セブン買収提案は「実現できないディール」…デイカス次期社長、米独禁法への対応が課題との見方
セブン&アイ・ホールディングスの社長に5月に就任予定のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏(64)が、読売新聞などのインタビューに応じた。カナダのコンビニエンスストア大手からの買収提案について、米独占禁止法上の課題への強い懸念を示し、「実現できないディール(取引)はディールにならない」と強調した。

インタビューに応じるスティーブン・ヘイズ・デイカス氏(東京都千代田区で)=大石健登撮影
買収提案をしているアリマンタシォン・クシュタールは米国の店舗数でセブンに次ぐ2位で、米連邦取引委員会(FTC)による反トラスト法(独禁法)への対応が必須となる。
最近も大手スーパー同士の合併計画がFTCの承認を得られずに破談になっており、デイカス氏は「(破談で)企業も株主もダメージを受けた。我々は絶対にそうなりたくない」と述べた。協議は続けるとしつつ、「FTCは厳しく見ている。達成できるディールでなければならない」と慎重な姿勢を見せた。

インタビューに応じるスティーブン・ヘイズ・デイカス氏(東京都千代田区で)=大石健登撮影
セブンの2025年2月期連結決算の最終利益は前期比23%減と2期連続の減益で、日米ともに業績の立て直しが求められている。30年度までに3・2兆円の成長投資を行う方針で、7月頃に具体策を示すとした。国内コンビニについては、一部店舗で試験販売している店内調理の「できたて」を重視した新商品などの早期の全国展開を目指すといい、「イノベーション(革新)は拡大しないと意味がない。スピードを上げ、差別化した商品とサービスを提供する」と述べた。
セブンは近年、「物言う株主」と呼ばれるアクティビストにも 翻弄(ほんろう) されてきた。デイカス氏は「売り上げ、利益の成長を加速できれば、我々はアクティビストや買収のターゲットにはならない」と語った。
米国出身のデイカス氏は現在、セブンの社外取締役で取締役会議長を務めている。5月27日付で井阪隆一社長(67)の後任として、初の外国人社長となる。