金の手続き方法について「これから年金を新規請求する人」と「すでに年金を受給中の人」の2つのパターンで解説します。
新たに老齢年金を請求する人の申請方法
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が届きます。
同封された給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。
新たに老齢年金を請求する人の申請方法
すでに年金を受給中の人の申請方法
すでに年金を受給中の人でも、所得が下がったことで年金生活者支援給付金の対象となるケースがあります。
この場合、例年9月1日以降、順次年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送付されます。請求書の太枠内を記入し、郵便ポストに投函すれば手続きできます。
なお、すでに年金を受け取っている人の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なるため注意しましょう。
すでに年金を受給中の人の申請方法
給付金が受け取れない3つのケース
下記3つのいずれかに当てはまる場合、日本年金機構からの申請書類が届いた人であっても給付金は支給されません。
・日本国内に住所がないとき
・年金が全額支給停止のとき
・刑事施設等に拘禁されているとき
また、認知症や闘病中、目の見えない方など、自分で書くことが難しい場合は、代理人などの代筆で氏名などを記入することにより、請求手続きが可能です。
年金生活者支援給F給付金の手続きは、原則として最初の1度だけで済み、2年目以降の申請は不要です。
その後は、前年の所得をもとに毎年自動で継続支給の判定がおこなわれ、その結果が10月分からの給付額に反映されます。
なお、給付額が改定されると「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が郵送されます。また、支給要件を満たさなくなった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
《高齢者世帯の生活意識》「ゆとりがある」と回答したのはわずか4.2%
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」では、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ることができます。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
《高齢者世帯の生活意識》「ゆとりがある」と回答したのはわずか4.2%
高齢者世帯の生活意識
・大変苦しい:25.2%
・やや苦しい:30.6%
・普通:40.1%
・ややゆとりがある:3.6%
・大変ゆとりがある:0.6%
この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきました。
まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。
その一方で、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」と回答した世帯は合計してもわずか4.2%。経済的な余裕を実感できているシニア世帯はごく一握りのようです。
「年金生活者支援給付金」の支給対象になっていないか確認しましょう
ここまで「シニア世代の平均年金月額」や、「年金生活者支援給付金」を受給できるのはどんな人なのか解説しました。
受給している「基礎年金の種類」によって、支給対象となる年金生活者支援給付金が異なります。
年金生活者支援給付金の基準額は毎年度見直されており、2025年度は2024年度よりも2.7%増えています。
物価の上昇に追い付いているわけではありませんが、年金生活者支援給付金を受給できることで日々の生活費の負担が少しでも軽減されることが期待できます。
3種類ある年金生活者支援給付金のなかで支給対象になっているものがあれば、申請手続きを忘れずに行いましょう。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・日本年金機構「老齢年金の請求手続き」
・日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
・総務省「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)7月分(中旬速報値)」