【住民税非課税世帯】ってどんな世帯?〈働くシニアもチェック〉年収いくらまでが非課税?「単身世帯」「夫婦世帯」に分けて目安例を解説

非課税でも損をしない働き方のポイント4選

そもそも住民税が非課税になる条件とは?, 所得割・均等割の両方が非課税, 所得割のみが非課税(均等割は課税), 年収いくらまでが非課税?東京23区の例で見る目安, 非課税でも損をしない働き方のポイント, ① 就労日数や時間を調整する, ② 年金との合算でシミュレーションする, ③ 扶養や各種控除の影響を確認する, ④ 社会保険料負担も考慮する

【住民税非課税世帯】ってどんな世帯?〈働くシニアもチェック〉年収いくらまでが非課税?「単身世帯」「夫婦世帯」に分けて目安例を解説

「年金だけでは生活が苦しいから、少しでも働きたい。でも住民税がかかるようになると、手取りが減ってしまうのでは?」

65歳を超えて働く方の中には、こうした不安を抱く人が少なくありません。実は、住民税がかからない「非課税世帯」の基準は、年齢や扶養状況によって変わります。

特に65歳以上では「公的年金等控除額」が大きいため、非課税で働ける収入の上限も一般的な年齢層より高く設定されています。

この記事では、住民税非課税世帯となる年収目安や、非課税でも損をしない働き方、注意点をわかりやすく解説します。

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そもそも住民税が非課税になる条件とは?

住民税には、所得に応じて負担額が決まる「所得割」と、一定の金額を全員が均等に負担する「均等割」の2種類があります。

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そもそも住民税が非課税になる条件とは?

住民税非課税世帯とは、世帯全員が「所得割・均等割の両方が非課税」の世帯を指します。

所得割・均等割の両方が非課税

所得割・均等割の両方が非課税となるのは、以下のような方です。

・生活保護法による生活扶助を受けている方

・障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方

・前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方

なお、非課税となる所得の目安は自治体によって異なります。

例えば、東京23区内の場合は以下のとおりです。

同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合

35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下

同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合

45万円以下

※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。

※23区外にお住まいの方は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村にお問合せください。

所得割のみが非課税(均等割は課税)

所得割のみが非課税となるのは、前年中の総所得金額等が下記の金額以下の方です。

<東京23区内>

同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合

35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下

同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合

45万円以下

※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。

年収いくらまでが非課税?東京23区の例で見る目安

年金収入のみの場合の非課税限度は、以下のようになります。

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年金収入のみの場合の非課税限度額

住民税が非課税になる年金収入の目安は自治体によって異なりますが、「東京23区」(1級地)の例を例に挙げると以下のようになります。

・高齢者単身:155万円

・高齢者夫婦:211万円

なお、年金以外の収入(給与・事業・雑所得など)がある場合は、「控除などを差し引いた合計所得金額」が非課税ライン以下である必要があります。

※目安となる年収は市区町村によって異なります。詳細はお住まいの地域の自治体が公表する情報を確認しましょう。

非課税でも損をしない働き方のポイント

年金と給与を両方受け取っている場合、住民税非課税判定は「給与所得+年金所得」の合計で行われます。

そのため、非課税でも損をしない働き方のポイントをまとめました。

① 就労日数や時間を調整する

非課税枠ギリギリで働く場合、想定外の収入増で基準を超えるリスクがあります。

例えば、繁忙期の残業代や臨時ボーナスで年収が数万円上乗せされ、翌年度から住民税が課税されるケースもあります。

特に時給制パートやアルバイトの場合、1日あたりの労働時間×月間勤務日数を固定するか、年間で働く日数を逆算して調整することが重要です。

② 年金との合算でシミュレーションする

住民税非課税かどうかは、給与収入だけでなく年金額も含めた「合計所得金額」で判定されます。

例えば、単身世帯の場合は年金収入110万円なら給与収入を110万円(控除後の所得45万円)まで増やせますが、年金額が155万円なら給与収入は65万円以下に抑えなければなりません。

年金額が多いほど、非課税で働ける給与収入は減るため、必ず年金+給与の合計で試算しましょう。

③ 扶養や各種控除の影響を確認する

配偶者控除(38万円)や障害者控除(27万円)など、他の控除が適用されれば、非課税で働ける上限額が増えます。

控除は重複して使えるケースも多いため、該当する場合は確定申告を忘れないようにしましょう。

④ 社会保険料負担も考慮する

月収が一定額を超えると、厚生年金・健康保険の加入義務が発生し、手取りが減る場合があります。

【2025年8月時点の主な目安】

・週20時間以上勤務

・月額賃金8万8000円以上(年収約106万円)

・勤務期間2ヵ月超見込み

・学生ではない

・従業員数51人以上の企業

社会保険加入は将来の年金額増加や医療保障強化というメリットもありますが、短期的には手取りが減るため、「住民税の非課税枠」と「保険料負担」の両面で判断が必要です。

まとめにかえて

住民税の非課税枠は、年金額や給与額、扶養状況などによって変わります。

65歳以上の場合は控除額が大きく、働ける範囲も広がりますが、繁忙期の残業や臨時収入で基準を超えることもあります。

非課税で働くためには、年金と給与の合計でシミュレーションし、扶養や各種控除も活用しながら働き方を調整することが大切です。

将来の年金額や社会保険の加入条件も踏まえ、自分に合った働き方を見つけていきましょう。

参考資料

・国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

・総務省「個人住民税」

・東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」

・港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」

・厚生労働省「住民税世帯非課税の対象者等」

・厚生労働省「社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」