児童労働の撲滅へ…!「ブラックサンダー」がカカオ原料にこだわる深い理由 産地切り替え、試作繰り返し…込めた思い
有楽製菓から1994年に発売され、今や屈指の人気チョコレート菓子として知られる「ブラックサンダー」。
このお菓子には、原産国の児童労働に配慮した「スマイルカカオ」が使用されていることをご存知だろうか?
有楽製菓が製造するチョコバー「ブラックサンダー」
主に西アフリカや中南米、東南アジアで栽培されるカカオだが、家族単位の小規模な農家が栽培していることが多く、児童労働の温床になりがちだ。そこで有楽製菓では「スマイルカカオプロジェクト」として購入時に上乗せの金額を支払い。それによってカカオ農家へ還元、児童労働の監視、ひいては環境への配慮など、より包括的な支援に取り組んでいるのだ。
1個40円のブラックサンダーに込められた熱い思い。同社経営品質部の担当者にお話を聞いた。
有楽製菓が推進するスマイルカカオプロジェクトとは?
--スマイルカカオプロジェクトに取り組むことになった経緯を。
担当者:2018年に弊社会長が児童兵についての講演会に参加した際にチョコレートに使用されているカカオ豆に対しても児童労働という問題があることを伺いました。今まで親の手伝いなどはあるだろうと認識しておりましたがそれが労働といわれるほどのものだとは認識しておりませんでした。それを知った会長が何とかしたいと考え、社内に持ち帰り対応について検討を開始したことがきっかけとなります。
--スマイルカカオを導入時は?
担当者:多くのお客様にこの社会課題を知っていただくため、弊社の代表商品であるブラックサンダーのチョコレートを切り替えることを決め活動を開始しました。当初購入していたメーカーでは児童労働に配慮した原料の調達が難しかったため、メーカーを変更する必要がございました。チョコレートを変えることで味わいが変わってしまうということがないよう味わいのチェックは何度も行いました。その際の試作は何度も行ったため、かなり労力を要しました。
--取り組みへの反響は?
担当者:今回のように取材依頼をいただくこともあり、徐々に弊社の取り組みを知っていただくことができてきたと思います。またSNSなどの投稿でこの活動を応援していただくコメントも多くいただいております。非常にうれしく思います。今年ILO(国際労働機関)からの発表があり、児童労働問題は2021年度の報告から減少傾向であるという報告がなされた一方、2030年までの目標達成は難しいといった発信もございました。弊社だけの活動で児童労働の撲滅は難しいのが事実です。弊社も社会課題の解決を目指しこの活動を推進していきたいと思います。
スマイルカカオプロジェクトのロゴマーク。カカオを挟んで両側に二つの笑顔を描くことで「どこにいる子どもたちも同じ幸せを感じられる未来を」という思いを込めてデザインしたそう
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有楽製菓では2022年9月にブラックサンダーのスマイルカカオ率100%を達成。また2024年までに全チョコレート商品でスマイルカカオ率100%達成している。味だけでなく心も美味しくなるお菓子作りに取り組む有楽製菓の歩みをこれからも注視したい。
有楽製菓株式会社会社概要本社所在地:東京都小平市小川町1-94
公式ホームページ:https://www.yurakuseika.co.jp/
スマイルカカオプロジェクト紹介ページ:https://www.yurakuseika.co.jp/shfc/
ブラックサンダー商品ページ:https://www.yurakuseika.co.jp/lineup/product_05.html
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)