【偏食克服レシピ:トマト】子どもの偏食の原因を知って克服! 思わずおかわりしたくなるとっておきレシピ
野菜の苦手克服をテーマに料理家・越野美樹が、「子どもの野菜嫌いが克服できるコツとレシピ」を提案する連載。今回のテーマは、トマト。なめらか食感「湯むきトマトの焼きブルスケッタ」と、うま味濃厚「トマト無水カレー」を紹介します。トマトの偏食を克服するコツが満載です。

偏食の理由を知って対策すると、子どもが思わずおかわりしたくなるような料理に変身します。 左上:トマト無水カレー 右下:湯むきトマトの焼きブルスケッタ 写真:越野美樹
野菜の苦手克服をテーマに、料理家・越野美樹が「子どもの苦手な野菜を克服するコツとレシピ」を大公開!
3回目のテーマは、「トマト」。
子どものトマト偏食ポイントは、主に次の2点です。
1 「食感や舌ざわり」
2 「青臭さや香り」
今回は、ふたつの偏食ポイントを克服する、なめらか食感「湯むきトマトの焼きブルスケッタ」と、うま味濃厚「トマト無水カレー」の2種をご紹介します。
トマトの食感を抑えて偏食を克服!
トマトの代表的な栄養素・リコピンは赤い色素で、強力な抗酸化作用を持ち、細胞やDNAを傷つける活性酸素を除去します。
また、視力を維持したり、粘膜の健康をサポートしてくれるβ-カロテンも摂取できます。
緑黄色野菜に分類されているトマトは、その定義であるβ-カロテン量は基準値未満ですが、家庭で食べる回数や量が多いため、カロテンの優秀な補給源とされています。
さらに、免疫機能を強化するビタミンCや筋肉や神経の働きをサポートするカリウムも多く含まれているので、子どもに積極的に食べてほしい野菜のひとつです。
品種改良でトマトは昔より食べやすくなり、輸送技術の向上から完熟のおいしさを味わえるようになっていますが、それでもトマトが苦手な子どもはたくさんいます。
子どもがトマトを嫌いな理由のひとつに、食感や舌ざわりがあるでしょう。

柔らかい果肉と一緒にトマトの皮や種を口に入れると、子どもは違和感を感じることがあります。 写真:越野美樹
トマトの固い皮が苦手な子、種の周りのゼリー状の部分が苦手な子など、トマトのいろいろな口当たりが、偏食に影響していることが考えられます。
これらは、苦手な部分を除いたり、食感をやわらげる工夫をすると解消します。
食感や舌ざわりが苦手な子どもがトマト料理を好きになるコツは、3つあります。
【子どもの偏食克服ポイント1 トマトの食感や舌ざわりを抑えて偏食を克服】
●皮を取り除く
→湯むきしたり、皮をピーラーでむいたり、冷凍してから水に漬けて皮を取り除きます。
●種の周りを取り除く
→種の周りのゼリー状の部分をスプーンなどで取り除きます。
●塩や砂糖、油であえる
→トマトに塩分や糖分、油分を加えることで食感が柔らかくなります。
ひとつめのレシピは、トマトの皮を湯むきし、クリーミーでうま味のある食材と一緒に、パンにのせてカリカリに焼いた一品です。食感が楽しく、コクがあってトマトが好きになりますよ。
「湯むきトマトの焼きブルスケッタ」のレシピ

湯むきして食感がなめらかになったトマトに、濃厚な食材を合わせてパンにのせて焼くことで、カリカリ食感が楽しめ、舌ざわりがマイルドになります。 写真:越野美樹
【材料】2人分
トマト 1個
アボカド 1/2個
にんにく 1かけ
ツナ缶 1缶
シュレッドチーズ 30g
フランスパン 4切れ
塩 ひとつまみ
オリーブオイル 大さじ1
【作り方】
1.トマトはヘタを取り、反対のおしり側に十字に切れ目を入れる。
2.鍋に湯を沸かし、トマトを入れる。20秒ほどして皮がめくれたら冷水にとり、皮をむく。

皮がめくれないとむきにくく、火を入れすぎると食感が変わるので、ちょうどよいタイミングを見極めて。 写真:越野美樹
3.2は一口大に切る。アボカドは皮をむいて一口大に切る。にんにくはすりおろす。
4.ボウルに3、水気を切ったツナ缶、塩、オリーブオイルを加えて混ぜる。
5.フランスパンに4とシュレッドチーズをのせ、軽くトーストする。

