アフリカのワクチン代、日本が約810億円支援に賛否 その価値は…ひろゆき氏「政府がお金を突っ込まないとビジネスの場所を他の国に取られる」夏野剛氏「外交上、必要な投資」
アフリカのワクチン代、日本が約810億円支援に賛否 その価値は…ひろゆき氏「政府がお金を突っ込まないとビジネスの場所を他の国に取られる」夏野剛氏「外交上、必要な投資」
先週閉幕したTICAD(アフリカ開発会議)で石破茂総理が、アフリカなどの途上国にワクチン供給を行う国際組織に対して、今後5年で5億5000万ドル(約810億円)を出資すると表明して、賛否が出ている。
SNSでは「政府は物価高や重税で苦しむ自国民より、外国が大事なのか」といった指摘もあるが、アフリカ諸国との連携はこれまで、日本の経済発展や国際社会での影響力を向上させると期待されてきた。しかし近年、アフリカへの投資で存在感を示しているのは中国だ。『ABEMA Prime』では専門家とともに、約810億円の支援の価値を考えた。
■アフリカにおける日本の存在感は
TICADは、日本政府が主導して1993年にスタートした、アフリカ開発に関する国際会議だ。目的としては、開発支援の国際的枠組み作りや、国際社会の関心喚起などがある。これまでに、生産性向上「アフリカKaizenイニシアチブ」や産業人材育成(日本の大学院留学など)、電力インフラの整備といった成果を出した。開催は当初5年ごとだったが、2013年以降は3年ごと。各国首脳・閣僚、国際機関、民間企業、市民団体などが参加する。
発展途上国での人材開発などが専門で、今回のTICADにも参加した名古屋大学の山田肖子教授は、「2000年代初めから定点観測していたが、今回は特に民間企業の参加者が多く、潮目が変わってきた。これまでは政府や大学、NGOが多かった」と振り返る。
約810億円という額については、「TICADとしては毎回、看板になる話題を出したいはずだ」と考察する。「日本とアフリカの経済関係を強めていかざるを得ない中で、現地の人材を雇用可能にして、日本企業の現地展開をサポートすることは、最終的に日本のメリットになる」。
また、支援に対する反発には、「白黒はっきりしたリアクションを求める世の中になっているが、21世紀は結論がつかないことにバランスを取ることが多くなるだろう。メディアには『白でも黒でもないが、長期的には日本にリターンがある』と伝える役割もある」と述べた。
日本のODAの強みは、「非常にミクロなところで、成果を積み上げる点」だという。「トヨタ生産方式のKaizenを広めるネットワークが、各国で展開されている。理数科教育も、日本が秀でているとして、広がっている。アフリカで生産性を上げるために、日本が独自開発したコメの品種『ネリカ米』もある。ミクロでは丁寧にやっているが、それをアップスケールした議論にするのは、日本人はあまり得意ではない」。
■約810億円を投じる意味と価値は
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は、「これは外交上、必要な投資だ。20〜30年後にアフリカ経済が上昇したときに、『あの時から日本は継続的に援助していた』となると、国と国の繋がりが違う」と指摘する。「TICADに合わせて、政府首脳の周辺にいる財界人も来日していて、ODAと関係ない民間同士のビジネスミーティングが相当数行われている。日本が今後人口減少する中で、どうやって海外のビジネスを作るかは、極めて重要だ」。
海外からの日本の評価については、「野口英世氏や北里柴三郎氏らが、アフリカの風土病に貢献してきたため、日本のプレゼンスはアフリカ各国で高い。それをきっかけに貿易が始まり、南アフリカではアパルトヘイト時代に“名誉白人”にカテゴライズされた。そんなことをされているアジア人はいなかった。最初は経済格差が大きいため、援助として始まるが、ビジネスが始まると関係が近くなる。実際にアフリカへ日本の政治家が行くと、大歓待を受ける」とした。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「日本の会社が現地に根付き、雇用が生まれて、地域の中で必要とされて、ようやくビジネスができる。その間に『日本は信用できる』というネットワークづくりが必要で、政府がお金を突っ込まないと、その場所が他の国に取られる。『中国の方が信用できる』というアフリカの国もある。10〜20年後のマーケットを見通して、信用を積み重ねるしかない」と語る。
アフリカには「ワイロを払わないと物事を進められない」という商慣習があるという。「ヨーロッパのように、法律でスムーズに動くと思い込むのは無理だ。日本にそれができないから、中国が伸びている。ワイロによって『こいつはお金をくれるから敵ではない』となり、これは日本や欧米とは異なるビジネスの進め方だ」。
そして、「そこまでしないと、入り込めない市場だ。ワイロを払えない国は、お金を持ってきても、キーマンを押さえられない。ワクチンを買ってあげても、政府高官がそれをガメて、必要な人に高価で売り渡す。お金とともにノウハウも提供して、初めて困っている人に行き着く。ガーナで見てきたが、ヨーロッパや日本と違うやり方が必要だ。日本であれこれ言っても何もならない」と語った。
山田氏はワイロの背景を「経済が成長しない中で、政府などに集まる限られたお金をむしり取ろうとするから」と指摘する。加えて「国境が多く、通るたびにお金を取られたり、ものを押さえられたりする」としつつ、「それはアフリカが“収奪型の文化”だからではない。経済が停滞し、多民族が利権を取り合っているからだ。日本が関わり、人材育成することで、それを乗り越える仕組みを作る」と、援助の意義を語る。
では、具体的にどのような形が考えられるのか。「中小企業やユニコーン企業とパートナーシップを組む。アフリカと日本の若い企業や人材が連携すれば、旧来型のビジネスにない可能性を持つ。アフリカではフィンテックが進んでいる」。
(『ABEMA Prime』より)
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