やや貧乏な初老夫婦が「港区の保養所」で見た光景

1泊2食付きで9000円。港区民保養施設大平台みなと荘の夕食(筆者撮影)
大平台みなと荘はアクセスも良好。バス停まで徒歩3分、駅まで5分

大平台のバス停前の街並み。昭和レトロなたたずまい(筆者撮影)
「港区立 大平台みなと荘」は、箱根のメインストリートである箱根湯本までは少し距離があるのですが、アクセスは良好。バス停まで徒歩3分、箱根登山鉄道の駅までは徒歩5分で、どちらも乗車時間は15分ほどで箱根湯本まであっという間に到着します。
【画像】社長がいっぱい住んでる恩恵? 「港区の保養所」をやや貧乏な初老夫婦が訪れたら…食事も宿も最高だった!
我が家の場合は夫は足が悪く、長距離を歩くことが難しいため、車窓から箱根の景色を楽しみます。箱根登山鉄道で強羅駅へ向かい、そこからケーブルカー、ロープウェイと乗り継いで、最後はバスで大平台に戻ってくるという4つの公共交通機関を駆使したルートで、車窓から箱根を満喫しました。
圧巻だったのはロープウェイからの眺望でした。特に大涌谷を通過する際は、ヒヤリとするような高所から眼下に広がる荒々しい火口跡と立ち上る白い噴煙を一望でき、硫黄の香りが漂う大地の迫力を肌で感じられました。他の場所では見られない景色は、旅行の醍醐味です。

ロープウェイから望む大涌谷。広がる大パノラマ(筆者撮影)
車窓から見える景色は一瞬で過ぎ去るのではなく、ロープウェイのゆるやかな速度がちょうどよく、風にあおられてゆらゆらと揺れる車体の不安定さも相まって、遊園地のアトラクションのようなスリルも味わえました。

ロープウェイの終点は芦ノ湖北岸の湖尻桃源台。新宿行きのバスも出ていた(筆者撮影)
ありがたいことに乗り換えの距離も近く、いずれも本数が多いので、長くても移動距離は数十メートル、待ち時間は10分以内で、スムーズに乗り継ぐことができました。
途中ベンチに座っての休憩も含めて、宿を出てから戻るまでの所要時間は3時間弱。移動そのものが娯楽になる、箱根ならではの大満足のショートトリップでした。
宿泊者数に比べて、広すぎるほど広い温泉で羽を伸ばす
客室は和室で12畳2人で泊まるには十分すぎる広さです。中央には座卓と座椅子、2畳ほどの縁側にはテーブルと椅子もあります。
畳も状態が良く、寝転んでも服に藁がつきません。「そんなの当然じゃないか」と言われそうですが、意外と畳が傷んでいる宿も多いんですよネ。

客室は12畳の和室。夕食で食堂に行っている間に布団を敷いてもらえます(筆者撮影)
ささくれや汚れがない清潔な畳にゴロリと寝転ぶ。我が家には畳の部屋がないので、この気持ちよさは旅先でしか味わえない、非日常の癒やしそのものです。

6畳ぐらいありそうな大きな露天風呂(港区立 大平台みなと荘ホームページより引用)
ひと心地ついたら、食事前に大浴場へ向かいます。客室数は25部屋と旅館としては小規模ながら、洗い場も広々としているうえに、大きな浴槽が3つもある贅沢な造りです。室内には熱湯(あつゆ)とジェットバス、屋外には露天風呂もあり、サウナまでついています。
夕飯の直前というタイミングが良かったのか、大浴場は貸切でした。露天風呂にゆっくりとつかり、広い浴槽で足を伸ばすと、極楽です。大平台の山肌に生い茂る緑を借景に、ひぐらしとツクツクボウシの鳴き声をBGMに、段々と暮れていく空を眺める。これぞ至福。
豪華な夕食は、和会席にしゃぶしゃぶ、溶岩焼きなど3種類から選べる

港区立 大平台みなと荘の夕食(会席料理)(筆者撮影)
温泉で温まったあとは、旅行のメインイベントである夕食です。嬉しかったのは「港区立 大平台みなと荘」の夕食は、宿泊費の安さをまったく感じさせない充実ぶりだったこと。
筆者は和会席のコースを選んだのですが、しゃぶしゃぶや溶岩焼きも選択可能で、どれにするか迷う楽しさもあります。
席についた瞬間、料理の美しさに目を見張りました。色鮮やかに盛り付けられた前菜、季節の素材をふんだんに使ったお造り、焼き物、煮物と、まるで料亭のテーブルに座ったかのような豪華さで、食事だけで十分に1万円以上の価値を感じられます。

港区立 大平台みなと荘の夕食(溶岩焼き)(筆者撮影)
見た目の美しさはもちろんのこと、味も文句なし。ひと品ひと品に丁寧な仕事が感じられます。天ぷらはサクサク、蒸し物はしっとり、期待を裏切らない味に、舌鼓を打ちまくりました。
食事の空間自体はシンプルで、テーブルや椅子も豪華ではありませんが、清掃が行き届いていて気持ち良く、居心地は抜群です。テーブルの間隔も適度で、隣席の声が気にならないのも嬉しいポイント。
ホールスタッフの対応も心地よく、絶妙なタイミングで料理を運んできてくれます。例えば夫がお箸を落としてしまったときには、さっと新しい箸を持ってきてくれる。こうした目配り、気配りの行き届いたサービスに思わず脱帽です。

会席料理のお品書き。全10品とボリュームもすごい(筆者撮影)
温泉で身体を労わってから、おいしいものを頬張る、宿泊費の安さをまったく感じさせない至れり尽くせりの温泉宿。港区民というだけで、こんなにいい思いをしていいのかと、申し訳なくなるほどでした。
手軽さと満足感を両立した、箱根の小旅行

港区立 大平台みなと荘の和朝食(筆者撮影)
さっくり観光して、ゆっくりお風呂につかり、たっぷり食べて、ぐっすり寝たら、すっかり気分もリフレッシュしました。翌朝は、朝食を食べてから、ひとっ風呂あびれば、あっというまに直通バスの発車時間の11時15分です。
帰路でも海老名のサービスエリアで小休憩をはさみましたが、平日ということもあり道が空いていたこともあり、2時間ほどでバスを降りることができました。「旅行で疲れを癒やすはずが、かえって疲れてしまう」というタチの筆者にとって、「港区立 大平台みなと荘」の1泊2日の宿泊体験は、短時間で非日常を味わえる、理想的な小旅行となりました。

港区立 大平台みなと荘の洋朝食(筆者撮影)
「旅行は遠くて高いもの」と思い込んでいた常識が覆される、港区民だけの特権。もう一度訪れたいと思わせる、手軽さと満足感を両立した贅沢体験となりました。