ロシア軍エリート兵らが詐欺を働く:味方同士で撃ち合って、傷病手当を申請
傷病手当ほしさに詐欺を働いたロシア兵たち

ロシア軍のエリート兵士らが、戦場での負傷を装って補償金を手に入れるため、お互いを撃ち合ったとして、モスクワ当局の捜査を受けている。この詐欺の被害額は250万ドルあまりに上るという。
第83独立空中襲撃旅団

ウクライナ支援プラットフォーム「United24」によれば、この詐欺に手を染めたのはロシア軍の精鋭部隊「第83独立空中襲撃旅団」に所属する兵士30人。最大3万7,000ドルに上る傷病手当を手に入れるため、自分自身に発砲したり、同僚に撃ってもらったりしたとのこと。
画像:Wiki Commons By Mil.ru, CC BY 4.0
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ロシア連邦捜査委員会による捜査

ロシア連邦捜査委員会の軍事捜査本部は、一部のロシア兵が自分自身や同僚にわざと銃創を負わせ、戦闘中の負傷として記録していたことを突き止めた。
負傷兵に関するロシア軍の制度を悪用

「United24」いわく、ウクライナの戦場で任務中に負傷したロシア兵には傷病手当や有給休暇が与えられるほか、医療現場でも優先的に治療を受けられる。そこで、第83独立空中襲撃旅団の兵士らはこの制度を悪用することにしたのだ。
総額250万ドルあまり

この詐欺によって、ロシア政府が支払った傷病手当は総額250万ドルあまり。さらに、勇敢に戦ったことを示す名誉の負傷だとして、勲章を受けた兵士までいたという。
エリート将校も関与

「United24」によれば、この詐欺にはエリート将校らが関与していたという。旅団を率いていたアルチョーム・ゴロディロフ大佐やコンスタンティン・フロロフ中佐は罪を自白し、共犯者について証言を行ったとのこと。
「戦闘中に4回負傷」もすべてウソ

裁判所に提出された文書によれば、フロロフ中佐は戦闘中に4回負傷したことになっており、軽傷5つと重傷2つを負ったとされていた。ところが、捜査によって、これらの負傷は戦闘中に受けたものではないことが明らかになったのだ。
致命傷を避けて発砲

United24いわく、「フロロフ中佐は同僚に頼み込み、重要な臓器に当たらないよう発砲してもらったことを認めている。3万7,000ドルの補償金を手に入れるためだったという」ところが、この詐欺は内部告発によって露見することになった。『タイムズ』紙が伝えている。
大規模な詐欺罪で起訴

同紙はさらに、ゴロディロフ大佐およびフロロフ中佐が詐欺の首謀者だったと報道。2人は現在、大規模な詐欺罪で起訴されているとのこと。フロロフ中佐についてはさらに、贈賄罪や武器の違法所持といった余罪もあるという。
ブチャ虐殺に関与していたゴロディロフ大佐

一方、ゴロディロフ大佐は「重大な人権侵害に関与」したとして、米国による制裁措置を科されていた。2022年に発生したブチャ虐殺事件の際に、部隊を指揮していたためだ。
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