六本木に全長9mの「核融合炉」実物大模型 世界初
展示される核融合実験炉「SPARC」のイメージ
核融合技術を開発するCommonwealth Fusion Systems(CFS)は、東京ミッドタウン(六本木) キャノピー・スクエアで、フュージョン(核融合)エネルギー実験炉「SPARC」の実物大模型(直径約9m)を世界で初めて展示する。期間は9月2日~3日。
会場では、フュージョン(核融合)に関する展示が行なわれるほか、フュージョンエネルギーの原料である水素が含まれる水のペットボトルを来場者に無料で配布する。
実物大模型のイメージ
配布されるペットボトル
CFS社は、磁場閉じ込め方式(トカマク型)によるフュージョンエネルギー発電炉の設計・開発を進めるスタートアップ企業。世界初となる商業用フュージョンエネルギー発電炉「ARC(アーク)」を米国バージニア州に建設する計画を発表しており、2030年代前半の運転開始を目指している。
建設中のフュージョン実証機「SPARC」
CFSオフィスに併設されているマグネット工場
8月29日には、三井物産、三菱商事、NTTなど日系企業12社からなるコンソーシアムなどから総額8億6,300万ドル(約1,184億円)の資金を調達。2021年の18億ドルのシリーズBラウンド以来、ディープテック、エネルギー企業の中で最大の調達額となった。CFSはこれまでに約30億ドルを調達しており、これは世界の民間核融合企業への総投資額の約3分の1に相当する。
また、日系企業12社のコンソーシアム参加企業各社は、9月2日付けで今回の出資に関する声明を発表している。
日本コンソーシアムは、CFSが米国で推進する商用化プロジェクトから、政策・規制、ARCの開発・建設・運転・保守に係る技術的・商業的な知見を獲得。各社のノウハウや専門性を持ち寄り、日本におけるフュージョンエネルギー発電の早期商用化・産業化を目指す。
日本コンソーシアムとCFSの連携は、日米両国によるフュージョンエネルギー発電の開発と商業化を加速するための共同パートナーシップとされ、両国における商業化の早期実現に向けた強い意志と機運の高まりを体現しているという。
コンソーシアムに参加する企業の1つであるNTTドコモ・ベンチャーズは、NTTグループが推進するIOWN構想実現の一貫として、環境負荷が低い次世代エネルギーである核融合発電に出資している。
同じくフジクラは、CFS設立当初から関係を築いており、CFSに高温超電導線材を納入している。同社の高温超電導線材は、高磁場においても高い電流特性と高強度を実現できることから、約1億度のプラズマを閉じ込め、制御するための高温超電導マグネットに使用される。
フジクラの高温超電導線材