【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「家計収支・年金額・貯蓄額」は平均いくら?
- シニアの単身世帯は年々増加…2024年には「単身世帯>夫婦世帯」に
- 【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「ひと月あたりの家計収支」は?
- 65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支
- 老後の年金「国民年金と厚生年金」月いくら?
- 【2025年度】国民年金と厚生年金の年金額例
- 現役時代の働き方や過ごし方でこう変わる!年金額のモデルケース5つ
- パターン①:男性・厚生年金期間中心
- パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
- パターン③:女性・厚生年金期間中心
- パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
- パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
- 【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「貯蓄」はいくら?《20歳代~70歳代の年代別》
- 【20歳代~70歳代】単身世帯の貯蓄額《平均・中央値》
- 老後に起こり得るお金の負担増も考慮しながら資産形成を
シニアの単身世帯は年々増加…2024年には「単身世帯>夫婦世帯」に
【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「家計収支・年金額・貯蓄額」は平均いくら?
老後を一人で迎える場合、経済的な不安はできる限り解消しておきたいものです。
現役世代の皆さんは、安心して老後を迎えられるよう資産形成を進める必要があるでしょう。
本記事では、いまのシニア世代の「家計収支・年金額・貯蓄額」について確認していきます。老後対策の参考に、ご覧ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
シニアの単身世帯は年々増加…2024年には「単身世帯>夫婦世帯」に
2025年7月4日、厚生労働省より「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」が発表されました。
これによると、65歳以上単身世帯の割合が年々増えていることがわかります。
65 歳以上の者のいる世帯の世帯構造の年次推移
今から約40年前の1986年、65歳以上の世帯で最も多かったのは「三世代世帯」でした。しかし、その割合は年々減少し、2024年にはわずか6.3%となっています。
一方で、見過ごせないのが「おひとりさま世帯」の増加です。2024年時点で65歳以上の単身世帯は32.7%と最も多くなり、夫婦世帯を上回る結果となりました。
これは、離別や死別だけでなく、生涯未婚の選択肢が増えた社会の変化を反映していると考えられます。
【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「ひと月あたりの家計収支」は?
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支データを見ていきます。
65歳以上《単身》無職世帯ひと月の家計収支
出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金):12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
・食料:4万2085円
・住居:1万2693円
・光熱・水道:1万4490円
・家具・家事用品:6596円
・被服及び履物:3385円
・保健医療:8640円
・交通・通信:1万4935円
・教育:15円
・教養娯楽:1万5492円
・その他の消費支出:3万956円
■うち非消費支出:1万2647円
・直接税:6585円
・社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計は…
・ひと月の赤字:2万7817円
・エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
・平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
この単身世帯の場合、支出の合計は16万1933円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が1万2647円、消費支出が14万9286円です。
一方で、ひと月の収入は13万4116円で、その約9割(12万1629円)を主に公的年金が占めます。なおエンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%となりました。
この結果、ひと月の家計収支は「2万7817円の赤字」になっています。
老後の年金「国民年金と厚生年金」月いくら?