写真:越野美樹
トマトの皮を除いたことで固さがなくなり、塩やオイルを合わせることでより柔らかい食感が味わえます。また、トマトを軽く焼くことで、さらに食べやすくなります!
トマトの青臭さや香りを抑えて偏食を克服!
子どものトマト偏食は、食感や舌ざわり以外にも、理由があります。
トマトの草のような香り、金属のような香り、土のような香り、酸っぱい香りなど、それぞれの香りが苦手なこともあるのです。

トマトの香りは、ミニトマト、大玉トマト、若いトマト、完熟トマトなど、それぞれの特徴によって感じ方が変わります。 写真:越野美樹
トマトの偏食は、調理法や調味料、組み合わせる食材などを工夫することで食べやすくなります。
トマトの青臭さや香りが苦手な子どもが食べやすくなるコツは、3つあります。
【子どもの偏食克服ポイント2 トマトの青臭さや香りを抑えて偏食を克服】
●加熱する
→トマトの青臭さは熱に弱く、加熱することによって減少する。
●塩・酸味・油を加える
→塩や酸味を加えることで青臭さを中和し、油を加えることで香りがまろやかになる。
●香りの強い食材を合わせる
→にんにく、しょうが、スパイス、ハーブなどを組み合わせると香りが目立たなくなる。
ふたつめのレシピは、トマトを油で炒めて加熱し、にんにく、しょうが、カレー粉などを加えた一品です。トマトの香りが目立たなくなり、青臭さが解消されます。
「トマト無水カレー」のレシピ

トマトの水分だけで作った、とろみなしのカレー。水なしで煮込むことで、トマトの旨みが凝縮し、独特の青臭さがコクに変わります。 写真:越野美樹
【材料】2人分
トマト 3個
牛こま切れ肉 200g
にんにく 1かけ
しょうが 1かけ
玉ねぎ 1個
にんじん 1/2本
じゃがいも 1個
オリーブオイル 大さじ1
塩 ひとつまみ
ローリエ 1枚
みそ 大さじ1
カレー粉 小さじ2
炊いたご飯 1合分
乾燥パセリ 少々
【作り方】
1.トマトはざく切りにする。
2.にんにくとしょうがは粗みじん切りに、玉ねぎはくし切りに、にんじんは1cm角に、じゃがいもは3cm角に切る。
3.鍋を中火にかけてオリーブオイルを入れ、2を順に入れて炒める。
4.牛こま切れ肉を加えて、色が変わるまで炒める。
5.1と塩を加えて軽く炒め、ローリエを加えてふたをする。

具材をしっかり炒めることで火が通りやすくなり、トマトに塩をふることで水分が出てきて、水なしでも煮えます。 写真:越野美樹
6.沸騰したら吹きこぼれない程度の強めの弱火にし、10分ほど煮る。
7.じゃがいもが柔らかくなったら、みそ、カレー粉を加えて5分ほど煮る。
8.皿に炊いたご飯と7を盛る。ご飯に乾燥パセリをふる。

写真:越野美樹
みそを加えることで、トマトの酸味が中和され、さらに食べやすくなっています。トマトが無理なくたくさん食べられる一品です。
トマトの偏食を克服するための工夫
トマトの偏食を克服するためには、トマトの食感が苦手なのか、香りが苦手なのかを探ることが大切です。

海鮮やウインナーを具材に加え、仕上げに豆乳を加えたトマトソースパスタ。具材のコクとクリーミーなソースでより食べやすくなります。 写真:越野美樹
トマトの苦手な部分を取り除いたり、青臭さを解消すれば、トマトをおいしく食べられるようになりますよ。
今回ご紹介した料理以外にも、トマトが食べやすくなる方法はたくさんあります。
・トマトの卵炒め
にんにくをきかせてトマトをサッと炒め、卵でとじると香りも食感もマイルドになります。
・トマトの冷製ポタージュ
トマトをブレンダーにかけることで食感がやわらぎ、食べやすくなります。
・トマトクリームパスタ
トマトソースに豆乳や牛乳、生クリームなどのクリーミーな食材を加えることで、酸味がやわらぎます。
ちょっとした工夫で苦手な野菜がおいしい!に変わり、子どもの偏食が克服できるはずです。
苦手な理由を知って、調理法や合わせる食材を工夫すれば、子どもがトマトをおいしく食べられるようになりますよ!