「洗わずに保存」が正解? デラウェアのNG保存法

「洗わずに保存」が正解? デラウェアのNG保存法

2025/08/22 04:58 ウェザーニュース

秋の果物の代表、ぶどう。酷暑も収まってくるとさまざまな品種が店頭に並ぶようになります。最近では巨峰やシャインマスカットなど大粒のぶどうに人気が集まっていますが、小粒ぶどうの代表品種、デラウェアも相変わらず人気品種として親しまれています。

デラウェアは保存の仕方を間違えると大粒ぶどうよりも傷みが早いそうです。そこで山梨県南アルプス市のぶどう農園、山惣農園の村松千恵さんにデラウェアの保存法を伺いました。

最も早く普及した生食用ぶどう

「日本の生食用ぶどうは、明治時代にキャンベル・アーリーという小粒が普及し、その後デラウェアが昭和期には広く普及してぶどうの代表とされていました。その後、昭和後期になると巨峰、令和に入るとシャインマスカットなどの大粒ぶどうに人気が集まるようになりました」(村松さん)

とはいえ、デラウェアは強い甘みと酸味のバランスが良く、小粒で食べやすく値段も手ごろなことから、相変わらず根強い人気があります。

「デラウェアはハウス栽培ものであれば5月下旬から出回りますが、7月下旬から8月に出回る路地栽培ものは甘さが際立ち、最もおいしいので、おすすめです」(村松さん)

注意したいNG保存法は?

デラウェアは買ってから時間が経つと実が外れて傷んでしまうのが早いように思います。

「ブドウの中でも小粒で水分が多く傷みやすいので、保存法には注意が必要です。特に、間違いやすい保存法について、紹介します。

まず、保存する前に洗ってしまう人も少なくないようですが、大粒小粒に限らず、購入後のぶどうは洗わずに保存することがポイントです。

ぶどうには実にブルーム(果粉)と呼ばれる白い粉のようなものがついています。これはぶどう自身が出す物質で、鮮度を保つために重要な役割を担っています。洗うとブルームが落ちてしまい、鮮度が落ちるのを早める結果になってしまいます。

次に、保存するときは房から実を外さないように注意しましょう。

巨峰やシャインマスカットなどの大粒ぶどうは房から軸ごとはさみで切って1粒ずつ保存することをおすすめしていますが、デラウェアは粒同士が密着していて軸ごと実を外すことが難しいのです。もちろん2〜3mmほど軸を残して房から外す分には問題ないですが、粒も多いため、かなり手間もかかります。

軸から実を外してしまうと、軸の付いていた場所から果汁が流れ出て雑菌が繁殖して傷みが早くなりますので、房ごと保存するのがおすすめです」(村松さん)

キッチンペーパーに包んで保存容器に入れたら冷蔵庫へ 「また、特に夏場は常温で保存するのは避けましょう。ぶどうは追熟しない果物なので、バナナやメロンのように、常温に置いても良いことはありません。高温多湿の夏場は、傷みが早まるリスクが高まります。

上手に保存するには、房ごとキッチンペーパーなどでくるみ、密封できる保存容器に入れて野菜室へ入れましょう。これで5~7日間は保存できます。

食べる際には冷たすぎると甘みを感じにくくなるので、食べる30分には冷蔵庫から出すようにすると、より甘みを感じられるようになります」(村松さん)

シャーベットのように食べられる冷凍保存

冷凍したデラウェア たくさんいただいてしまって食べきれない、という場合はどうすればよいでしょうか。

「大粒ぶどうも冷凍保存できますが、デラウェアも冷凍で保存できます。

やり方としては、ぶどうを縦にもって水道を中ぐらいに出し、軸の中心にあてて洗います。実にあててしまうと取れてしまうことがあるので注意してください。その後水気をタオルなどでふき取り、1房ずつラップに包み、チャック付き保存袋に入れて冷凍します。これで1か月ぐらいは保存が効きます。食べる際にはシャーベット状の半解凍にします。全部解凍してしまうと果汁が出てしまいます。

この状態で指で実をつまむと、体温で皮部分が解けてツルっとむけるようになります。今の時季、おすすめの冷たいデザートです」(村松さん)

ぶどうは追熟しない果物で、最も甘くなっている状態で収穫しているため、購入後はできるだけ早く食べることがおすすめだそうです。

その名の由来になっているブドウ糖と果糖たっぷりで、エネルギー補給に即効性と持続性があるデラウェア。夏バテで疲れを感じたらたっぷり摂って残暑を乗り切りましょう。

取材協力

山惣農園(https://www.yamaso.jp/)