【国民年金と厚生年金】「両方もらえるのはどんな人?」男女で月に6万円の差!基礎控除改正で手取りは増える?

「平均でもらえる金額はいくら?」国民年金と厚生年金のしくみを解説!

【国民年金と厚生年金】両方もらえるのはどんな人?, 日本の年金制度は2階建て構造, 1階部分:国民年金(基礎年金), 2階部分:厚生年金(被用者年金), 年金保険料はどうやって納める?, 【国民年金と厚生年金】平均でもらえる金額はいくら?, 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》5歳刻みの平均年金月額, 【国民年金と厚生年金】男女で平均年金月額に違いはある?, 《厚生年金の受給額》男女で月に6万円の差, 【国民年金と厚生年金】基礎控除改正で手取りは増える?還付のポイント, 【年齢別】令和7(2025)年の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額」, 2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」, 【国民年金と厚生年金】制度を知り、不安を安心に変える一歩をふみだす

【国民年金と厚生年金】「両方もらえるのはどんな人?」男女で月に6万円の差!基礎控除改正で手取りは増える?

9月に入りましたがまだまだ暑い日が続いております。今のシニア世代が受け取る年6回の年金支給日も残すところ10月と12月の2回となりました。そんな中、厚生労働省によると国民年金の平均年金月額は5万円台、厚生年金は平均14万円台ということがわかりました。年金はシニア世代の暮らしを支える大切な収入源です。今回は、公的年金のしくみや今年度の税制改正による年金への影響などわかりやすく解説していきます。

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【国民年金と厚生年金】両方もらえるのはどんな人?

「国民皆年金」である日本の年金制度のしくみをおさらいしていきましょう。

「年金制度は2階建て」などと呼ばれるように、2つの年金制度(国民年金・厚生年金)から成り立ちます。

国民年金(基礎年金)は、国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「年金制度のベース」といえる部分。さらに会社員や公務員などは、厚生年金に上乗せ加入します。

日本の年金制度は2階建て構造

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それぞれの年金制度の基本を整理しておきましょう。

1階部分:国民年金(基礎年金)

・加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の人全員

・年金保険料:全員一律(※1)

・老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる

※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円

※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円

2階部分:厚生年金(被用者年金)

・加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入

・年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)

・老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る

※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される。

※4 受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などの合算)が10年以上ある場合、65歳以降で受給できる。

現役時代の働き方や立場によって、「国民年金のみに加入する人」と「国民年金と厚生年金の両方に加入する人」に分かれます。

老後の受給も「国民年金のみを受け取る人」と「国民年金+厚生年金を受け取る人」の2つのタイプに分かれます。

年金保険料はどうやって納める?

自営業者やフリーランスなど、国民年金のみに加入する人(第1号被保険者)は、毎月の年金保険料を自分で納付します。

会社員や公務員など、厚生年金に加入する人(第2号被保険者)は、毎月の保険料を勤務先と折半で負担し、給与から天引きで納めます。

なお、第2号被保険者に扶養されている配偶者(第3号被保険者)は、個人で国民年金保険料を負担する必要はありません。

【国民年金と厚生年金】平均でもらえる金額はいくら?

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、今のシニア世代が国民年金と厚生年金(※1)をどの程度受け取れているかを見ていきます。

まずは、年齢階級別(5歳刻み)の平均年金月額から確認しましょう。

※1 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》5歳刻みの平均年金月額

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金

・60~64歳:4万4836円

・65~69歳:5万9331円

・70~74歳:5万8421円

・75~79歳:5万7580円

・80~84歳:5万7045円

・85~89歳:5万7336円

・90歳以上:5万3621円

厚生年金

※国民年金部分を含む

・60~64歳:7万5945円

・65~69歳:14万7428円

・70~74歳:14万4520円

・75~79歳:14万7936円

・80~84歳:15万5635円

・85~89歳:16万2348円

・90歳以上:16万721円

年金の受給開始年齢は、一般的に65歳以上です。65歳以上で国民年金(老齢基礎年金)のみを受け取る方の平均月額は5万円台となっています。

一方、厚生年金(国民年金部分を含む)を受給する方の平均月額は、14万円台から16万円台です。

なお、65歳になる前に年金を受給しているのは、年金の繰上げ受給(※2)を選択した方や、特別支給の老齢厚生年金(※3)を受け取っている方です。そのため、65歳以上の方と比べて平均受給額は低くなっています。

※2 繰上げ受給:老齢年金を「60歳から64歳」の間に前倒しして受給を始めること。繰上げた月数に応じて減額率が適用されます。

※3 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受給できます。

【国民年金と厚生年金】男女で平均年金月額に違いはある?

