京都国立博物館で過去最大規模の「宋元仏画」展 国宝、重文を含む170件を紹介

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京都国立博物館で過去最大規模の「宋元仏画」展 国宝、重文を含む170件を紹介

古くから仏教を信奉してきた日本には、仏教の先進国・中国から数多くの仏教文物がもたらされたが、そのなかでも宋と元の時代の仏画を中心に展観する特別展が、9月20日(土)から11月16日(日)まで、京都国立博物館 平成知新館で開催される。日本に残る貴重な宋元仏画の全体像に迫る、過去最大規模の展覧会となる。

中国の北宋時代は日本の平安中期から末期に、また南宋時代は鎌倉時代にあたり、その後、モンゴル人が中国を統治した元の時代は鎌倉中期から南北朝時代にあたる。いずれの時代も日本の多くの僧が中国に渡り、貴重な文物を日本国内にもたらした。なかでも、当時の人々が救い手として信仰した仏たちの姿をとどめた宋元仏画は、宗教性と芸術性においてきわめて高い水準をもち、東アジアの仏教絵画の「最高峰」とも讃えられている。

国宝《阿弥陀三尊像》普悦筆 中国・南宋時代 12~13世紀 京都・清浄華院蔵 後期:10月21日~11月16日

実は中国では、王朝の交代や信仰の変化などによって宋元時代の仏画はほとんど失われてしまっており、世界に現存する宋元仏画の大半は日本に残されているものだという。こうした稀少性や絵画自体のもつ価値に加え、日本の仏教と寺院の歴史や美術の発展に深く関わるなど、文化的な影響力が大きいことから、日本に伝来した宋元仏画の多くは国宝や重要文化財に指定されている。今回の展覧会では、出展総数170件のうち、約半数が国指定文化財となる。

同展の大きな見どころは、宮廷がリードした芸術文化が円熟期を迎えるなかで生まれた宋代仏画の壮麗さや、社会の大転換のなかで少しずつ変容を遂げた元代仏画の多様性など、様々な見どころをもつ中国絵画の神髄にふれられること。また、南宋末期の画僧・牧谿(もっけい)を筆頭とする溌溂とした水墨表現が、室町時代の画聖・雪舟をはじめとした日本の絵師にも大きな影響を与えていたことから、雪舟や長谷川等伯、俵屋宗達などによる名品も合わせて展観されるのも楽しみなところだ。

今回の出品作の多くは京都の寺院に伝えられてきたもので、同展は京都国立博物館のみの単館開催となる。

国宝《蓮池水禽図》俵屋宗達筆 江戸時代 17世紀 京都国立博物館蔵 10月21日~11月3日

日本の仏教文化のなかで重要な役割を果たし、今日まで大切に守り伝えられてきた宋元仏画の魅力がたっぷり味わえるとともに、日本文化の国際性や包容力、多様性を改めて見直すことのできる特別な機会となっている。

<開催情報>

『特別展 宋元仏画─蒼海(うみ)を越えたほとけたち』

会期:2025年9月20日(土)~11月16日(日) ※会期中展示替えあり

会場:京都国立博物館 平成知新館

休館日:月曜(10月13日、11月3日は開館)、10月14日(火) 、11月4日(火)

開館時間:9:00~17:30、金曜は20:00まで(入館は閉館30分前まで)

料金:一般2,000円、大学1,200円、高校700円

チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2522240

公式サイト: https://sougenbutsuga.com/goods/

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