『スター・ウォーズ』ヘイデン・クリステンセン、アナキン/ダース・ベイダーには「まだ描かれるべき物語がある」【来日インタビュー】

『スター・ウォーズ』ヘイデン・クリステンセン、アナキン/ダース・ベイダーには「まだ描かれるべき物語がある」【来日インタビュー】
映画『スター・ウォーズ』シリーズでアナキン・スカイウォーカー/ダース・ベイダー役を務めるヘイデン・クリステンセンが、千葉・幕張メッセで開催された公式ファンイベント「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン 2025」の会場でインタビューに応じ、公開20周年を迎えた『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005)の撮影を振り返りながら、続投を発表したばかりのドラマ「スター・ウォーズ:アソーカ」シーズン2について語った。
フォースにバランスをもたらす“選ばれし者”とみなされ、オビ=ワン・ケノービにジェダイとして育てられたアナキン・スカイウォーカー。しかし、『シスの復讐』でフォースの暗黒面の誘惑に負け、シスの暗黒卿ダース・ベイダーとしてジェダイ・オーダーを壊滅させた。
火山の惑星ムスタファーを舞台にしたアナキンとオビ=ワンのライトセーバーバトルは、『シスの復讐』のハイライトとして今も語り継がれている。ヘイデンも「あの戦いがどれほど重要かは、僕たちもよく分かっていました」と当時を回顧。撮影の2か月前からオーストラリアでライトセーバーの訓練を受け、本番に臨んだという。

「ユアン・マクレガー(オビ=ワン・ケノービ役)と私は、毎日4~5時間かけて振り付けを覚えて、テンポを磨いて、できる限り完成度を高めようと努力しました。そのプロセス自体がすごく楽しかったです。毎日仕事に行って、ライトセーバーで戦うんですから」
「いざ撮影に入ると、全てが一気に動き出して、すごくエキサイティングな体験でした。当時は、金属合金でできたライトセーバーを使っていたんです。なので本気で打ち合うと、曲がったりねじれたりしてしまうんです。テイクごとにブレードを交換しないといけません。『これはいいテイクだったな』と思えるのは、ライトセーバーがぐにゃっと曲がってるときでしたね」
また、アナキンがメイス・ウィンドゥの腕を切り落とし、ダース・シディアスの前にひざまずき、ダース・ベイダーと名を改める瞬間は、撮影カメラの不具合で撮り直しが発生していたと明かす。「一度撮り終えていたのですが、当時ジョージ・ルーカス監督がソニーと一緒に開発していたデジタル技術にカメラの不具合があって、もう一度撮り直すことになったんです。でも、アナキンにとっては非常に重要な場面でしたし、イアン・マクダーミド演じるダース・シディアスがアナキンをダース・ベイダーとして“叙任”するシーンは、ただただクールでした」

2022年配信のドラマ「オビ=ワン・ケノービ」では、ダース・ベイダー役としてシリーズ復帰を果たしたヘイデン。『シスの復讐』から同作まで、17年もの期間があったが、日常生活でアナキンやベイダーについて思いを巡らすことはあったのだろうか?
「そうですね…まだ語られていない素晴らしい物語がたくさんあると思っていました。特に、ダース・ベイダーが自分の選択をどう受け止めて、新しい人生(=あのスーツに閉じ込められた状態)に至るまでの期間には、描かれるべき物語が多くあると思います。もちろん、パドメを失ったことも大きいですよね。そういった、彼の頭の中で渦巻いている暗い感情を、自分なりに掘り下げながら『オビ=ワン』への準備をしていました」
「オビ=ワン・ケノービ」では、ユアン・マクレガーふんするオビ=ワンと再び刃を交えた。「最高でした。まるで時間が経っていないかのようでした。あるいは、僕たちだけタイムトラベルしてきたかのような雰囲気でした。ユアンのことは本当に大好きで、プリクエル・トリロジーを通して親友になりました。そして再び一緒にこの役を演じることができたのは、最高にスリリングな体験でした」とヘイデンは振り返る。もちろん、「また一緒にできる機会があることを願っています」とさらなる共演にも前向きだ。

続く「スター・ウォーズ:アソーカ」(2023)では、クローン戦争時代のアナキンを演じた。『シスの復讐』の準備中、ルーカス監督から同時代のアナキンについて説明を受けていたヘイデンは、「『オビ=ワン・ケノービ』の準備をしているとスター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』を一気見して、そのアナキン像に強く引き込まれました。このキャラクターを実写で演じられるチャンスがあったらいいなと、密かに願っていたんです」と実現を心待ちにしてしていたといい、「そんな時に(製作総指揮の)デイヴ・フィローニから『実写でやるよ』と電話がかかってきて、本当に夢が叶ったような気持ちでした」と感慨深げに振り返った。
アナキンのかつてのパダワン(弟子)アソーカ・タノを演じるロザリオ・ドーソンとは、10代の頃に演劇学校で出会い、親交を深めている。「彼女が『マンダロリアン』で実写版のアソーカにキャスティングされたと聞いた時は、心から嬉しかったですね。彼女の演技は素晴らしいと思いました。そして今度は、自分がアナキンとして、彼女と共演できるなんて本当にスリリングでした」とロザリオのシリーズ参加を喜び、彼女が今後の『スター・ウォーズ』シリーズに必要な人材だと強調する。
「彼女が『スター・ウォーズ』に与えてくれるものが大好きです。彼女はとても賢くて、この世界観の深みをしっかり理解しています。そして彼女自身が本物のファンなんです。心から『スター・ウォーズ』を愛している。そういう人こそ、『スター・ウォーズ』には必要だと思います」

インタビュー直前、ヘイデンは「スター・ウォーズ:アソーカ」のパネルディスカッションでシーズン2への出演を正式に発表した。「本当は何か話せたらいいんですけど……ここは口を閉ざしておかなきゃいけないんです」と前置きしつつ、「シーズン2に戻れることがすごく嬉しいですし、(製作総指揮の)デイヴ・フィローニとジョン・ファヴローが、驚くような展開をたくさん用意してくれていると思います」と期待をあおる。撮影はセレブレーションの翌週から始まるが、「私の出番はまだないので、少ししてから撮影現場に入る予定です」とヘイデンの合流はまだ先のようだ。
ちなみに、インタビュー当日はヘイデンの誕生日(4月19日)。会場では、世界中のファンが「Happy birthday to you」の大合唱でヘイデンを祝福していた。「間違いなく人生最高の誕生日です。今日ほど『お誕生日おめでとう』と言われた日は、これまでなかったと思います」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「スター・ウォーズ:アソーカ」シーズン2は2026年にディズニープラスにて独占配信開始