「インド株」は「日経225」と「S&P500」に追いつけるか? 滋賀銀行ランキングで気になる動き
「インド株」は「日経225」と「S&P500」に追いつけるか? 滋賀銀行ランキングで気になる動き
各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、滋賀銀行のデータをもとに解説。
滋賀銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2025年7月のトップ2は前月と同様に「日経225ノーロードオープン」と「たわらノーロードS&P500」だった。5月以来3カ月連続で変わらずトップ2にランクされている。第3位には前月第4位だった「One日本株ダブル・ベアファンド2」が上がった。第4位に「たわらノーロード全世界株式」がランクアップしている。また、第7位に「HSBCインドオープン」が浮上し、トップ10圏外から「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」が第8位にランクインした。
国内株の上昇に懐疑的すぎ?
滋賀銀行の売れ筋で第3位に上がった「One日本株ダブル・ベアファンド2」は、日々の国内株式市場の値動きに対しておおむね2倍程度反対になることをめざして運用するファンドで、日本株が下落するという見方をする投資家が購入する。6月にトップ10圏外から第4位にジャンプアップし、7月に順位を一段上げた。同ファンドの値動きが際立ったのは4月の株価下落時だった。3月末から4月7日まで1週間で基準価額は約30%上昇した。その後、株価が戻るとともに、同ファンドの基準価額は下落し始めた。
そして、6月になると、国内の代表的な株価指標である「日経平均株価」が4万円に向けて上昇をはじめ、6月末には4万円の大台を回復した。これまで何度か4万円にトライしてきたものの4万円台で株価が定着することがなかった。6月になって「One日本株ダブル・ベアファンド2」が人気化した背景には、そういった投資家の経験があるのだろう。2024年7月につけた「日経平均株価4万2224円」の最高値を更新することはないだろうという見方だ。2025年7月になって日経平均株価は4万1800円台まで上昇した。それでも最高値を更新することはないという見通しがあったため、同ファンドへの人気は一段と高まることになったと考えられる。
ところが、今回の国内株式市場の上昇は一気に最高値を更新し、日経平均株価は8月に4万3700円台まで上昇した。同ファンドの基準価額は8月18日には6月末基準に対して15%下落し、5月末基準に対しては26%安という水準に下落した。「ダブル・ベア」などレバレッジ(てこの原理)を使って指数の何倍かの値動きをするようなファンドは、狙いが当たった時の見返りは大きいが、外れた時の損失も大きい。オーソドックスなインデックスファンドである「日経225ノーロードオープン」などを保有した上で、リスク管理の手段として「One日本株ダブル・ベアファンド2」を併用するなどの使い方が望ましいといえる。
出遅れた「ロボティクス」「インド株」も評価
売れ筋トップ10にランクインしている株式アクティブファンドは、これまでの主力であった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」を除けば、第6位にある「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」、第7位になった「HSBCインドオープン」など、パフォーマンスの面ではまだ成果が表れていない銘柄といえる。将来の成長に期待して株価が上がってしまう前に投資を始めておきたいという動きだろうか。
特に、米国が関税交渉においてインドに厳しい姿勢をみせていることもあってインド株全般が弱い動きになっている。「HSBCインドオープン」の基準価額も、「米国成長株投信」や「ロボティクス株式ファンド」が4月の安値から25%程度上昇していることに対し、10%程度しか上昇していない。ただ、同ファンドの月報において「長期的な観点では、インド株式に対して強気な見方に変わりはありません。インドの成長ストーリーの4つの柱(消費、製造業、インフラ、貯蓄から投資への動き)は不変」とされているように、中長期に魅力的な市場であるという評価は変わらない。現状は、長期投資の覚悟で同ファンドを保有できるかが問われているのかもしれない。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。