生成AIイラストは“便利”か“悪”か? 制作者の9割が著作権問題を懸念

近年急速に普及する画像生成AIは、クリエイターに新たな可能性をもたらす一方、著作権や肖像権といった問題も引き起こしています。今回は、イラスト制作者500人を対象にした意識調査から、生成AIイラストの現状とクリエイターが抱える本音に迫ります。

(画像は「Microsoft CoPilot」作成)

生成AIイラストに問題を感じる人は約9割

9割近くが生成AIイラストに問題を感じたことがある(「株式会社アタム」調べ)

オンラインイラスト教室を運営するアタムアカデミー(株式会社アタム)は、趣味や仕事でイラストを描いている500人を対象に「生成AIイラストに関する意識調査」を実施。

はじめに「生成AIイラストに問題を感じたことがあるか」と質問しました。「よくある(28.4%)」「時々ある(58.2%)」といった回答を合わせると、問題を感じた経験のある人は86.6%にのぼりました。無料でイラストを生成できるAIの普及や、生成AIイラストがSNSでよく見られるようになったことが要因として考えられます。

生成AIイラストにおける著作権侵害などを問題視

著作権侵害に問題を感じる人が多数(「株式会社アタム」調べ)

では、どのような面に問題を感じているのでしょうか。調査の結果、もっとも回答が多かったのは51.8%の「著作権侵害の疑いがある」でした。回答者に意見をたずねると、「学習元の著作権が保護されているかあいまいである。そして学習元とAIの絵柄が似ることによって、学習元の絵師に被害が及んでいる」「生成AIのイラストは、美しくきれいな仕上がりです。しかし既存のイラストレーターや漫画家などのイラストに似ていると、著作権に問題はないのか、気になることがあります」などの声が寄せられました。

他にも「不自然なイラストが生成される(19.0%)」「同じようなイラストであふれる(10.8%)」といった回答もありました。イラスト創作活動における倫理的な側面で問題を感じる人が多いことがわかります。

金銭的利益や注目を得ていることに不快感を覚える(「株式会社アタム」調べ)

次に「生成AIイラストで実際に困ったことや感じた違和感」をたずねると、「著作権侵害だと思えるイラストを見た(11.6%)」との回答が最多の割合に。その理由として、「知人のイラストレーターの絵柄が生成AIに使われ、お金を儲ける手段にされていた」「イラストレーターの絵柄に酷似しているAI生成イラストがバズったり、Vtuberのサムネイルに使用されたりしている」という声が寄せられています。

他者の作品を模倣したAI生成イラストで、金銭的利益や注目を得ていることに複雑な気持ちを覚えるユーザーが多いことが分かりました。

次いで「不自然なところがある(9.4%)」「似たような作品が増えた(7.4%)」といった回答も上位にランクインおり、倫理的な問題や、個性・多様性が薄れている現状に憤りを感じていることがうかがえます。

今後、生成AIイラストとはどのように向き合う?

生成AIイラストはアシスタントとして使いたい(「株式会社アタム」調べ)

生成AIイラストに不快感を覚える人が多い一方、「生成AIイラストとの今後の向き合い方」をたずねると、もっとも多かったのは「アシスタントとして使う(26.6%)」との回答でした。その理由として、「今まですべて自分で身につけるしかなかった、基本的な技術面のサポート役として、付き合っていければと思います」「『構図やパターンの提案』『簡易的なフリー素材生成』など、あくまでサポートツールとして利用していきたい」という声が寄せられています。

イラスト作成はあくまで自分自身が主導権を持ち、AIは補助的な役割として活用したいと考える人が多いようです。

一方、「できるだけ使わない」という回答も多く見られました。「AIだけでは表現しきれない『絵の感情』があると思うので、私自身はAIを使うことはないと思う」「現状ではAIを使わずに制作したいと考えています。AI技術自体は素晴らしいものですが、法整備が追いついていない状況です。問題は悪用する人にあるため、適切に使用している人までむやみに非難はしたくありません」という声が寄せられています。

本調査から、生成AIイラストに対して、「著作権の問題があり、クリエイターの利益が損なわれているのに、法整備が進んでいない」「イラスト自体が不自然で没個性的」など、問題を感じる人も一定数いることが明らかになりました。

生成AIは非常に便利ですが、クリエイターや絵師が抱える問題を十分に加味し、トラブルや軋轢を生まないような使い方をしていく必要があるでしょう。

出典:【アタムアカデミー

※サムネイル画像は(Image:​「Microsoft CoPilot」作成)