現役時代の年金加入状況により、老後の受給額は人それぞれです。さらに、年金額は物価や現役世代の賃金を踏まえ、年度ごとに改定がおこなわれます。
2025年度の年金額は前年度より1.9%の引き上げとなり、厚生労働省は以下の年金例を公表しています。
【2025年度】国民年金と厚生年金の年金額例
・国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):6万9308円(+1308円)
・厚生年金(夫婦2人分):23万2784円(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
国民年金の年金保険料は全員一律ですが、厚生年金は会社員や公務員などが加入し、収入に応じた保険料を納めるため個人差が表れやすくなります。
現役時代の働き方や過ごし方でこう変わる!年金額のモデルケース5つ
働き方や過ごし方の選択肢が広がるいま、「自分の場合、将来の年金水準はどの程度?」と目安を知りたい方もいるでしょう。
厚生労働省は、今回の年金改定の公表にあたり、「多様なライフコースに応じた年金額例」もあわせて提示しています。
ここでは年金加入経歴類型を5パターン(男性2パターン、女性3パターン)に分け、「2025年度に65歳になる人の場合」の年金額の概算が提示されています。
出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
パターン①:男性・厚生年金期間中心
年金月額:17万3457円
・平均厚生年金期間:39.8年
・平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
・基礎年金:6万8671円
・厚生年金:10万4786円
パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万2344円
・平均厚生年金期間:7.6年
・平均収入:36万4000円
・基礎年金:4万8008円
・厚生年金:1万4335円
パターン③:女性・厚生年金期間中心
年金月額:13万2117円
・平均厚生年金期間:33.4年
・平均収入:35万6000円
・基礎年金:7万566円
・厚生年金:6万1551円
パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万636円
・平均厚生年金期間:6.5年
・平均収入:25万1000円
・基礎年金:5万2151円
・厚生年金:8485円
パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
年金月額:7万6810円
・平均厚生年金期間:6.7年
・平均収入:26万3000円
・基礎年金:6万7754円
・厚生年金:9056円
厚生年金の加入期間が長く、かつ収入が高いほど年金額が多くなっています。
現役時代「国民年金の期間が中心だったか」「厚生年金の期間が中心だったか」によって、老後の年金水準は大きく変わってくることが分かります。
働き盛りの現役世代にとって「いまの年金加入状況」や「収入」は、遠い将来の年金額を左右するたいせつな要素となります。
【ひとり世帯】65歳以上の単身シニア「貯蓄」はいくら?《20歳代~70歳代の年代別》
総務省「家計調査報告(家計収支編)」によると、標準的な「65歳以上のおひとりさま世帯」の家計収支は、毎月2万円台の赤字となっています。
老後の生活費の赤字をカバーしたり、旅行やレジャーの「おたのしみ支出」、さらには医療費や介護費用が必要となったりしたときに頼りとなるのは、やはり貯蓄です。
そこで、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」より、年代別の単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認します。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
【20歳代~70歳代】単身世帯の貯蓄額《平均・中央値》
出所:J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」をもとにLIMO編集部作成
・20歳代:平均161万円・中央値15万円
・30歳代:平均459万円・中央値90万円
・40歳代:平均883万円・中央値85万円
・50歳代:平均1087万円・中央値30万円
・60歳代:平均1679万円・中央値350万円
・70歳代:平均1634万円・中央値475万円
60歳代・70歳代の平均は1600万円台ですが、より実態に近い中央値に目を向けると、それぞれ350万円・475万円と大幅に下がります。
60歳代以降の貯蓄額は、リタイア後の年金生活の安心感に繋がる大切なものです。定年退職金や相続などで一気に貯蓄が引き上がる人もいますが、いずれも確実に老後のマネープランに組み込める人ばかりではありません。
働き盛りの現役時代から、コツコツと資産づくりを進めていけると良いですね。
年金については「将来の見込み額」をただ調べるだけではなく、「繰上げ・繰下げ受給」「加給年金」「在職老齢年金」といった「受け取り方」に関するしくみについても関心をもっておくと良いでしょう。
老後に起こり得るお金の負担増も考慮しながら資産形成を
この記事では、65歳以上単身シニア世帯の「家計収支・年金額・貯蓄額」を確認しました。
少子化が進む日本では、社会保障制度の維持が課題となっています。シニア世代においては、年々、保険料の負担が増えています。
年金額は、賃金や物価の変動などを背景に毎年度見直しが行われており、直近は3年度連続で増額改定されていますが、実は物価上昇率には追い付いていません。
年金制度のバランスを維持するためのしくみで、物価上昇率を上回らないよう調整されているためです。
くわえて物価高が続いており、年金額が増えたと実感できていない方もいると想像できます。
こうしたシニアの実態も考慮しながら、現役世代の皆さんは、老後に向けた資産形成を進めていく必要があります。
最低限の生活を維持できるほどの資産を確保できたら、老後に起こり得る保険料や医療費の負担増、介護費用、インフレなどに備えて、プラスアルファの資産を積み上げていけるのが理想です。
安心して老後を迎えられるよう、早めに取り組んでいきましょう。
参考資料
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「年金の繰下げ受給」
・日本年金機構「年金の繰上げ受給」