定年退職したらまずは「ハローワーク」へ走るべき理由…“給付制限なし”で「失業手当」を満額もらうためのポイント【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)
長年勤めた会社を退職し、第二の人生へ。しかし、もし少しでも再就職を考えているなら、ひと息つく前に、まずはハローワークへ向かうべきです。本記事では、福地健氏が監修を務めた『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より、定年退職後の失業給付について解説します。
再就職までの生活費を補填する「失業給付」とは?
定年退職時点で会社を辞め、心機一転、他の会社などへ再就職しようと求職活動をする場合は、雇用保険から「失業給付(基本手当)」を受け取れます。失業給付は、失業した人が再就職するまでの生活を手助けするための制度です。
[図表1]定年退職後(60歳以上65歳未満)の失業給付の概要 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
失業給付の受給要件は、「働く意思があるにもかかわらず、失業状態にあること」「退職前の原則2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あること」。対象は65歳未満です(65歳以上は「高年齢求職者給付金」)。
失業給付を受ける際には、ハローワークで求職の申込みや必要書類の提出が必要。「受給資格決定日」から7日間の待期期間を経て受給が始まります。
[図表2]基本手当(失業給付)日額の上限と下限 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
失業給付の基本手当日額は、賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)に賃金に応じた給付率を掛けて算出します。基本手当日額の上限額は、60歳以上65歳未満の場合、7420円に設定されています。
[図表3]失業給付の給付日数 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
また、失業給付の給付日数は、離職者区分と年齢区分により異なります。離職者区分は
(1)自己都合や定年退職での離職者
(2)倒産や解雇など会社都合による離職者
(3)病気や親の介護など正当な理由のある自己都合による離職者
の3区分。定年退職での離職の場合、(1)の給付日数が適用され、給付制限なしで受給が始まります(自己都合の離職者は待期期間終了後に1ヵ月の給付制限がある。下記参照)。
定年退職の場合、1カ月の給付制限はない
定年退職は自己都合でも会社都合でもなく、失業給付の給付日数は一般の離職者と同様ですが、図表4のような流れで失業給付の振込みが行われます。
[図表4]定年退職で離職した場合の流れ 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
なお、失業給付の受給期間は退職日翌日から1年間ですが、受給期間延長手続きをすることで、最長1年の延長が可能です。
離職票はハローワークへすぐに提出したほうがいい理由
失業給付受給までの流れ
失業給付(基本手当)を受給するまでの手続きの流れを確認しましょう。
[図表5]失業給付(基本手当)の受給手続きの流れ 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋
失業給付の手続きは、自宅住所を管轄するハローワークで行います。失業給付を希望する場合は、まずハローワークに行き、雇用保険被保険者離職票や求職申込書など必要書類の提出をし、面接を受けます。これらの手続きをした日を「受給資格決定日」と呼びます。 受給資格決定日から通算7日間は待期期間となり、この期間中に僅かな収入でも得てしまうと、待期期間が延長されるため、アルバイトなどもしないように注意しましょう。
待期期間中(もしくは待期期間満了後)には、職業講習会と雇用保険説明会に出席します。特に重要なのが雇用保険説明会で、ここでは受給資格者証など必要書類が渡されるため、必ず出席しましょう。また、受給手続きの進め方などの説明も受けられます。7日間の待期期間が終わると基本手当日額が発生します。
ハローワークから指定された最初の失業認定日に、受給資格者証と失業認定申告書を提出。求職活動の実績や必要書類の確認などが行われ、問題がなければ、概ね1週間後に4週間分の基本手当が口座に振り込まれます。
初回給付後も、原則として4週間ごとに失業認定日が指定されるため、再就職または給付期限終了までは、4週間に1度ハローワークに行き、失業認定を受け続けます。
なお、再就職手当などを申請できる場合があるので、受給期間中に就職が決まったら速やかにハローワークに報告するようにしましょう。
「失業給付」初回申請時に必要な書類は?
退職時に会社から渡される「雇用保険被保険者離職票(1、2)」や申込書の他にも、マイナンバーカードなども必要になるので、事前に準備しましょう。
[図表6]「失業給付」初回申請時に必要な書類 出典:『いちからわかる!定年前後のお金と手続き 得する働き方・暮らし方ガイド 2025-2026年最新版』(インプレス)より抜粋