年金だけで暮らせる?83歳、受給者のリアル「贅沢しなければ大丈夫」「『もういいです』と言われるまで働きたい」

年金だけで暮らせる?83歳、受給者のリアル「贅沢しなければ大丈夫」「『もういいです』と言われるまで働きたい」

年金だけで暮らすには「2000万円の蓄え」が必要とも言われているが、実際に年金のみで生活する人は減り続け、今では半数以下となっている。

厳しい現実の中、どう暮らすのか。都内で一人暮らしをしている83歳の田中さんに話を聞くと、ひと月の年金は「15万647円」で「贅沢しなければやっていける」という。田中さんの場合、親族が残した「持ち家」がありギリギリ生活することも出来るが、病院で「配膳」の仕事をしている。「文句言っても年金は増えないし、だから働けばいい。今(シニアも)なんだって仕事はある。私は仕事があるから楽しく生きられる」。

田中さんに限らず、 仕事に“生きがい”や“楽しさ”を求める高齢者もいる。政府も、今年6月に行った「年金制度改革」で、高齢者が働きやすい環境を整えることに力を入れている。しかし、「政府が高齢者をコキ使う為の建前だよね」「国が高齢者のやりがいを搾取して、年金の足しにしようって言う魂胆が見え隠れしている気がする」と疑問視する声も。

そもそも老後の所得や生活保障が目的のはずが、やりがいを理由に高齢者を働かせるのはアリなのか。年金だけで暮らすのは理想論なのか。『ABEMA Prime』では、年金暮らしの当事者らと共に考えた。

■年金受給者の田中さん(83)

年金を受給しながら一人暮らしをしている田中さん。一番お金がかかるのは「食費で、5〜6万円」だと話す。その他、光熱費で1万円、スマートフォン代で3,000円、マンション管理費などで2万5,000円がかかり、「贅沢しなければ大丈夫だ」と生活状況を説明。

毎月の支出額は12万円で、「確実に貯められるのは6万円」。田中さんは、年金だけで暮らすことも可能だが、「仕事が好きで楽しい」「仕事が生きがい」「働けなくなったときの蓄えにもなる」との理由から今も働いている。「高齢者も積極的に働くべき」と考えており、「『もういいです』と言われるまで働きたい」と語った。

■年金受給者を700人以上取材する梅子さん

YouTube「梅子の年金トーク!」を運営し、年金受給者を700人以上取材している梅子さんは、「受給開始後はお仕事をしていない方が割と多くいらっしゃる。でも、年金だけではなくて、これまでの蓄えを合わせて生活している人が多いという印象を持っている」。

また、「やりたい仕事があれば、働きたいという声も結構聞く。中には、仕事を辞めて年金生活に入ったけど、実際はやることがなく暇で、仕事を探し始めた人もいた。なので、老後のんびり暮らしたい人と、働きたい人、どちらの老後生活が選べるように備えていくことが大事かと思う」と話す。

取材した中での印象的なエピソードについては、「60代後半で年金生活に入ったが、生活が厳しくなって、仕事を探して、面接に行く人がいた。この方は79歳の男性で、奥様の介護をしながら、生活をしていたが、認知症が進行して、1人では介護するのが難しくなり、貯金も底をついた。所有していたマンションも、リースバックで手放して、現金化しても、金銭的に厳しくなった中で、80歳を目前に働きに出るという状況があった。それは厳しいし、もう他人事じゃないと思った」と紹介した。

■「3000万円がひとつのセーフティーライン」

年金制度に詳しいファイナンシャルプランナーの内山貴博氏によれば、老後2000万円問題もあるが、「年金だけである程度ゆとりある生活を望むなら、専門家の間では3000万円必要という試算も出ている」という。「私もライフプランを作ったりするが、3000万円がひとつのセーフティーラインで、老後破綻することはない方が多い印象」。

その上で、「今、老後を迎えてる方はそれなりに年金額もしっかりあるが、若い方はまだ時間があるので、今後いろんな可能性があることを視野に入れて、できる対策をやってほしい」と述べた。

一方で、梅子さんは、取材をしていく中で、「助けてくれる制度が、日本にはいっぱいあることに気づかされた」といい、「例えば、市役所に家賃がすごく大変だと言ったら、場所は悪いけど1万円で借りれる家を紹介してくれる。もう本当に困った人は声を上げさえすれば、助ける仕組みは結構整っていると思う。そういう意味で日本に住んでいる限り、そんな悲観的に捉えなくてもいいんじゃないかと思う」との見方を示した。

(『ABEMA Prime』より)

【映像】都内で一人暮らしする、83歳の年金受給者・田中さん(実際の映像)

【画像】都内で一人暮らしする、83歳の年金受給者・田中さん(複数カット)

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