向こう見ずなライダーじゃいられない…2年目アコスタ、落ち着きの大事さ痛感「自分に言い聞かせるべき時がある」
KTMのペドロ・アコスタは苦しいMotoGP前半戦を過ごしたものの、KTM陣営とのやり取りから、より慎重なアプローチを取ることの利点を受け入れるなど、キャリアの中でも学びの1年になっているようだ。
アコスタはMoto3とMoto2で王者となり、2024年にMotoGPクラスへデビュー。今シーズンはKTMのファクトリーチームに昇格するなど順風満帆なキャリアを重ねてきた。
しかし2025年シーズンは開幕から苦戦。KTMに対しても厳しい姿勢を見せるようになり、一時は移籍も選択肢に入れるようになるなど、KTM側との緊張感が高まった。
ただその後アコスタはKTMで継続して戦っていくという姿勢に転換。今ではKTM陣営内で、今年から新チームマネージャーとなったアキ・アヨ(アコスタのMoto3、Moto2時代のチームを率いた人物)による指導などから、多くのことを学べるシーズンになったと話している。
「ガレージ内での話し合いはものすごい量だよ。僕は彼らの期待に応えられていないからね」とアコスタは言う。
「自然な姿というのは隠せないモノだ。でも僕だって本当に懸命にやっている」
「シーズン中盤にKTMとの関係にどれだけ緊張感があったかはご存知だろう。チェコGPのあとはミーティングを行なって、ピット(ベイラー/モータースポーツディレクター)とは状況を落ち着かせて、チームを再スタートさせようと話し合った。僕はKTMに多くのことを要求しているけど、彼らも僕に対してたくさんのことを期待している。そして今は、皆が少しずつ譲っていると思う。僕達は前進しなくちゃいけないんだ」
「アキと話してからは、プロジェクトを違った視点から捉えて、より強くなれるように、前向きになれたかもしれない。僕は今年序盤からよく言ってきたけど、今シーズンまでは悪いシーズンというのを一度も経験したことがなかった。まるでおとぎ話の世界を生きているようだったんだ」

Pedro Acosta, Red Bull KTM Factory Racing
「全てが順調だった。そして今年は、僕の世界選手権でのこれまでの4年間よりも多くの学びがあると言わざるを得ないだろう。Moto2でタイトルを獲得したときよりも、多くの学びがある」
そう彼が語る学びのひとつは、レースを完走するという姿勢だろう。オーストリアGP決勝でアコスタは終盤に表彰台を争ったものの、フェルミン・アルデゲル(グレシーニ)に追い抜かれて4番手になってしまったが、それを受け入れて4位を持ち帰った。
以前のアコスタなら巻き返しを狙って転倒していたかもしれない場面だった。これは本人すらも認めている。
「ときにはフィーリングが掴めないこともあるんだ。それでもトライして、トライして、よりハードに取り組んでいくんだ。正直に言って(オーストリアGPが)今までのペドロ・アコスタだったら、グラベルの上でレースを終えていただろう。全てを賭けて表彰台を争っていただろうからね」
「でも自分自身によく言い聞かせるべきときもあるんだ。辞書でチャンピオンシップという言葉を引いてみれば、単なるレース以上の意味があるといった感じでね。今、僕らは(ライダーランキングで)トップ5に返り咲いているんだ」
「今はこの安定性を追求している。全てのコースで一貫した走りを心がけているんだ。レッドブルリンクという、前回のブルノとはかなり異なったコースに来たけど、どちらのコースでも力を発揮できた。こういった新しいライディングへの姿勢は、全然異なるコースの方が役に立つのかもね」
アコスタのこうしたアプローチは、前半戦ドイツGPでのスプリントのコースアウトと、決勝の転倒という散々な結果も影響を与えていたようだ。
「アッセン(オランダGP)からは良いレースができている。ザクセンリンク(ドイツ)で2度失敗したのはキツかったけど、週末を通じて良いパフォーマンスを発揮できていた。この形を維持していく必要があるんだ」
「コントロールできていなければ、よりハードにプッシュすることはできないんだ」
「プッシュしないことで得られるものだって大きい。ザクセンリンクでは表彰台にはのぼれなかったかもしれないけど、トップ5はあり得たんだ。実際はスプリントで1ポイント、決勝では0ポイントだけどね。ときには落ち着いたほうがよりポジティブな結果になることがあるんだ」
関連ニュース:
友だち追加
Follow @MotorsportJP