厚生年金+国民年金が「年間240万円以上」の受給者は何%?平均年金月額もチェック!
- 公的年金制度の仕組みを「図解」で解説
- 【6月に送付済】「年金振込通知書」のチェックしたい項目
- チェック項目(1)年金支払額
- チェック項目(2)介護保険料額
- チェック項目(3)後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
- チェック項目(4)所得税額および復興特別所得税額
- チェック項目(5)個人住民税額および森林環境税額
- チェック項目(6)控除後振込額
- チェック項目(7)振込先
- チェック項目(8)前回支払額
- 「厚生年金と国民年金」の平均年金月額はいくら?
- 厚生年金の平均月額はいくら?
- 国民年金の平均月額はいくら?
- 厚生年金+国民年金が「年間240万円以上」の受給者は何%?
- 厚生年金(国民年金含む)受給額ごとの人数をチェック
- 老後に必要な目標額を明確にし、少しずつでも準備を進めていきましょう
【6月に送付済】「年金振込通知書」のチェックしたい項目も確認
厚生年金+国民年金が「年間240万円以上」の受給者は何%?平均年金月額もチェック!
暦の上では秋に入りましたが、まだまだ暑さが続いています。
夏休みをご家族と過ごし、ご両親やご自身の老後の生活について考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
老後の生活を支える公的年金制度は複雑に感じるかもしれませんが、年金の仕組みや現状を知ることで将来のマネープランを立てやすくなるでしょう。
本記事では、年金振込通知書の内容や年金の平均受給月額など、年金制度の基本を図解を交えて解説します。
厚生年金+国民年金が「年間240万円以上」の受給者は何%なのかもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
公的年金制度の仕組みを「図解」で解説
年金制度はなんとなく複雑な印象があるかもしれませんが、以下のしくみ図をイメージするとわかりやすくなります。
このうち、1階部分にあたるのが国民年金です。
「基礎年金」とも呼ばれ、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象となります。
保険料は全国一律※1で、定められた要件を満たすことで将来、老齢基礎年金として受け取ることができます。
なお、40年間保険料を納め続けると、満額※2の年金を受給できる仕組みです
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
続いて、2階部分に該当するのが厚生年金です。
こちらは会社員や公務員、また特定適用事業所※3で一定の条件を満たして働くパート・アルバイトなど、第2号被保険者が対象となります。
保険料は収入に応じて決まり※4、給与から自動的に天引きされて納付されます。
将来は老齢厚生年金として受給できますが、その金額は加入期間や納付額によって人それぞれ異なります。
次章では、「年金振込通知書」について詳しく見ていきましょう。
※3 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
【6月に送付済】「年金振込通知書」のチェックしたい項目
日本年金機構から、6月4日(水)〜6月11日(水)にかけて順次送付されたのが「年金振込通知書」です。
この通知書を見ることで、6月支給分から適用される年金額の内訳や変更点を確認することができます。
以下の見本を参考に、記載されている情報を一つずつ確認していきましょう。
年金から天引きされる税や社保が記載される「年金振込通知書」
年金振込通知書には、次のような内容が記載されています。
また、支払期ごとに差し引かれる保険料等(特別徴収)の金額は、変更される可能性がある点にも注意が必要です。
チェック項目(1)年金支払額
1回に支払われる年金額(控除前)
チェック項目(2)介護保険料額
年金から天引きされる介護保険料額
チェック項目(3)後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
年金から天引きされる「後期高齢者医療保険料」または「国民健康保険料(税)」
※特別徴収される場合に記載される
チェック項目(4)所得税額および復興特別所得税額
年金支払額から社会保険料(※1)と各種控除額(※2)を差し引いた後の額に5.105%の税率をかけた額
※1 社会保険料:社会保険料とは、特別徴収された介護保険料、後期高齢者医療保険料または国民健康保険料(税)の合計額
※2 各種控除額:扶養控除や障害者控除など
チェック項目(5)個人住民税額および森林環境税額
年金から特別徴収(天引き)される個人住民税額および森林環境税額
チェック項目(6)控除後振込額
年金支払額から社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額および森林環境税額を差し引いた後の振込金額
チェック項目(7)振込先
年金が振り込まれる金融機関の支店名(※営業所、出張所などを含む)
チェック項目(8)前回支払額
令和3年10月から、年金振込通知書に前回の定期支払月に支払った金額
年金の見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認可能ですが、実際の受取額は「表示されている金額そのまま」ではない点にも注意が必要です。
また、年金振込通知書は原則として年1回のみ送付され、振込金額や口座に変更がない限り、それ以降の支給月には発送されません。
※なお、この通知書には年金額改定通知書と一体化している場合や、年金生活者支援給付金の受給者向けなど、いくつかの種類があり、すべての人が同じ内容の通知書を受け取るわけではありません。
「厚生年金と国民年金」の平均年金月額はいくら?
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。
厚生年金・国民年金の平均年金月額(2023年度末現在)
厚生年金の平均月額はいくら?
・男女全体:14万6429円
・男性:16万6606円
・女性:10万7200円
※国民年金部分を含む
※ここでは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の年金月額を紹介しています。
国民年金の平均月額はいくら?
・男女全体:5万7584円
・男性:5万9965円
・女性:5万5777円
国民年金の保険料はすべての加入者に対して同じ金額が設定されているため、将来の年金額に大きな個人差が出にくく、男女の平均月額はともに5万円台にとどまっています。
一方、厚生年金は国民年金の上に加算される形で支給されるため、受取額は国民年金のみのケースより多くなる傾向があります。
また、厚生年金の保険料は収入に応じて決まる仕組みであるため、将来の受給額には個人差が生じやすい点も特徴です。
では、年間の年金収入が240万円を超える人の割合は、どの程度なのでしょうか。
厚生年金+国民年金が「年間240万円以上」の受給者は何%?
厚生年金(国民年金を含む)の受給額は、現役時代の収入や加入年数によって異なります。
ここでは、実際の受給額の分布を確認しながら、「月額20万円以上(年間240万円超)」の受給者がどの程度いるのかを見ていきましょう。
厚生年金の受給額ごとの受給権者数
厚生年金(国民年金含む)受給額ごとの人数をチェック
・1万円未満:4万4420人
・1万円以上~2万円未満:1万4367人
・2万円以上~3万円未満:5万231人
・3万円以上~4万円未満:9万2746人
・4万円以上~5万円未満:9万8464人
・5万円以上~6万円未満:13万6190人
・6万円以上~7万円未満:37万5940人
・7万円以上~8万円未満:63万7624人
・8万円以上~9万円未満:87万3828人
・9万円以上~10万円未満:107万9767人
・10万円以上~11万円未満:112万6181人
・11万円以上~12万円未満:105万4333人
・12万円以上~13万円未満:95万7855人
・13万円以上~14万円未満:92万3629人
・14万円以上~15万円未満:94万5907人
・15万円以上~16万円未満:98万6257人
・16万円以上~17万円未満:102万6399人
・17万円以上~18万円未満:105万3851人
・18万円以上~19万円未満:102万2699人
・19万円以上~20万円未満:93万6884人
・20万円以上~21万円未満:80万1770人
・21万円以上~22万円未満:62万6732人
・22万円以上~23万円未満:43万6137人
・23万円以上~24万円未満:28万6572人
・24万円以上~25万円未満:18万9132人
・25万円以上~26万円未満:11万9942人
・26万円以上~27万円未満:7万1648人
・27万円以上~28万円未満:4万268人
・28万円以上~29万円未満:2万1012人
・29万円以上~30万円未満:9652人
・30万円以上~:1万4292人
国民年金を含めた厚生年金の受給額が「月額20万円超」に達しているのは、全体の16.3%にとどまっています。
つまり、およそ8割以上の受給者は、年金収入が年間240万円未満であることがわかります。
老後に必要な目標額を明確にし、少しずつでも準備を進めていきましょう
ここまで公的年金について仕組みと最新データあわせて詳しくみてきました。
ファイナンシャルアドバイザーである筆者は、幅広い世帯の方から資産運用の相談を受けているのですが、ほとんどの方が老後の年金生活への不安を抱えています。
「年金収入のみで老後生活をイメージすることが難しい」と考える方が多いです。
多くの方は老後生活を送るうえで、年金のみでは資金が不足する傾向にあります。
老後資金を考える上で、まずは目標額を明確にし、少しずつでも準備を進めていくことが大切です。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「年金振込通知書」
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」