【後期高齢者医療】年間8万円以上で保険料は増加傾向!「保険料負担をやわらげる激変緩和措置とは?」どんな人が対象?

「2025年度の後期高齢者医療保険料」平均額と激変緩和措置を解説

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【後期高齢者医療】年間8万円以上で保険料は増加傾向!「保険料負担をやわらげる激変緩和措置とは?」どんな人が対象?

今月は今年4回目の年金が支給されましたが、支給額の明細を見て「年金から社会保険料ってこんなに引かれるんだ」と気になった方もいたと思います。特に後期高齢者医療制度の保険料は、毎年のように変わるため心配になりますよね。

2025年度は平均8万6306円と見込まれていますが、同時に「激変緩和措置」という負担をやわらげる仕組みも設けられています。今回は、厚生労働省の最新データをもとに、2025年度の保険料の金額や地域ごとの違い、そして安心のために知っておきたい制度のポイントをわかりやすく解説します。

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【後期高齢者医療】2025年度はいくらに増える?

後期高齢者医療制度の保険料は、全国一律ではなく、お住まいの地域や前年の所得によって異なります。まず、2025年度の平均的な保険料と、年金収入別に見た都道府県ごとの保険料を見ていきましょう。

【2025年度】保険料の平均は?

後期高齢者医療の保険料は、加入者全員が負担する「被保険者均等割額」と、所得に応じて負担する「所得割額」の合計で決まります。

・被保険者均等割額(年額):5万389円

・所得割率:10.21%

これらを基にした平均保険料額(年額)は8万6306円と見込まれています。

【後期高齢者医療】地域ごとに差がある保険料

2025年度の後期高齢者医療保険料は、年金収入額だけでなく、お住まいの地域によって大きく異なります。

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【2025年度】年金収入195万円の人の保険料例

年金収入195万円の場合

年金収入が195万円の場合、月額保険料の全国平均は5673円です。都道府県別に見ると、特に保険料が高いのは以下の地域でした。

・福岡県:6641円

・大阪府:6495円

・大分県:6509円

対照的に、最も低いのは岩手県の4808円でした。

年金収入82万円の場合

年金収入が82万円の場合、月額保険料の全国平均は1260円です。このケースで保険料が高い上位3県は以下の通りです。

・福岡県:1500円

・鹿児島県:1492円

・大分県:1480円

最も低いのは岩手県の1092円でした。

このように、年金収入に関わらず、福岡県、大分県などの保険料が高くなる傾向が見られます。反対に、岩手県はどちらのケースでも保険料が最も低くなっています。保険料は所得だけでなく、住んでいる地域によっても差があるため、自身の居住地の保険料を把握しておくことが大切ですね。

【後期高齢者医療】なぜ保険料は上がるのか?

後期高齢者医療の保険料が上がる主な理由としては、「医療費の増加と制度変更」にあると考えられます。まず、給付費のうち高齢者が負担する割合(後期高齢者負担率)が見直され、2024・2025年度は引き上げられました。

また、2024年4月からは「子育ては社会全体で支える」という考えに基づき、後期高齢者医療制度も出産育児一時金の一部を負担することになりました。これによって制度全体の費用負担が増えたことも、保険料が上がる要因の一つです。

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出産育児一時金の一部負担について

さらに、医療給付費そのものが増えていることも見過ごせません。2024・2025年度の1人あたりの医療給付費は、全国平均で年間約90万2,000円と見込まれ、過去2年と比べて約2.7%も増えています。ただし、急激な負担増を抑えるため、年金収入が一定基準に該当する人には保険料の増加を抑える「激変緩和措置」が設けられています。

負担をやわらげる「激変緩和措置」とは?

激変緩和措置とは、後期高齢者医療制度の改正により、一部の世帯で保険料負担が急激に増えることを防ぐための特別な配慮です。これにより、所得の少ない方や中間層の負担を抑えることを目的としています。

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激変緩和措置のイメージ図

具体的には、以下の3つの措置が設けられています。

・年金収入が153万円相当以下の方:

後期高齢者全体の約6割にあたるこの層は、制度改正による保険料の増加がありません。

・年金収入が211万円相当以下の方:

後期高齢者全体の約12%にあたるこの層も、2024年度は保険料の増加が生じないよう配慮されています。

・賦課限度額の段階的引き上げ:

保険料の賦課限度額(上限額)も、2024年度は73万円、2025年度は80万円と段階的に引き上げられ、高所得者層も負担が段階的に増える仕組みです。

これらの措置は、家計の急激な負担増を和らげ、高齢者の生活を守るためのものです。ただし、この措置は毎月支払う保険料に関するものであり、窓口で支払う医療費の自己負担割合とは異なることを理解しておくことが重要です。

【後期高齢者医療】これからの保険料にどう備える?

今回は、2025年度の後期高齢者医療保険料について解説しました。平均8万6306円となる見込みですが、年金収入が一定以下の方を中心に「激変緩和措置」が設けられ、急激な負担増は抑えられます。地域や収入によって差が出るため、自分のケースを知っておくことが大切です。保険料が上がる背景には、医療費の増加や制度の変更があります。正しく理解しておけば、不安をやわらげられますよね。

年金明細を確認しながら、自分の家計にどう影響するかを把握しておきましょう。制度を知って備えておけば、これからの生活も安心です。

参考資料

・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」