“上司が6割以上話している1on1面談”は危険 部下の本音を引き出すには?実施の流れと使える言い回し集
“上司が6割以上話している1on1面談”は危険 部下の本音を引き出すには?実施の流れと使える言い回し集
【3行要約】
・1on1面談の導入企業は増えているものの、上司が一方的に話すだけで部下の本音を引き出せていない現状があります。
・業務の中で「重要だが緊急でない」分類にあたる部下育成に着手することが、管理職にとっての課題となっています。
・キャリアマップや体系図等を活用しながら、定期的な面談を実施することが重要です。
前回の記事はこちら
部下との面談を実施するための5ステップ
宮地尚貴氏:実際にどんな面談がおすすめなのか。細かくはどうしてもケースによって変わってきますし、ここからもっと掘り下げて考えていかないといけない部分も多くありますので、まずは大枠の流れをお伝えできればなと思っています。
まず1つ目が、面談の目的を決める。2つ目が、当たり前ですが日程を決める。3つ目が、面談に向けての準備。4つ目が、実際の面談。5つ目が、次回に向けての準備。大枠で言うとこのようなかたちです。面談の目的を設定していかないと構成もブレてしまいますので、まずここは大前提で必要です。
3つ目の「何について話すのか」については、ある程度のテーマを決めて、決めたテーマを事前に伝達をしておくと有意義になるなと思います。何の準備もなしにお互いに臨んでも、限られた中でいい時間を過ごすことがなかなかできなくなってしまいますので、事前準備をお互いにするのはけっこうカギなのかなと思っています。
「じゃあ、いついつに面談を入れておいて」「(わ、何の面談なんだろう?)わかりました」というかたちで面談をやると、「じゃあ、これについて話そうか」「えーっとですね……」というふうに、1時間ぐらいかかってしまうこともあります。なので、事前準備は怠らないようにしていただきたいなと思っています。
4つ目(面談実施)については、まずは話しやすい雰囲気作りを心がけていただきたいなと思っています。ヒアリングに終始するとか、最近の状況を聞いて否定をするのではなくて、共感をしながら反応していく。
5つ目は次回に向けての準備になるのですが、今日の面談のログやメモを送って、「次までにこれをしてきてね」と、必ず課題を設定することが必要になります。そして、面談の頻度と開催間隔はあらかじめ決めておいたほうがいいかなと思っています。
単発的に「じゃあ、いついつに面談をしよう」ではなくて、「これから月に一度ぐらいのペースで面談していこうと思うから、1回あたりだいたい15分、長くても30分ぐらいを予定しています。あらためて、目的はこうです」というかたちで、全体像を伝えながら日程の調整をしていただければなと思っています。
四半期に1回の面談ではほとんど効果が見込めない
日程を調整する際に、半年に1回や四半期に1回だとほとんど効果が見られませんので、月1回ないし理想は週1回ぐらいを目途にぜひやっていただきたいなと思っています。
なんで週1がいいのかというと、週に1回であれば15分から10分、もっと言えば5分ぐらいで収まると思うんですね。「今週どうだった?」「そうか。何が良くて、何がダメだった?」「じゃあ、これをしたほうがいいんじゃない? 何か相談とか悩みはある?」というと、だいたい10分ぐらいで終わる印象があります。
週に10分ぐらいならなんとか捻出できるかと思うので、やっていただきたいなと思っています。月で15分とかでもけっこうですが、月でやるなら理想は30〜60分ぐらいは時間を捻出いただければなと思っています。
面談の立ち位置なのですが、基本的には右上の「重要だが緊急でない」という分類になると思うんですよね。「なんだかんだ目の前の仕事が優先だよな」というふうになる。よく弊社の代表からも言われるのですが、仕事の質を高めていくためには、だいたい重要で緊急な部分に優先して取り掛かる。
ただ、1日の中で「重要だが緊急でない部分」をとにかく10分でも15分でもやっていかないと、仕事の質や忙しさの質が変わっていかない。部下が育たなかったり工夫が生まれていかないので、重要だが緊急でない部分に着手をしていくことが、管理職側の課題にもなってくるのかなと思っています。
キャリアマップや職業能力体系図の活用がおすすめ
最初の面談の時は、ぜひ事前にこうやってキャリアマップも作って(部下に)見せてほしいなと思っています。明確なキャリアマップ、職業能力体系図、教育計画は存在しておりますでしょうか?
目標が明確でないと、やはり部下もモチベーションが上がっていかないところがあります。なので、「何をどれだけがんばればどうなれるのか」を体現しているもの、もしくは参考指標として掲げるのが、キャリアマップやキャリアの資料だと思います。ぜひこういったものも面談の中にご活用いただければなと思っています。
厚生労働省のホームページに行くと活用方法がけっこう開示されていたりしますし、業界・業種ごとの事例がよく掲載されていて、ダウンロードできるものも多くあったりします。
(キャリアマップとは)「こんな経路でレベルが上がっていきますよ」「じゃあ、各レベルに求められる能力や行動ってどんなものですか?」ということを明文化していくような書類になります。
確か従業員数が一定を超えている企業さまだと、職業能力体系図や教育体系図とか、個票と言われるものは、マストで作らないといけないという話もありました。なので、まだ作られていないという企業さまは、ぜひ整備をしていただければなと思っています。
部下の現状を把握するための面談ツール
弊社ではこういった体系図を基にして、育成の表みたいなものも作っていたりします。半年後の育成目標で成果目標を掲げたり、あとは今で言うと行動目標も掲げてもらっています。
成果目標と、「こんな役割を担えるようになる」「こんな知識・スキルを身につけられるようになる」「こんな行動ができるようになる」という2軸の目標設定をしており、評価制度と連動をかけています。
それを達成するために、月次ごとのテーマをこちら側から参考付与して、「じゃあこの行動ができるようになるために、日々どんなことを工夫しますか?」「どんなチャレンジをしますか?」ということを、さらに「わくトレシート」と呼んでいるPDCAのシートに落としてもらう。
上から2行目と4行目が「日々何をするのか」という部分で、必ず週次で上司がフィードバックをしていく。フィードバック面談にもなるので、だいたいフィードバックの打ち込みをして、これに対する面談を10〜15分やっていくというのが定例化されております。
そうすると部下の状況だとか、今週は何が良くて何が悪かったのか、どういう課題にぶち当たっているのかを適切に把握をすることができます。「面談のツールがないと、結局は形骸化しそうだな」といったお声がありましたら、弊社でやっている施策のご共有をもっと詳しく行うことも可能ですので、アンケート等でお声がけいただければなと思っています。
“上司が6割以上話している面談”は危険
あらためてにはなりますが、面談実施のポイントは大きく3つございます。事前に部下のことをしっかりと理解しておく。部下の本音を聞き出す場、部下が主体的に話す場と捉えておく。重ね重ねになりますが、ここはかなり重要ですので、何度もお伝えをさせていただきます。上司が6割以上話していると危険です。
あとは、参考までに定期面談の流れもお伝えできればなと思っていますが、だいたいこのような流れが一般的と言われています。まずは商談で言うアイスブレイクに入る。「今日も暑いね」「だんだん桜のニュースとかも出ているね」とか、ちょっと雑談から入っていく。
その後に、「今日の面談は30分で実施を予定しています。あらためて今期の目標を確認をして、そこに向けた行動のアクションを明確にしていくことが今日の一番のテーマです」と、目的・目標を伝えていく。
現状の明確化とは、例えば「目標は○○で、そのための現状の進捗はこれで、課題はここで」というのをヒアリングして、「これぐらいギャップはあるけど、そのギャップを埋めるためにどういう行動を考えているのか? その行動って、例えば明日からで言うとどんな行動に取り組んでいくのか?」と、具体的な取り組みを確認して行動を決めていく。
6つ目は確認です。ここまで話して、実際にさっき決めた行動はできそうかとか、その行動をやろうと思った時に弊害になりそうなことは何かあるか、「できませんでした」となるとしたらどんなリスクが考えられるか、とかですね。
「行動できませんでした」というのが続くパターンとして、できなそうになる要因を事前に予見できていない方々が多くいらっしゃいますので、面談を通じてそのあたりも考えさせる必要があるなと思っています。
最後にフォローです。「次はいついつにしよう」「じゃあ、次はこれを実践してみて、良かった点や課題点をまた聞かせてもらっていい?」と、次のテーマを与えていくようなイメージです。
1on1面談で使える言い回し集
面談で使える言い回しなのですが、深掘りの質問話法というものです。「どのようなことからそう考えるようになったんですか?」「今のお気持ちをおうかがいしてもいいですか?」「よく○○という口癖を使いますね。○○することが頻繁にあったんですか?」「あなたの友人が同じ状況にいた場合、どんなアドバイスをしますか?」とか、こういったものです。
その他にも、「今より成長したいんですよね」と言われた時に、だいたいは「お、そうか」と言ってフィードバックすることが多かったりするんです。ただ、言葉の定義や認識が違いそうな時は、「○○さんにとっての成長って、具体的にどんなことを指していますか?」と、必ずヒアリングをしていったほうがいいなと思っています。
「みんながそう思っているんです」「『みんな』ってちなみに何人? 誰が言っていたの?」「リーダーとして完璧でなければ」「○○さんの中の完璧って、例えばどういうのがありそうですか?」「今の自分じゃダメだ」「ちなみにいい自分というのは、今と比べるとどこが変わっている状態だと思いますか?」とか。このあたりは、質問話法としてよく使うことができます。
あとは週次の面談で本人の内省を引き出していくためにおすすめなのが、スコア法で質問していくことです。「今週の自分の仕事の出来栄えは10点満点中で何点?」と限定的な質問をかけると、「6点です」「7点です」とか、だいたい中途半端な数字を言ってくる方が多いです。
「じゃあ6点を付けられたいい理由は?」「逆に4点をマイナスした悪い理由って何ですか?」というふうに深掘りしていくと、良かった点・課題点を考えて共有をしてくれるので、内省につながってくるなと思っています。
「最近どう?」という話をしたら、「いい感じです!」「まあまあ順調です」とか浅い回答が来ることはけっこう多いので、スコア法で聞くことによって本人の内省を具体的に引き出していくこともできます。
ということで、ここ(スライド)に書いている情報も書いていない情報もお伝えをさせていただきました。面談のまとめで言いますと、まずは前提として、信頼関係を構築していくための相手への理解。もしくは、相手にも理解してもらうという意味では相互理解。話し方、聞き方という部分は、前提として気にかけていただければなと思っています。
いい面談をするためにはいい準備が必要になりますので、キャリアマップや体系図、求める役割とかは定義づけていただきたいと思いますし、しっかりと設定してあげてほしいなと思っています。
あとは、現場任せにしない。人事の方の場合で言うと、会社全体でやっていかないとだいたい形骸化していきます。なので、可能であれば面談は現場に任せっきりにするのではなくて、定期的に報告を上げてもらって、面談の仕方に対してフィードバックをするとか、そういった機会もあったほうがいいのかなと思っています。