おしゃれして出社したら「巨大ポケットティッシュ」と笑われた35歳女性…何を着ていたの?
あなたには思い出すと恥ずかしくてたまらなくなるような、そんな赤っ恥体験がありますか?
今回はそんな穴があったら入りたくなるようなエピソードを2つご紹介しましょう。
画像はイメージ(以下、同じ)
◆大きく背中の空いたトップスに挑戦
ネイリストの仲村千秋さん(仮名・35歳)の職場は服装が自由で、勤務中は私服にエプロンというスタイルで過ごしています。
「最近ファッション雑誌で見た背中の空いたトップスが涼しげで可愛かったので、つい買ってしまったのですが……いざ着てみると“ちょっと露出しすぎかな?”と気になってしまって」
その雑誌のモデルさんや、道ゆく女性は素肌のままトップスを着こなしていましたが、千秋さんは自分の年齢のこと考えると腰が引けてしまいました。そこで、白いインナーを中に着て、グリーンの背中あきトップスで職場に向かったのです。
◆背中が「巨大なポケットティッシュ」に
「そしたら同じサロンで働く麻衣ちゃん(仮名・23歳)に『千秋さん、何だか背中が巨大なポケットティッシュみたいになっていますよ』と指摘されて、ん? と思い鏡で見てみました。
すると背中の中心に縦に空いた穴から、ちょっとゴワゴワした白いインナーが引っ張りだされたような形に盛り上がっていて、本当に背中からティッシュが出ているみたいだったんですよ」
そんな姿で電車に乗ってここまで来てしまったかと思うととても恥ずかしかったですが、その「巨大なポケットティッシュ」という例えの秀逸さに感心して笑ってしまったそう。
「それ以来、背中あきトップスを着る時にはピッタリしたインナーを着るように心がけています。でも、その度に思い出し笑いしちゃうんですよね」
◆会社のランチで話が弾んだ、他部署の彼
次は2つめのエピソードです。永田真緒さん(仮名・27歳)の勤める会社では、コミュニケーション活性化のために“シャッフルランチ”という制度があります。
「要するに他部署の社員同士でランチをして交流を深める会なんですが、普段足を運ばないようなおしゃれなお店に行けるので毎回結構楽しみにしているんですよね」
そんなシャッフルランチで、偶然同じ卓に着いた他部署の康之さん(仮名・28歳)と話が弾みます。
「たまたま同じドラマにハマっていることが分かり、盛り上がってしまって。私がその登場人物と同じTシャツで撮ったインスタ投稿を見せたら、即フォローしてくれたんですよ」
◆DMで仲を深め、一緒に出かけることに
するとその晩に康之さんからDMで、例のドラマの劇中衣装や小道具、登場人物の部屋の再現などを鑑賞することができる展示会がもうすぐ始まるので一緒に行きませんか? と誘われました。
「康之さんとは出会ったばかりなのに、なぜか隣にいると落ちつくと感じていました。このまま仲良くなれたらいいなと思い『ぜひご一緒したいです!』と返信したんですよ」
その日を境に康之さんは頻繁にメッセージをくれるようになり、お互いに親睦を深めつつ展示会当日を迎えました。
「康之さんが思っていた以上にはしゃいでいて、一緒にフォトスポットで写真を撮ったり、お揃いのグッズを買ったりしてすっごく楽しかったんですよね」
◆ハンカチを貸したところ……
そして劇中に登場した料理を模したメニューが食べられるカフェでランチを満喫すると、今度は真緒さんの方から「よかったらこの近くに私の好きな神社があるので行ってみませんか?」と誘ってみました。
「すると実は康之さんも神社仏閣好きだと分かり、私は内心『こんなに趣味が合うってどういうこと? もしかして運命の人なのかも』とドキドキしてしまって」
そして神社に到着し手水舎(てみずしゃ)でまず康之さんが手を洗うと、ハンカチを忘れたのか手をぶらぶらさせていたので、真緒さんはすかさず自分のタオルハンカチを差し出しました。
「『ありがとう! 優しいな』と受け取ってもらえ、これで私のポイントが上がったかな? と心を躍らせていたら、急に康之さんが微妙な表情になり『ごめん、ちょっとトイレ』と走って行ってしまったんですよ」
どうしたのかな? と思いつつ、返してもらったタオルハンカチをたたみ直そうとした瞬間、真緒さんはハッとしました。
「タオルハンカチから強烈な生乾き臭がしていて……うわ、やっちゃった! と時間を巻き戻したい気持ちでいっぱいになりました。乾いていた時は気にならなかったんですが、康之さんの手の水分をふくんだとたんにニオイが爆発してしまったようなんです」
◆デートは早めに終了
真緒さんは部屋干ししてあったタオルハンカチを、よく確かめずに慌ててバッグに突っ込んできてしまったことを悔やんだそう。
「そして康之さんがアルコールスプレーを手にたっぷりと振りかけて入念に擦り合わせているのを見てしまい、心から申し訳なく思いました。汚いし、臭いし、消毒せずにはいられなかったんでしょうね」
その後2人はお互いにタオルハンカチの話題には触れず、デートを続行しようと頑張りましたが、終始気まずい空気が流れてギクシャクしてしまい、早めの解散となりました。
「その晩に謝罪のメッセージを送ってみたのですが、康之さんからの返信はそっけないというかとても事務的で……嫌われてしまったんだなと悲しくなりました。そりゃあんなタオル平気で使っている女なんてドン引きですよね」
それ以来、会社で康之さんを見かける度に真緒さんは胸が苦しくなるそう。
「ビクビクしながら隠れるように康之さんの横をすり抜けたりして、本当に情けない気持ちになります」とため息をつく真緒さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop