Nvidia四半期決算まもなく発表…ウォール街のアナリストが強気を維持する理由

ベアード:チップ需要は加速中, エバーコアISI:エヌビディアは依然として「最優先銘柄」, シュティフェル:堅調なGB300サイクルが到来, ウィリアム・ブレア:AI需要は成長の原動力

2025年6月、汎用ヒューマノイド ロボットのNVIDIA Isaac GROOT N1を披露するジェンスン・フアンCEO。

  • エヌビディアは8月27日の市場終了後に第2四半期決算を発表する。
  • ウォール街は、ハイパースケーラーがエヌビディアのチップに対する膨大な需要を引き続き牽引すると、概ね強気な見方を示している。
  • アナリストは、同社の売上高が462億ドル、1株当たり利益が1.01ドルになると予想している。

エヌビディア(Nvidia)にとって、まさにビッグデーが目前に迫っている。

AI(人工知能)チップメーカーである同社は、8月27日の市場取引終了後(現地時間)に第2四半期決算を発表する準備を進めている。この決算は、今後の市場とAI業界の動向を決定づけると期待される、非常に注目度の高いイベントだ。

最近、時価総額4兆ドル(約580兆円)を突破した史上初の企業となった同社は、今四半期の売上高は462億ドル(約6兆6990億円)と予想されている。ブルームバーグのコンセンサス予想によると、調整後1株当たり利益は1.01ドルと予想されている。

エヌビディアの市場全体における圧倒的なシェアと、決算発表後の株価の大きな変動を踏まえ、投資家はエヌビディアが株式市場全体にとってビッグデーとなることを心待ちにしている。過去の四半期では、エヌビディアが予想を上回る業績を上げているにもかかわらず、株価は下落した。これは主に、投資家の同社に対する過度に高い期待によるものだ。

この高いハードルを乗り越えなければならないにもかかわらず、ウォール街は決算発表を前にエヌビディアに強気な見方をしている。アナリストは一様に、ハイパースケーラーによるAI設備投資の勢いが維持され、エヌビディアのチップに対する需要が世界的に依然として堅調に推移するかどうかを注視していると述べた。

主なアナリストの見解を以下で紹介する。

ベアード:チップ需要は加速中

エヌビディアのGB200チップに対する需要は、7月までの販売出荷量において「大幅な加速」が見込まれ、その勢いは下半期も持続すると、ベアード(Baird)のアナリストはリポートで記した。

エヌビディアはまた、GB300 AIチップのリリース準備を進めており、早ければ9月下旬にも発売される可能性がある。

一方、AI分野への投資は堅調に見える。AI関連投資の収益率が高いためだとベアードは述べた。

「AI GPUの競争環境は、下半期および来年もエヌビディアにとって非常に有利な状態が続く」と同社は8月25日のリポートで記した。

ベアードは同株に対する「アウトパフォーム」評価を維持し、目標株価を1株当たり195ドルから225ドルに引き上げた。これは25%の上昇余地を示唆している。アナリストによれば、この引き上げはAIデータセンター市場におけるNVIDIAの競争力、継続的な株価の勢い、そして「強力な新製品ロードマップとソフトウェアエコシステム」を反映したものだ。

エバーコアISI:エヌビディアは依然として「最優先銘柄」

エバーコア(Evercore)のアナリストは、AI設備投資が2025年に72%急増すると予想している。さらに、アマゾン(Amazon)のAWSやマイクロソフト(Microsoft)のAzureといった企業におけるクラウド需要は、AIが「企業にとって転換点を迎えた」ことを示唆していると付け加えた。

業界調査によれば、エヌビディアのBlackwell(ブラックウェル)シリーズに対する需要は強く、同社のソフトウェアは大規模言語モデル(LLM)のトレーニングにおいて依然として「最適なソリューション」だ。

「今年はGrace Blackwell 2000一色だ。我々は日々、その導入と統合に追われ、次の出荷を待っている状態だ」と、同社ティア2チャネル調査の回答がレポートで引用されている。

「エヌビディアは短期的には我々の最優先銘柄であるし、長期的にはS&P 500指数の最大16%を占める可能性があると見ている」と彼らは付け加えた。アナリストがレポートを執筆した時点で、エヌビディアはベンチマーク指数の約8%を占めていた。

エバーコアは同株に対する「アウトパフォーム」評価を維持し、目標株価を1株あたり190ドルから214ドルに引き上げた。これは現在の水準から19%の上昇余地を示唆している。

シュティフェル:堅調なGB300サイクルが到来

シュティフェル(Stifel)のアナリストは、エヌビディアが四半期決算で予想を上回り、第3四半期の「健全な」見通しを示すと予想した。同社のチップに対する需要が堅調なためだ。

中国で一時的に禁止されていたH20チップの販売が再開され、エヌビディアの次世代チップGB300への需要は加速する見込みだと彼らは記した。

「長期的な強気シナリオでは、AIが主導する需要が堅調に推移し、エヌビディアがAIアクセラレーター市場での支配的な地位を少なくとも2030年頃まで維持する可能性を示唆している」と記した。

「現状では我々は強気シナリオを支持するが、供給側のリスク(関税や貿易規制を含む)が同社にとって主要な懸念材料である点を強調しておく」

エヌビディアの売上高の予想上振れ幅は、投資家が過去に目にしてきた水準より小さくなる可能性がある。同社の四半期決算における予想上振れ幅は2025年から縮小傾向にあると、アナリストは決算報告書の分析を引用して指摘した。

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エヌビディアの売上高利益の予想上振れ幅は、過去1年間は縮小してきている。

アナリストは同社株に対する「買い」評価を維持し、目標株価を従来の202ドルから212ドルに引き上げた。これは18%の上昇余地を示唆している。

ウィリアム・ブレア:AI需要は成長の原動力

ウィリアム・ブレア(William Blair)は、エヌビディアがAI支出の増加から恩恵を受けると予想している。

同社は、この分野における設備投資支出に関するコンセンサス予想を引用し、マイクロソフト、メタ(Meta)、アマゾンといったハイパースケーラー企業が2028年まで、年間約5030億ドル(約72兆9350億円)の設備投資を行う見込みだと示唆した。これは、これらの企業が今年末までに支出すると予想される3980億ドル(約57兆7100億円)とほぼ同じ規模だ。

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コンセンサス予測によると、ハイパースケーラーは2028年まで年間5000億ドル以上の設備投資を行うと予想されている。

ウィリアム・ブレアのアナリスト、セバスチャン・ナジ(Sebastien Naji)は8月25日の顧客向けレポートで次のように書いている。

「ハイパースケーラー、ネオクラウド、そして増え続けるソブリン投資家がデータセンター容量に投資し、より大規模なAIクラスターを構築するため、今後の半導体企業の決算ではAI需要の持続的な強さが見込まれる」

同社はエヌビディアに対して「アウトパフォーム」の格付けを与えた。