「なでしこカフェ」から広がる、スターバックスと市のやわらかなつながり

スターバックスコーヒー・ららぽーと湘南平塚店が始めた「なでしこカフェ」。人と人がふらりと出会い、にこにこと言葉を交わせる場所を目指して開かれている。コーヒーの香りがふわりと立ちのぼり、優しい時間がゆっくりと流れていく。この取り組みが生まれたのは、ほんの小さなひと言からだった。

はじめましてがうれしくなる、やさしい出会いの場, ふらっと寄れて、ほっとできる場所, スタッフの想いがにじむ時間づくり, 平塚からじわり、地域へ広がる輪

「なでしこカフェ」の参加者たちに、コーヒーでおもてなしをする内海さん

ある日、市役所職員が店を訪れた際、ストアマネージャー(店長)の内海さんと交わした何気ない会話。それがきっかけとなり、高齢福祉課や青少年課の職員も巻き込んで話が進み、2025年3月に第1回の開催へとつながった。カフェの名前には、平塚市の花「なでしこ」にちなみ、花が咲きそろうように、人と人がそっと寄り添う。そのイメージが、このカフェに込められている。

はじめましてがうれしくなる、やさしい出会いの場

いつも「なでしこカフェ」に足を運んでいる原田さん。初めてここを訪れたきっかけは、市の高齢者よろず相談センターの紹介だったそう。今回が5回目の参加となり、「ちょうど今日が誕生日で」と、穏やかな表情で話してくれた。

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【写真】この日が誕生日だった参加者の原田さんに、手書きのイラスト入りカバーを作成してプレゼントした

初対面の人から「おめでとう」と声をかけられ、「家族と過ごしているみたいで、うれしくてたまらなかった」と、目を細めた。さらに、今回の参加でも、新たなつながりが生まれたという。「周りの方がとても話しやすくて、気づいたら自然に笑顔になってました」と、うれしそうに話す。

「ここに来るようになって、人と会うのがちょっと楽しみになりました。月に一度、自分へのちょっとしたごほうびです」と、あたたかい口調で話してくれた。

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「なでしこカフェ」で楽しんだ味わいを、コーヒーパスポートにメモ。この日の一杯は、スターバックス カティ カティ ブレンド。グレープフルーツのようなさわやかな風味が特徴

ふらっと寄れて、ほっとできる場所

福祉部長の田中さんが感じているのは、この場所の“ちょうどよさ”。「公民館だと、申し込みが必要だったり、構えてしまう人も多い。でも、スターバックスならふらっと寄れて、自然に会話が生まれる。そんなやわらかさがあるんです」

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平塚市役所 福祉部長の田中恵美子さん(左)と、ららぽーと湘南平塚店のストアマネージャー・内海さん

実際、カウンターでコーヒーを頼むように気軽に参加できるこのイベントは、地域活動に参加したことがない人にもスッと入りやすい。いつものコーヒーを飲むついでに誰かと自然に会話が始まる、そんな場所があるだけで、敷居はぐっと下がる。

市内では、65歳以上の高齢者が約7万4千人。年齢に関わらず独居世帯は増えており、「家族がいても、日常で誰とも話さない日がある」という人も珍しくない。「年齢は関係ないんです。誰かと関われる場所が、身近にあること。それが安心につながると感じています」と田中さんは穏やかに続けた。

スタッフの想いがにじむ時間づくり

「仲間をつくり、変化を起こし、誰かの1日を幸せにする」スターバックスのこの理念を、内海さんはずっと大切にしてきた。「パートナー(従業員)たちは、この言葉に共感して働いている人が多いんです。だから、こうした地域の取り組みにも自然と手が挙がる」と話してくれた。

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地域の取り組みに対して、店舗のスタッフたちの意識も高い

ストアでは地域との関わりを深める一環として、認知症サポーター養成講座にも取り組んでいる。「地域のことをもっと知りたい」「誰かの力になりたい」そんな気持ちが芽生え、自然と学びへとつながった。その背景には、内海さん自身の原体験がある。

和歌山でひとり暮らしをしていた祖母が、喫茶店の閉店とともに外出の機会を失い、誰とも話さない日が増えていった。その後、体調を崩したこともあり、「会話する場所の大切さ」を痛感したそうだ。「うみちゃんに会いに来たよ」そう声をかけられるたびに、この店が誰かの居場所になっていることを実感している。

平塚からじわり、地域へ広がる輪

「なでしこカフェ」の想いは、平塚田村店へも波及し、認知症カフェとしての展開がスタート。スタッフも資格を取得し、より安心して地域と向き合えるよう取り組んでいる。「スターバックスが4店舗ある平塚だからこそ、それぞれの地域に合った形で動いていけたら」と語る内海さん。

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コーヒーを楽しみながら、市役所職員や仲間たちとわいわい会話が盛り上がる

田中さんも、「サードプレイスと呼ばれるスタバのような空間が、地域資源として機能することの意味は大きい」と話す。そして将来について、「高齢者だけでなく、若い人たちにも気軽に足を運んでもらえるような場所にしていきたい」と展望をにじませた。

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「なでしこカフェ」が気になったら、ぜひららぽーと湘南平塚店へ足を運んでみて

「ひとりで来ても、ひとりじゃない」そんなあたたかな空間は、今月も平塚で、笑顔をそっと迎え入れてくれる。

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