宮崎空港駅に停車中のJR九州「787系」

全国で空港へ直接、鉄道が乗り入れている場所は基幹空港がほとんど。羽田空港(京浜急行電鉄・東京モノレール)や成田空港(京成電鉄・JR東日本)、仙台空港(仙台空港鉄道)、中部国際空港(名古屋鉄道)、関西国際空港(南海電鉄・JR西日本)、神戸空港(神戸新交通)、福岡空港(福岡市地下鉄)、新千歳空港(JR北海道)、那覇空港(ゆいレール)などが有名ですが、実は主要幹線が飛び交う基幹空港以外でも鉄道が乗り入れている空港があります。花巻空港(JR東日本)、米子空港(JR西日本)や山口宇部空港(JR西日本)も空港隣接駅を設置していますが、雨に濡れずに鉄道へ乗り込めるという点では、今回取り上げる「宮崎空港」もそのひとつです。

さらに、その空港駅に指定席が設けられた“特別急行列車(特急)”が乗り入れているのは、成田空港・関西国際空港・中部国際空港と、今回ご紹介する宮崎空港のみ。とりわけ宮崎空港は、普通電車以外にも「特急にちりん(大分行き、小倉行き)」・「特急にちりんシーガイア(博多行き)」・「特急ひゅうが(延岡行き)」と、中距離〜長距離の特急列車が発着する“始発駅”になっています。

宮崎空港駅に乗り入れるJR九州の宮崎空港線は、鹿児島方面とを結ぶ日南線から分岐する支線。空港アクセスを担うという背景から、宮崎空港駅〜宮崎駅間は特急であっても普通乗車券のみで自由席に乗車できる“特例”制度が設けられています。このため、特急も活用することで1時間に2〜3本程度の運行本数が確保されています。余談ですが、全区間で乗車時間が5時間を超える「特急にちりんシーガイア(博多行き)」は、半個室で2名掛けが向かい合わせに配置されている4名向け“セミコンパート”が自由席として設定されているため、宮崎空港駅〜宮崎駅間では乗車券のみで利用可能。また、宮崎空港駅〜宮崎駅間であっても特急券とグリーン券が必要ですが、グリーン個室も設定されています。

JR九州の宮崎空港駅は、宮崎ブーゲンビリア空港ターミナル1階から連絡通路(階段・エスカレーター)ですぐ。到着口からはものの数分で到着することができます。駅は島式1面2線のホームを有し、空港ターミナル・誘導路・滑走路と平行に設置されています。また、駅舎・ホーム自体が高架になっており、ホーム先端(南宮崎方)がターミナルの搭乗ゲート11番目前で、駐機している航空機を間近に見ることができます。

■ 駅からみる航空機

高架ホームから搭乗ゲートに駐機中の航空機を眺められるほか、滑走路またはゲートに向かい誘導路を地上走行する航空機、滑走路で離着陸する航空機を眺めることができます。また、同駅を発着する特急に使用されている車両は、JR九州の特急交流形電車787系で、奇しくも日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)などで運用されているベストセラー機、ボーイング787型機と同じ番号になっています。多客期には、ANAの羽田〜宮崎線へ787が投入されることもあり、運が良ければ搭乗ゲート11番に駐機する“空の”787と、1番のりばに停車する“陸の”787のツーショットが見られるかもしれません。

■ 空港からみる鉄道

4階にある屋外の展望デッキからは、目の前を発着する航空機、滑走路を挟んだ向かいにある航空大学校の訓練機の発着を見ることができます。また、航空大学校で訓練機として使用されていた、ビーチクラフトC90Aキングエア「機体記号：JA8850」の実機も展示されているので、二重に楽しめます。

そして、この展望デッキからは宮崎空港駅を発着する鉄道も眺めることができます。展示機とは反対方向に向かうと、駅方向も見渡せるようになっています。高架ホームは囲いに覆われていますが、駅を発車または到着する鉄道を展望デッキから撮影することが可能なほか、航空機とのツーショットをこちらでも見ることができます。