60歳~90歳以上の全受給権者における平均年金月額も見ていきましょう。

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出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金

・全体 5万7584円

・男性 5万9965円

・女性 5万5777円

厚生年金

※国民年金部分を含む

・全体 14万6429円

・男性 16万6606円

・女性 10万7200円

国民年金のみを受け取る場合、平均年金月額は男女全体で5万円台です。一方、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取る場合、平均月額は男女全体で14万円台と、国民年金のみの場合よりも手厚くなります。

《厚生年金の受給額》男女で月に6万円の差

厚生年金の平均年金月額を男女で比較すると、男性平均が16万円台であるのに対し、女性は10万円台となっており、大きな差が生じています。これは、現役時代の働き方や年金加入期間が反映されているためです。

老後の年金受給額は、現役時代の年金加入状況によって大きく異なります。ご自身の将来の年金見込額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておきましょう。

【国民年金と厚生年金】基礎控除改正で手取りは増える?還付のポイント

「令和7年度税制改正」により、所得税の基礎控除額が改定されました。

これに伴い、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、現行の「158万円未満」から「205万円未満」に引き上げられました。(65歳未満は現行の「108万円未満」から「155万円未満」に引き上げ)

令和7年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎控除額は以下の通りです。

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出所:日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

【年齢別】令和7(2025)年の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額」

65歳以上

・2025年12月の精算時

・2025年の各月の年金支払い時

65歳未満

・2025年12月の精算時

・2025年の各月の年金支払い時

2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」

【国民年金と厚生年金】両方もらえるのはどんな人?, 日本の年金制度は2階建て構造, 1階部分:国民年金(基礎年金), 2階部分:厚生年金(被用者年金), 年金保険料はどうやって納める?, 【国民年金と厚生年金】平均でもらえる金額はいくら?, 【一覧表】60歳~90歳以上《国民年金・厚生年金》5歳刻みの平均年金月額, 【国民年金と厚生年金】男女で平均年金月額に違いはある?, 《厚生年金の受給額》男女で月に6万円の差, 【国民年金と厚生年金】基礎控除改正で手取りは増える?還付のポイント, 【年齢別】令和7(2025)年の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎的控除額」, 2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」, 【国民年金と厚生年金】制度を知り、不安を安心に変える一歩をふみだす

出所:日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

この改正により、2025年12月の年金支払い時に「1年間の最終的な税額」と「それまでに源泉徴収された税額」との間で精算がおこなわれ、過払い分が生じていた場合は、その差額が還付されます。

【国民年金と厚生年金】制度を知り、不安を安心に変える一歩をふみだす

今回は、公的年金のしくみや今年度の税制改正による年金への影響など解説しました。

国民年金のみの受給だと、平均月額は5万円台。厚生年金を含めても14万円台と、年金収入だけでゆとりのある生活を送るのは難しいかもしれません。しかし、この問題は決してシニア世代だけの話ではありません。今の現役世代が年金を受け取る頃にも同じような課題に直面する可能性は非常に高いでしょう。

だからこそ、早めに年金の仕組みを理解し、自分の年金がいくらもらえるのかを把握しておくことが大切です。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の見込み額を確認し、早めに対策を始めることで、将来の漠然とした不安を減らすことができます。年金は「知ること」からはじまります。正しい知識を身につけて、将来への不安を安心に変える一歩をふみだし、自分らしい老後への備えをはじめましょう。

参考資料

・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

・日本年金機構「国民年金保険料」

・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」

・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・日本年金機構「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」