日本人の暮らしは地球2.7個分の環境負荷?:注目の指標「エコロジカル・フットプリント」とは

利便性の追求と大量消費

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現代の米国や日本などに共通するライフスタイルを特徴づけているのは、利便性の追求と大量消費である。この資本主義的な習慣は環境に大きな影響を与えており、それはもはや地球が耐えきれないほどになっている。

地球2.7個ぶんが必要に?

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国際NGOシンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」がまとめるデータによると、もし世界中の人々が米国人あるいは日本人と同じように資源を消費し廃棄物を生み出す生活を送るとしたら、地球5個ぶんあるいは地球2.7個ぶんのバイオキャパシティが必要とされるという。これはどういうことだろう?

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エコロジカル・フットプリントとは

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グローバル・フットプリント・ネットワークは、「エコロジカル・フットプリント」という指標を用いている。これは、人の活動が地球環境にどれだけの負荷を与えているかを示す値とされており、使用済み資源の再生産、廃棄物処理のためにどれだけの土地と水域が必要になっているかを示すものである。フットプリントとは「足跡」のことで、人のためにどれだけの土地が踏みつけにされているかを比喩的に示しているのだ。

バイオキャパシティとは

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その一方で、地球の広さは限られている。食料や繊維、木材を供給したり、増えすぎたCO2を吸収したりできる土地・海洋には限りがあるのだ。このような広さのことが、地球の「バイオキャパシティ」、あるいは生物資源再生能力と呼ばれている。

「アース・オーバーシュート・デー」を算出

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同NGOはその上で、これら「エコロジカル・フットプリント」と「バイオキャパシティ」にもとづき、「アース・オーバーシュート・デー」を算出している。これは毎年1月1日から期間を切って、エコロジカル・フットプリントを「需要」にみたて、バイオキャパシティを「供給」としたときに、需要が供給を超過(オーバーシュート)するポイントを日付の上に表したものだ。じつのところ、人々は地球のキャパシティを上回る勢いで活動しており、2025年の「アース・オーバーシュート・デー」は7月24日と計算されている。

人類への悪影響

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地球環境にむやみに負担をかけることは、すなわち森林破壊につながり、土壌の流出を招き、生物の多様性を損ない、大気中にはより多くの二酸化炭素を蓄積させることになる。その結果、各地で異常気象が頻発し、食料生産が減少することになると、同NGOは警鐘を鳴らしている。

豊かな国々の重い責任

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ところで、その責任のかなりの部分は、いわゆる豊かな国々にある。容易に想像できるように、産業化が進み国民の生活水準が高くなった国は、貧しい国とくらべ、国民一人当たりにつきより多くの資源を消費しているのだ。

カントリー・オーバーシュート・デー

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同NGOは「アース・オーバーシュート・デー」に加えて、「カントリー・オーバーシュート・デー」も発表している。これは、ある国の生活様式を全人類が採用したばあいに、「アース・オーバーシュート・デー」の日付がいつになるかを示すものである。たとえば日本の「カントリー・オーバーシュート・デー」は、2025年5月8日となっており、米国は3月13日、中国は5月23日である。欧州諸国もほとんどの国が、早くて3月中、遅くとも6月までに「カントリー・オーバーシュート・デー」を迎える計算になっている。

米国人よりも環境負荷の高い国民も

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グローバル・フットプリント・ネットワークによると、カタールとルクセンブルク、シンガポールの3カ国は「カントリー・オーバーシュート・デー」が米国よりもさらに早く、なんと2月中に迎えている。

日本のエコロジカル・フットプリント

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さて、2024年の推定値ではあるが、日本のエコロジカル・フットプリントは国民一人当たり4.04グローバルヘクタールとなっており、一方で地球のバイオキャパシティは、世界の人口一人当たり1.48グローバルヘクタールである。したがって、もし日本人のような暮らしを世界の人がしたばあい、そのエコロジカル・フットプリントと釣り合うにはこの地球2.73個ぶんのバイオキャパシティが必要とされるのだ。同様に、米国人の生活様式を全人類が採用したばあい、地球5.06個が必要とされる。

政府と経済界に期待?

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では、このような現状が変わる希望はあるのだろうか? もちろん個人レベルでもできることはなくはないが、同NGOは、政府と経済界の働きかけに期待している。重要なのは、この限りある地球という現実を見据え、そこに見合った政策なり経営戦略を立てることにある、というのだ。もっとも、資本主義社会とはすなわち資本が無際限に自己増殖することを目指す世界であるとすれば、話はそう簡単ではなさそうだ。

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