スズキ「ミニGSX-R」が市販化の可能性も? 開発者が語る電動バイクの未来と「1000人の声が必要」 〜小野木里奈の○○○○○日和〜
ユーザーの声次第では市販されるかも!?
皆さん、こんにちは! バイク好き女優の小野木里奈です。
本日はスズキの神谷さんに、先日公開された『ミニGSX-R』についてお話を聞きました。

スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』(Cnチャレンジ ミニ)。電動の原付一種「e-PO(イーポ)」のユニットを使用しています
スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』(Cnチャレンジ ミニ)。電動の原付一種「e-PO(イーポ)」のユニットを使用しています【画像】大型モデルにソックリ!! スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』を画像で見る(13枚)
『ミニGSX-R』は「2025 FIM 世界耐久選手権“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」(以下:鈴鹿8耐)の期間中に鈴鹿サーキットで展示されていたバイクで、スズキブースを通りかかると、大型バイクの『GSX-R1000』の隣にちょこんっと佇んでいました。
「これはどう考えてもお話を聞くしかないでしょ!」とバイク好きの血が騒ぎ、開発者の神谷さんにお話を聞くことにしました。それでは、いってみましょう!

スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』。電動の原付一種「e-PO(イーポ)」のユニットを使用しています
スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』。電動の原付一種「e-PO(イーポ)」のユニットを使用しています小野木:『ミニGSX-R』はどういったコンセプトで作られたのでしょうか。
神谷さん:まず、今回は「CN(カーボンニュートラル)チャレンジ」という、“あくまでカーボンニュートラルにチャレンジしますよ”というのがプロジェクトとして大きい課題となりました。
その一つの解決策としては、例えば燃料は100%のサスティナブル燃料を使いますという、ガソリン面に注目していくものです。しかし、一方で電動化もこの課題に対しての一つの答えなのではないか、ということで、スズキ全体でいろんな選択肢を持って開発するということをまずやってまいりました。
同時に、実は我々全体でカーボンニュートラルの開発をしています。先行開発ということで、例えば他にもエタノールや天然ガスであったりもします。
その中でもこの『ミニGSX-R』は電動バイクです。車体に「e-PO(イーポ)」と書いてありますが、我々は2023年のジャパンモビリティショーで折り畳み電動モペッド「e-PO(イーポ)」と、「e-choinori(イーチョイノリ)」の2つの提案モデルを出しています。両車両とも電動アシスト自転車のモーターを活用した新しいモビリティという提案をしていて、「e-PO(イーポ)」に関しては今も開発を進めています。
ただ、2023年の発表から約2年が経ったので、存在を忘れられているんじゃないかという心配がありました。なので、「まだちゃんと開発をやっていますよ、可能性をちゃんと模索してますよ。」ということを引き続きアピールしていかないといけないなっていう風に思っています。
そして、CNチャレンジもやはりPRをしていかないといけないと思っていて、カーボンニュートラルでもレースをきっちり楽しく勝負できるレベルなんだ、ということをアピールしなければならないと思っています。そのためにも、なるべく皆さんに注目していただくためにもこういったものを提案してみました。
小野木:いわゆる“ポケバイ”のサイズ感ですが、それこそ“次世代のライダーに向けて”ということも意識されているのでしょうか。
神谷さん:そうですね。小さいモビリティでも楽しい、レースのシリアスさをスタイリングの方で表現してみました。けれども、ポケバイってちょっとプリティーというか、キュートなやつが多いんです。
普通にそのまま小さくしてしまうと、どうしても可愛らしさが出てしまうのですが、これはあえて可愛らしさをほぼ出さずに、かなりシリアスな出来栄えになっています。
例えば、詳細を見てもらうとかなりソリッドでカッコイイ側に振れていると思うんですよね。あえてそちらの方を表現して作っています。
小野木:ちなみに、普通のガソリン車に乗った後に『ミニGSX-R』に乗った子どもたちはどういう感覚を味わうと思いますか?
神谷さん:実は『ミニGSX-R』に乗った人がまだ10人もいないんです。大人しか乗っていないですけど、ただ、やはりバイクの楽しさって、単純に2輪であることで傾けて乗る乗り物であることというところがやっぱり楽しさの原点かなと思っています。
それがエンジンであろうと電動であろうと、それは同じだと思っているので、お子さんにもやはり“オートバイ楽しいよね”というのは実感してもらえるかなと思っていますし、入り口は何でもいいと思います。
“かっこいい、でも可愛い、でも俺でも乗れそう”でもいいと思っていて、そういった形でまず手に取ってもらえればいいかなと思っています。
でもごめんなさい。まだ販売するわけじゃないですよ(笑)。今回は1台だけ作って、提案という形で皆さんの反応を見てみたいということと、先ほど言ったように、とにかくアピールしないといけないので、その一助になればっていうことでやっています。
小野木:実際に展示されてみて、お客様の反応はどうでしたか?
神谷さん:皆さん本当に1台と言わず2台欲しいという声をいただきました。
小野木:子供に乗せたい、ではなくご自身が乗りたいってことなのですか?
神谷さん:飾っておきたいという声もありました。もちろん、乗ってみたいという方もいますけど、とりあえず買って置いておきたいと言われたが大人は多かったかなと思います。
お子さんの方は本当にストレートに乗ってみたい、という方が多いですね。大人の方はやっぱり乗ってみたいというよりも、まず所有したいという声が多かったです。
小野木:自分のテリトリーに置いておきたいんですね(笑)。そういう反応を聞いてみてどう思いましたか?
神谷さん:まず、たくさんの方にご要望いただく、というのが必要かなと思っています。今回はとりあえず1台作ってみました、というところが正直なところではあるんです。
でも非常に多くの反応をいただき、今後も本当に今すぐ欲しいという方がたくさんいれば嬉しいと思っています。ただ、本気で作ろうと思うと、かなりの方のご要望が必要になってきます。例えば1000人の方が買います、と言っていただくと、今後の動きが変わってくるのかなと思います。
小野木:もしかしたら、声次第で市販化の可能性も……ということですね!
神谷さん:そうですね。もちろん反応次第ではそのように思っています。

スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』。脱着可能なバッテリーを採用しています
スズキが鈴鹿8耐で公開した『ミニGSX-R』。脱着可能なバッテリーを採用しています小野木:今はガソリン車のポケバイを経験した子供たちがレーサーになっていると思いますが、いつか『ミニGSX-R』が市販化された暁には、また全然違ったレーサーが育ったりするのでしょうか?
神谷さん:実は私はあまりそうは思っていなくて、どちらかというと裾野を広げることが大事かなと思っています。8耐でもそうなんですけど、いろんなところでレースしている人が集合していますよね。
250ccのレースを専門にしている方や、マン島TTのレースに出場している方など、普段全然違うレースをしている方々が皆さん同じように1000ccのバイクに乗ってレースをしています。なので、やはりいろいろなところでレースできるように裾野を広げていくということが最後、頂点にも繋がってくるのかなというふうに思っています。
小野木:それこそ、子供だけじゃなくて大人の方にも乗ってほしい思いがあるんですね。
神谷さん:もちろん大人の方が趣味で乗っていただくのもいいと思います。むしろ、正直今回大人の方ばかり欲しいという声が多かったので、大人の方がウケがいいのかな? って思う時もありました(笑)。
小野木:実際に反応を見ないと分からないこともありますよね。
神谷さん:そうですね。例えばバイクが好きな方だとハードなディティールにこだわる人が多いのかなとか思ったんです。例えばリアはサスペンションがなくてリジットなんですよ。ブレーキもドラムブレーキであったりとか。
「いや、これじゃないよね」っていう意見もあったりしましたが、まずこのパッケージのものがあるというのが重要で、こういうのが欲しいんだよ、というのを直接伺えたのでまた新鮮な感覚でしたね。
小野木:ありがとうございます。最後に一言メッセージいただいてもいいですか?
神谷さん:どういったきっかけでもいいので、たくさんバイク乗って楽しんでくれればいいかなというふうに思っております。